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美しい電動バイク

スウェーデンの軽量電動バイク「CAKE(ケイク)」の格好良さに感嘆したのは一年くらい前からか。荷物の多い仕事で運搬車として活躍したり、荒漠なオフロードを旅したり、サファリの野生保護監視活動に用いたり。西欧やアフリカでの実用シーンを本国配信のインスタを観て羨望し、ただ指くわえていた。どうせ、電動バイク後進国の日本には導入されないだろうし、北欧ではどうしてこれほどまでに洗練されたデザインを創出できるのかとため息つきながら。

ところが、ノースフェイスなどの日本展開でお馴染み、スポーツアパレルメーカーのゴールドウィンがいつの間にやら扱い、日本でのプロモーション、販売が始まって、来年7月まで丸の内ブリックスクエアにPop upストアがオープンし、試乗までできると知ったからには、もう行くしかないでしょ!

というわけで、試乗予約し、スタッフ先導のもと丸の内界隈でワクワクとライディング。

始動は電子キー、加速モードの変更もエレクトリック。表示パネルの必要最小限加減に痺れる。皇居と東京駅丸の内駅舎をむすぶ行幸道路やまるで異国の街めいた、歴史的建造物が並ぶ界隈を風きって走る。出だしのシュウィーンというスムーズな加速感とウィンカーの音すら耳に届かない圧倒的静寂度が異次元、未体験の走行感覚で官能的なまでに気持ちいい。

見慣れない武骨で美しいフォルムにおっ!と驚く街行く人からの熱めな視線も快感だ。このグレーの色合いもセンス佳いし、家庭用100vの電源から5時間でフル充電、80キロ近い走行が可能なバッテリーが容易に着脱できる合理性も秀逸だし、このバッテリー自体がスマホやPC、電化製品の電力供給源にもなるフレキシブルな拡張機能とアイデアが素晴らしい。ぼくが乗ったのは『Makka range :work(マッカ レンジ ワーク)』という原付モデルだが、前後にたっぷりの荷物を積載できる頑強なキャリアを装備し、ボディ自体もとても原付バイクとは思えぬ剛性感があった(それでいて軽い)。何より、ライトとウィンカー、保安部品のミニマルぶりが最高だ。日本のメーカーではこの美意識、かたちにならないだろうなぁ。

CAKEにはオフロードレースで卓越したパフォーマンスを見せる『Kalk(カルク)』という時速90kmを誇るパワフルなモデルもあり、個人的にはこっちに強く惹かれるんだけど、西欧人の体格に合わせているのか足つき性がかなり厳しい。200万円越えの価格も自分には非現実的。『Makka』のフォルムと志向で、60kmで巡航可能なモデルがリリースされたらと夢想。クリスマス迫る2023年末、いい夢を見させてもらいました。

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