四の五の言わずにモテたい。

朝、毎日すること
腹筋200回×3
腕立て50回×4
表情筋体操

窓際に貼られたメモ帳をチラリと見て、俺は腕立ての体勢を作る。
俺はどうしてもしたいことがあった。それはただ一つ。あの子とヤりたい。望月美香。
おっと、思い浮かべただけで下半身が熱くなる。清純な雰囲気に加えてあの、豊満な胸、太もも。
愛くるしいルックスに惹かれて近づく男は後を絶たない。しかし、彼女自身男に興味がないらしく、近づく男をのらりくらりとかわしているようだ。そんなガードの固いところも俺を燃え上がらえせた。
まずあの子にとって魅力的な男になることを決意した。まず、ルックスを磨く。筋肉をつけ、すてきだと思われる表情をマスターするのだ。
だれもが俺のことを俳優の三好豪と遜色ないくらいかっこいいと認めたときに、あの子は俺の告白を受け入れ、あの身体は俺のものになるだろう。
公園の前を走る、走る、走る。

彼女の好きなアイドル、曲、服の趣味、食べ物は望月の親友から調べ上げた。俳優の三好豪が好き。
自慰行為が終わってから、Youtubeで流行りの髪型のセット方法を観た。もしも、自分がやればぎこちなくなるのが目に見えている。
ているのでやめておいた。代わりに俺の行きつけの美容院で、井畑豪に似ている髪型で、ギリ俺に似合う髪型にしてもらう。

食堂が混む時間はできるだけ避けて飯を食うようにしている。並んでる時間が本当に無駄だ。俺はあらゆる行為の中で何もせずじっと待つということが本当に嫌いである。成果主義的な考え方をしてしまう自分に嫌気がさすこともあったが、これもしかたないか、と割り切っている。あ、と思う。
「望月」
ああ。

名を呼ばれた。ああ、声かわいい。やっべえなあ、どんな声で喘ぐんだろう。
興奮を悟られないように練習中の笑顔を作る。
「部活の練習日程表、高倉先生のところに出しにいった?」
「やべ、わすれてたわ、ごめんごめん」
「またー?成実が言ってたよ、」
唇の横の小さなほくろに目が行く。

「あ、三島君」
「ん?」
「その髪型、いいね」
そっけなく言って彼女は、食堂の奥に消えてった。



★★★2019年4月30日(火) 851文字★★★

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