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ソイワックスを焚く朝
老人の兆候かもしれないが、疲れから早寝するぶん毎日朝4時前後には自然と眼がさめる。植木仕事に向かう日はもちろん、休日も。一日予定の定まっていない朝はまだ薄暗く、蒼い光がほのかに差す土間でコーヒーを味わいながら小さな灯りを見つめ、ゆったり過ごす。その穏やかな時間がとても好きだ。
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ベンチ脇の燈明皿に載せるのはIKEAの安価なティーキャンドルを常としているが、先日思いもかけず上質なものをいただいて、しばらくはその香りを聞くことにした。
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隅田川のほとり、駒形橋の近くで写真家の萬田康文さんと大沼ショージさんが構えるアトリエ「カワウソ」。不定期でこの場が喫茶空間として開放される。その貴重な機会に足を運ぶ楽しみのひとつはドアの前に置かれた不要品ボックス。中には未使用の高価なものもまぎれていて、二人の美意識を感じ取れる、こんなに佳いものをいただいてよいのだろうかと毎度ドキドキする出会いがある。
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前回の「喫茶カワウソ」で持ち帰ったのが2014年創立、英国のフレグランスブランド「Earl of East」のソイワックス素材のキャンドル『Viagem』。Niko DafkosとPaul Firminが「旅と記憶」をテーマにしたさまざまなプロダクツをロンドンのアトリエで製作し、これは化学調香料未使用、100%大豆ワックスに天然コットンの芯を合わせたナチュラルなキャンドル。日本のセレクトストア「ジャーナルスタンダード」も扱い、4,000円弱の価格(現地から取り寄せると送料込53ポンド/約8,700円)。自分には不釣り合いな高級品だが、燃焼時間は35〜40時間というから、朝夕に灯す程度なら一か月は保ちそう。大豆油のさりげない香り、炎がゆったりとワックスを溶かしていく風情を毎日愛でられるのだから、たまの贅沢として日用品に加えようかな。
いよいよ盛夏を迎えた日曜日の早朝。そっと寄せては引くさざ波のリズムのように鳴くヒグラシの声を聴き、優しい炎と香りを味わう。その沁み入る音とゆらぎの景色がたまらなく心地よい。
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