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シン灯明皿

家で憩う空間はなるべく暗くして、ほのかな灯りでポツンと小さくほんわり照らす。広範囲を明るくし過ぎてしまう天井からのトップライトはもちろん消し、床に近い位置、手元あたりに灯器を置くと暗闇に包まれつつ深い安息を伴う光を得られる気がする。蝋燭のともしびも詩的、静的で佳いけれど、本やスマホを眺めるときは、少し明度を高めたくなる。

そんなときに選ぶ灯器は江戸時代から庶民の生活を支えた灯明皿。いくつか持っているけれど、最近のお気に入りは古物商「讃々舎」の高梨さんから分けてもらった瀬戸焼のもの。しっかりとした高台が安定性抜群なことのほか、新たな魅力を見い出した。

オイルランプ用の綿芯をたまたまストックしていたので中央の穴から選択を出しながら皿内に入れてみると具合良く収まった。仏具店などで扱う一般的な細い灯芯より耐燃性は段違いだから、より長時間使うことができるし、そこそこ明るく実用性も高い。サラダ油、胡麻油、オリーブオイルなど常備してる油を燃料に使えるから災害時、停電時にも役立ち度に優れる。

弱点は風防が無いから、強い風に晒されると火が消えてしまう点。室内専用の灯なのだ。

それでも、風に炎が揺れるさまは酒の肴になるくらい情趣に満ちているから、土間に設けたベンチコーナーに据えて、あえて海風を中に取りこんでみる。その美しい景色に酒の酔いが進む進む(笑)。現実から逃避して桃源の世界をさまようことになるのである。あぁ、やばい。

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