ダブデカ11話感想

 一回目がいつなのか私は実はよく知らないんですが、二度死んだということなんで前にもどこかで一度死んでいるのでしょう、SEVEN-Oは。このタイトルもなにかの伏線だったりするんだろうか…。
 とりあえず一言だけ間違いなく言いたいのはヴァレリー・ヴルーベリの言ってることが全然わからん。

 いやうたぐりすぎてるだけなのかもしれないんですけどよくわかんないんですよ彼の言ってることが。

1.お母さんによって命がけで『2階』からキリルとともに逃された
 これはいい。いいっていうか、他に情報がなくてうたぐるも信じるもないので現時点で保留にしか出来ない。

2.「(便宜上)1階」に降りてきてすぐダン(=キリルたちを育てた「じいちゃん」)に事情を話したら快く匿ってくれた
 
このあたりからよくわからなくなってきた。ヴァレリーの言い方だと「『1階』に降りて初めてダンと出会った」みたいな感じだけども、そうすると「じいちゃんから教えてもらったおまじない」としてキリルが「2階の祈り」を覚えて口にしてるのがなんか腑に落ちない。
 ダンが「1階」の人で、「降りて」きたばかりの初対面のヴァレリーから事情を聞いて匿ってくれたとすると、「2階の祈り」を知っている(覚えている)のはヴァレリー(=ミラ?)であってダンではなかったはずで、それならキリルは「姉ちゃんから教えてもらったおまじない」と言ったはず。
 ダンは彼らに先んじて降りていた「2階」の人で、何らかのツテによりキリルとヴァレリーの身柄を引き受けたということなら、その後にヴァレリーが語った出奔の理由である「二人でいると目立つから離れた」というのが不自然じゃないだろうか。

3.「二人でいると目立つから(俺は)家を出た」
 これもよくわからない。「二人でいると目立つ」っていうならなんでしばらく一緒に暮らしてたの?
「2階」から「逃された」にせよそうでないにせよ、クーパーいわく「『2階』から二人の子どもが逃げ出した」のは18年前だというから、ミラ以外の血のつながった家族との別れはキリルが2歳の時。それでミラとは9歳離れていて、ミラが出奔したのはキリルが10歳でミラが19歳の時だから、二人は8年一緒に暮らしていたことになる。8年も一緒に暮らしてていきなり「二人でいると目立つ」ってなるだろうか…むしろ8年も一緒だったのにいきなりふらりといなくなる方が目立ちやしないか?19歳なら「ハイスクール卒業して自立するために上京します(その後二、三年して音信不通になりフェードアウト)」みたいな自然な離れ方もあったろうに。
 もしダンもかつて「2階」から降りてきた人で、その伝手で二人の身柄を預かっていたという場合、「2階」から新たに降りてきた子どもを引き受ける「元『2階』の住人」のネットワークみたいなものが存在しそうなものじゃないだろうか?もしそういうものがあったとしたら、ヴァレリーだけが成人間近に単身行方をくらますより、「降りて」きてすぐにキリルとヴァレリーがそれぞれ別な「元『2階』の住人」に引き取られていても不思議がない。というか、その方がそれこそヴァレリーの言う「二人でいると目立つから離れる」という動機に沿ってる気がするんだけど気のせいだろうか。妄想だろうか。
 キリルが2歳の時ミラないしヴァレリーは11歳。2歳の幼児を一人にしておけなかったとしても、「二人でいると目立つ」と思うならダンにキリル一人を預けて自分はすぐにその場を離れるのが最もスムーズだったんじゃないだろうか。19歳で出奔するまでの8年間は何だったのか?自分が出奔して行方をくらました後、事情を知らないキリルが成長して失踪届とか人探しの依頼とかをどこかに出してしまったら却って目立ってしまうとか、そういうのがありそうな気がするんだけどなあ…だからどっちかっていうと「ミラは別段キリルのそばを離れるつもりなく今まで暮らしていたけれど、19歳のその時になにか離れなければいけない理由が生じて突然出ていくことになった」の方がしっくり来るんだけどなあ…どうなんだろうなあ…疑り過ぎかなあ…先入観を拭いきれてないのかなあ…この期に及んでまだ私は「ミラとヴァレリーって本当に、本当の本当に同一人物なの?」って疑問が全然消えないでいる。
 あとやっぱわかんないのが、キリルの回想に出てくるミラとの生活の風景なんですよね。明らかに家じゃないところで(路地裏か教会か、なんか広めの建物の壁にもたれて)どう見ても布団や毛布じゃない巨大なボロ布にくるまれて寝てるのとか、絶対家のない都会のストリートチルドレンだと思ってたから「血のつながらないじいちゃんに育てられてた」って聞いた時はすごく驚いた。それともアレなのかなあ、二人で長らくストリートチルドレンを(5年くらい?)やってて、ダンじいちゃんに引き取られたのはミラ出奔のほんの数年前とかだったのかな?しかしそれなら15歳を過ぎたミラはもうどっかこっかに勤めて普通にキリルを養ってそうなものだけどな?知らない老人にいきなり弟を預けていなくなったりするとは思えないんだよなあ…わからん…。

