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平林奈緒美さんのRIKU

葉山長柄の「クリエイト」でキリンのウイスキー『』を見つけて思わず手に取った。ウイスキーを買うのは何年ぶりだろう。久々に買いたくなったのはパッケージのアートディレクション(AD)を平林奈緒美さんが手がけたことを知っていたので必然の行動に至ったのだった。

ウイスキーの良し悪しがわかる酒呑みではないが、ロックで嗜んだら、軽やかながら豊かな風味と深い余韻に旨い!と声が漏れ出た。キリンのHPが謳う「オレンジを想わせる華やかさと共に心地よいウッディ―さ。仄かなバニラ香やスパイシーさも感じられる」をなるほどと感心。この美味しさが1,300円ほど(クリエイト価格)で存分に愉しめるのはかなり悦ばしいことなのではないか。

バカラのグラスに満たせばアンバーの煌めきに高級酒ではないかと妄想(笑)。なにしろアルコール分50%(度)の酒。2杯呑んだら、たちまちほわんと幸せな夢心地に酔った。

酒杯を片手に、ふと平林さんがADを担ったUNITED ARROWSのカタログ「Styling Edition」(U.A.S.E)を眺めたくなった。平林さんのセンスに強く惹かれ、手がけた書籍は必ず入手してきた。この独創的すぎる唯一無二のヴィジュアル・マガジンも平林さんのADと知って築地での勤務時代、銀座の店舗に貰いに行った。1号から20号まで途中休止しながら配布が続いたのだろうか。すべてを見渡してはいないが、17号でボブ・ギルさんのアトリエを写したページにはとくに魅せられた。

ニューヨーカーにしてグラフィックデザイナー、イラストレーター。昨年90歳で亡くなったが、黒の服やニューバランスを纏い、イームズのラウンジチェアで寛ぐ晩年の洒脱なスタイルに痺れた。ちびちび陸を呑みながら、この永久保存版的紙メディアの上質をしばらく愛でることにしよう。

※Them magazine「U.A.S.E」インタビュー
※クリエイティブディレクターは山本康一郎さん

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