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SUN CATCHER

20年ほど前に鎌倉二階堂のギャラリーで入手した『サンキャッチャー ・ ウォータープリズム』。当時は鎌倉にアトリエを構えていた(現在は南伊豆)rainbows worksがハンドメイドしていた。

中に水を入れると、太陽光を受けてプリズム効果で虹を放つという手工芸品。そのシンプルな多面形のかたちと創作センスに惹かれて軒先にずっと吊るしてきた。

光を受けるのは夕方の斜光が差すタイミング。玄関の引き戸を開けていれば、土間の壁に虹がきらめくはずなのだが、この20数年間、まともに気に留めたことがなかった。

夕刻に立ち現れる虹を意識して見つめるようになったのは、つい先日のこと。空に架かる虹と同じく、ぼんやり日常を過ごしている人の眼では捉えられないものなのかもしれない。

気づきのきっかけはお盆にもたらされた。植木仕事の一環で、今夏のお盆期間中、先祖家族が眠る霊園の掃除を連日行なって帰宅し、最終日の「送り日」にひと息ついていたときのこと。何気なく観た壁に虹がゆらめいていた。まるで手を振っているような虹のゆらぎリズムに神秘を感じたし、亡き人たちが「グッドバイ!」とメッセージを送っているように見えた。佳いおこないへの謝辞なのか、と都合よく受け留めつつ、言いようのない寂しさに包まれた。

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