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ドブ板のバール
新しい職場で知り合い、趣味嗜好が通じる植木職人Uさんと横須賀汐入、ドブ板通りで呑むことになった。葉山から京急バスと京急電車でこの街にアクセスしようとするとかなり面倒。車なら三浦半島を横断して30分ほどなのに対して横浜市金沢八景を経由して三浦アルプスの山々を迂回しないと行けない。本数の少ないバスを乗り継いで直線ルートを進む方法もあるが、最寄りのバス停は家から遠いし、運行本数も少なく現実的ではない。所要時間もマイカーまたはバイク行の倍以上かかる。その遠回り感に萎えて酒場を目指すテンションが下がってしまう。
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それでも、この晩に汐入で落ち合ったのは、夜が更けるドブ板通りの雰囲気に関心があったし、ストリートの老舗アウトドア用品店「Kadoya」が軒先にてバールも営んでいて面白いという酒場通&美食家Uさんの話しに強く惹かれたから。
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白い碍子で絶縁した電線が露わで、控えめで温かな色合いの灯りが点く空間。小屋然とした我が家のダイニングに似たムードで初めてカウンター席に腰掛けてすぐに和めた。
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パタゴニア・プロビジョンが扱うクラフトビール『ロング・ルート・IPA』を呑めるのが嬉しい。パタゴニアのウェアを纏うマスターがグラスの下に敷いたコースターはペンドルトンの生地だから、もうたまらない。酒プラスの佇まいに心酔し、Uさんとの会話も楽しく弾んだ。
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ずっと気になっていたパタゴニア・プロビジョンのナチュールワインもストックされているから頼まないわけにはいかない。この晩は『エスタライヒ – ロゼ』を味わう。無農薬、オーストリアのマインクラング社が農薬・化学肥料・除草剤不使用で栽培したブドウを使い醸した一本。スルスル呑めて心身が悦び、快楽に浸った。撮らなかったけれど、お通しのクリームチーズ添えチリビーンズ、サラダや自家製燻製チーズ、猪肉などマスターお任せのつまみも良く酒に合い素晴らしく美味かった。閉店まで心地よく過ごし、バーで盛り上がるネイビー兵たちを横目に2軒目の安酒場に向かう途中でUさん推薦の絶品おむすびを口にしなかったと気づく。これは再訪時の愉しみにとっておこう。
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