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アフター4:00

久里浜での造園仕事を仕舞うのは毎日16時。それからバイクで家路につき、葉山に戻るのは40分後くらい。現在の日没時間は16時55分だから帰宅後、洗濯や晩御飯の支度などしていると、瞬く間に外は暗くなってしまう。季節は冬へと移ろっているから仕方ないんだけど、空気が乾き澄み、ドラマティックになってきた夕暮れの空と海の情景を眼にせずに夜を迎えてしまうのがもったいなく思え、帰宅後のルーティンワークを少し遅らせて海辺でくつろぐひとときを設けし始めた。

夏前に鎌倉から久里浜に転勤して以来、自宅から山周りのルートで行き来してきたが、まずは復路は海沿いを経由して移動するようにした。横須賀市大矢部の街を抜け、寒々としたバイパスに入るとすみやかに三浦半島西海岸に抜ける縦断道へ左折。山間を縫って数分走れば、芦名の海側に突き当たる。そこから秋谷から久留和にかけて海が見えるようになり、同時にグッと温暖な空気に包まれ、ほわっと心身のこわばりがほぐされていく。ああ、なんて気持ちいいんだろう。夢心地のライティングが雲の上をふわふわ浮かんでいるような境地になる。

クライマックスは長者ヶ崎のサンセット。バイクを路肩に寄せて5分間ほど陽が水平線に沈む光景と浮かび上がる富士山を眺めていると、ここは天国ではないかと心底想い、感極まる。

家に直帰してすぐさま葉山一色海岸に出るのもいい。大門商店で缶ビールを買ってeno社の折り畳み椅子を携え、素早くビーチに行けばギリギリ、夕景を眼のあたりにできる。

深く椅子に身を沈め、深くリラックス。快楽の極みである。徐々に周囲は肌寒くなっていくからパタゴニアの90年代製ラムウールカーディガンを羽織るけど、身体の芯はまだ火照っているから熱を放出する頭部にかぶる帽子は春夏用、INIS MEAIN(イニシュマン)のリネン素材キャップが具合いい。

L.L.BEANの大容量ながら軽量な『グローサリー・トート』が三脚と椅子を運ぶのに収まりよし。ビールを置くシートがわりにもなるし。

一日中長靴を履いて蒸れ蒸れの足はL.L.BEANの『ラバー・モカシン』に履き替えて休ませる。幅広な型でかなりゆるゆるなフィット感だけど、そのルーズさが一日のリセットに塩梅佳い感じ。砂が入っても、サッと出せるしね。

どんどん赤からオレンジに染まっていく空を見上げ、酔いが急速にまわって快楽に溺れそう。

日没後15分経過すれば、深い藍色の世界に。劇的度極まり、寝落ちしてしまいそうになるから長っ尻せず、サクッと家に帰る。30分間弱、束の間なアフター4:00の休息、ちょっと習慣になりそうな気配。晩秋のシーンをとことん楽しみ尽くそうかな。

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