 そしてクーパーの言ってることはもっとわからない。
 
クーパーいわく「18年前『2階』から逃げ出した二人の子どもがいた」とまあ、それはいいとしてわからんのが「『2階』の存在であるキミは常に狙われている」っていうところ。

狙われてるって、誰から?

「2階」の存在を知っている人は限られている。ていうか、作中で「2階」について言及したのはクーパー以外では「リスヴァレッタ警察24時」の酔っぱらいしかいない。何より「2階」の存在が「『1階』の住民に知られちゃマズい」ってくらいならあのリスヴァレッタ警察24時」が普通にオンエアされたのがわからない。
 いやまあ、酔っ払いの言ってたことは支離滅裂といえばそのとおりだし完全にヨッパライの戯言だからきっと誰も真に受けないんだろうけど、マスコミの偉い人や市長クラスがアンタッチャブルな情報として「2階」を知っているなら検閲入って握り潰されてても全然不思議がないと思うんだよなあ…なんかこう、マスコミの偉い人が「偶然見かけたけどここダルいね」とかいって。番組の性質上モザイク音声変更だけならリアルタイムでも掛けられるかもしれないけど、その場その場でテロップやナレーションを入れたり、それこそ酔っ払いなんかの堂々巡りの戯言とかをそのまま流すわけにはいかないから生放送はしてないんじゃないかと思うし、現に出演してたキリルとダグも放送当日には事務所にいたわけだから間違いなくアレは一度録画して編集されている。そして、何の検閲もなくオンエアされた。
 と、なると、「2階」について知っているのはそれこそ軍の一番上の一握り、ともすれば最高責任者のクーパーただ一人って可能性もある。つまり「『2階』から『逃された』子どもがいる」という情報で「キリルを捕まえるべく狙う」としたら、それはクーパー率いる軍の最上層部のみじゃないの?っていう疑問なんです。「守る」って一体誰から守るんだよクーパーさんよ。
「キミのために仲間が危険な目に遭うかもしれない」とか言ってキリルを不安がらせておいて、キリルの決断を促すためにエスペランサで「B」としてザベルを唆し陽動作戦を提案。対AMS弾の情報が欲しいザベルはBの提案に乗り、「クーパー」として軍に戻ったBは「エスペランサの暗躍の情報」を流して大袈裟に軍と警察の指揮を取る。もぬけの殻にしたSEVEN-O本部でアップルとソフィーを人質に取らせてザベルにアイガジェットという「アメ」を与え、油断したところで裏切って殺して口封じ。B=クーパーの目的は「貧しい者に力を与える」とかそういうのじゃないので、これ以上ザベルのギャングスターごっこに付き合う義理はなかった。Bはすなわちクーパー(=軍の最高責任者)だったわけだから、流そうと思えばいつでも対AMS弾の情報を渡すことが出来た。わかっていて、彼はわざとザベルを泳がせ続けていた。私割にザベルが好きだったのでちょっとショックを受けたんですよこの下りは。
 アップルとソフィーが危険になっただけでもキリルに対してはだいぶ強い揺さぶりだし、おそらくB=クーパーが想定していたのはそこまで。しかし実際にはユリが爆弾を抱えて本当に死んでしまったことで、処理できない大量の「真相」(「姉」ミラはなぜ今「ヴァレリー」という男性なのか?自分が「特別」というのはどういうことなのか?「2階」とは何なのか?なぜ自分は「2階」から「逃された」のか?etc)を抱え込んだキリルはパニックを起こし、ユリの死も「自分が狙われているせい」と考えてしまう。ぜんっぜん違うのに。いや「キリルに揺さぶりをかけたいクーパーの目論見」という意味では確かに合ってるんだけど、エスペランサ(ザベル)の襲撃なんて対AMS弾が欲しかっただけでキリルが特別とか「2階」から来たとか何も知らなかったはずだ。だって「アンセム」の作り方は教えてもらってるのに解毒薬については教えてもらえてないんだものこの人たち。いわんや「2階」のことなんて教えてもらってるはずがない。

 わからん…話が進むごとにわからんことが増えていくようだ…たのしい…ただ私が疑り深すぎるだけなのかもしれないけど、このかんかくがとても、たのしい。

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