ダブデカ考察5:「エスペランサ」とは?

 ダブデカ世界の「エスペランサ」は「アンセムの密造をはじめ、幅広く犯罪を行う組織」いわゆる広義のマフィア(犯罪集団)である。
 この「エスペランサ」という名前はおそらくスペイン語ないしポルトガル語の「希望(西Esperanza/葡Esperança)」と考えられる。「Esperanza」という言葉には他に「期待」「予想」「思惑」「確信」「予見」「展望」のような「確実な見通しが立ったことによる前向きな気持」につながる訳語が多いようだ。なんてマフィアらしくない名前だ。
 イタリア出身でニューヨークを拠点とする「コーサ・ノストラ(伊「我らのもの」)」や、シカゴ拠点の「シカゴ・アウトフィット(outfit=道具一式、一団、一行、部隊)」、イタリア南端カラブリア州の「ンドランゲタ(希「ανδραγαθια=andragathía=雄々しさ、男らしさ」か?)」、中国系なら「蛇頭」「斧頭」「清竜会」「羅漢」など、実在の組織の名前をざっと並べてみても、その名前は大体が「発祥地や拠点の名を関したもの(その土地の「カオ」の自負)」か、あるいは「強さ・勇ましさ・恐ろしさを表現する語」を使う傾向にある。
  しかし「エスペランサ」という言葉は、どちらかといえばサッカークラブや船、賃貸住宅、ファッションメーカー、一般商店の名前などに使われ「明るさ」「健全さ」を表す傾向にあるだろう。なにせ娘に「エスペランサ」って名前をつける人とか結構普通にいるらしいんだから欧米では。「アンセム(頌歌・讃歌)を生産するエスペランサ(希望)という組織」と表現すると、なんていうか、なんか、あの…全然悪そうな感じが…しないな…?
 
そして肝心の「アンセム」は「進化の促進剤」である。これを生産する「エスペランサ=希望」ということは、この組織は「人類進化の希望」の期待をかけられているということだろうか?
 もしも「アンセム」が「2階」によってもたらされた「進化の促進剤=プロメテウスの火」だとしたならば、エスペランサとは「2階」による「アンセム=進化促進剤」実験のための組織ということになる。「(便宜上)1階」にて「アンセム=進化促進剤」を作ってはバラまき、その実験結果を「2階」に提供するのがエスペランサに「期待された」仕事なのではないか?
 しかしエスペランサはわざわざダグをさらって拷問してまで「解毒剤の配合方法」を知りたがっていた。彼らは「アンセム」の作り方を知っているのに、解毒剤の作り方は知らない(知らされていない)のだ。「解毒剤の配合方法さえわかれば」とザベルが言っていたことから、「アンセム」で構成員を一時的に強化し、必要のない時は解毒剤で落ち着かせてコントロールするか、安価にばらまいた「アンセム」の使用者が解毒剤を求めてきた時には高値で売りつける構想があるのだろうか。
「エスペランサ=『アンセム』をバラまいて実験サンプルを提供する(「2階」の下部)組織」とすると、解毒剤の作り方を教えられていないのは不思議である。そして「バラマキ係」のエスペランサが知らない解毒剤の配合を唯一知っているのは軍だけ、ということだ。

うーん、なんともキナ臭い話ではないか。

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