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砂浜のサラダ
日曜日の昼下がり。2軒隣りの漁師Sさんから手招きされて庭に近づくと「これは雑草じゃないの。あえてボウボウのまま放ってあるんだ」と軒下に繁茂する草を指差した。
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砂の上を這い広がっていたのはツルナ。海浜に自生する多年草だった。葉をお浸しにして食べるとクセのない味わいでとても美味しいとか。子どもの頃はよく母親が浜に採りに行っては食卓に並べていたそう。ただ浜の環境では少ししか育たず、何度も足を運ばないといけない母の労力を懐かしむSさん。自分の家でも育ててみたら?といくつか根ごと分けてもらう。
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昨晩、葉をいただいたら、シャキシャキッと歯ざわりが良く、ほうれん草みたいな旨味に眼が丸くなった。海辺に生まれ生活してきたローカルが密やかに愛でる砂浜のサラダ。極度に乾燥した過酷な環境で生き抜く強靭な生命力をいただき、また得難い知恵を授かった気になった。
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