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朝陽と夕陽

葉山の自宅と久里浜の仕事場を往復する毎日。冬を迎えて、通勤路を山まわり、半島中央の縦断バイパスからなるべく温かな海沿い南下ルートに変えた。12月に迫り、いっそう日の出が遅く、日の入りが早くなり、寂寥感募るのを受け止めながら道端の光景を見つめ、気晴らしの要素を日々見い出そうとあがいている。

相模湾から金田湾、半島の西側から東側へ。帰りはその逆をホンダ・クロスカブに跨りライディングすることで昇りたての朝陽と沈む直前の夕陽を目の当たりにできる日常は、かなり贅沢なのではと思うようになった。

国道134号線・林交差点を曲がり、少し内陸の狭い県道に分け入ると、左右の蜜柑畑を抜けたところで一気に視界が開け、赤い光に照らし出された富士山に眼が奪われる。

農道と交わる道をさらに進むと、観光農園脇の一角に眩いほどのスポットライトが当たり、柿が燃えるような赤色に染まっている。

さらに走ると金田湾に到達し、野比海岸を右手に久里浜へと向かう。朝陽に眼がくらみ、サングラス無しでは走行が危いほどの光線を直視することになる。一面の野菜畑から黄金色の海へ。劇的な景色の変化がこの通勤ルート最大の魅力であり、見どころだ。

最近は家を早めに出て野比海岸で朝陽に包まれながらの早朝ビーチコーミングに興じたりして仕事前からひと息ついている。その心のゆとりが自分にはとてもたいせつな気がするのだ。

復路で西海岸に還るのは、まさに陽が水平線に隠れんとするタイミング。

久留和から長者ヶ崎に至る秋谷海岸の眺めは映画の一コマみたいに美し過ぎて、何度観ても飽きることはない。冬の季節風ともいえる南西風が先週から吹き荒れ、波の表情が豊かになるのも見応えある。

この南向きエリアは日照時間が長いためか、三浦半島でもとりわけ温暖だ。陽の恩恵にバイク行で冷えた心身が暖まり、鎮まる帰宅前のフィナーレ。感極まって泣いてしまいそうになる。

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