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【ケムリクサ】第9話 感想2「わかばとりんの絡みをもっと見たかった」

感想1としてラストシーンについてくわしく話をしたのでそれ以外の話をこちらにまとめたいと思います。ちょっと「感想1」で難しく考えすぎて疲れぎみなので箇条書き気味でこちらは書いていきます!


ヌシが壁の中にいたことのテーマ的な解釈

前回までのノートで「ケムリクサ」のテーマが
「『キャラクター』の生と死をどう捉えるか」
という観点で考えており各キャラや設定を以下のようなメタファーとして考えてきました。

・「りん」達=生命感のあるハンドメイドの『キャラクター』
・「アカイロ」=データベースによる量産型の『キャラクター』
・「水」&「ミドリ」=『ファンの支持&応援』
・わかば=『クリエイター』
・「アオイロ」=命令系統のある『組織的な製作サイド&とりまき』
・「シロ」=純粋に仕事にたいする「スキ」=『クリエイティブの原点&原動力』

その中で今回、「アオイロ」の壁の中で「アカイロ」であるヌシがいるというのはこの解釈では結構エグいことになっており、つまり

本来キャラクターを守っている『製作サイド』(アオイロ)の中に対立する『データベース型のキャラクター』を支援する勢力が混ざっているという内部の中に敵がいたという状況のメタファー考えられます。けものフレンズ初代騒動を持ち出して恐縮ですが、いわば制作サイドと製作委員会サイドの中で対立が生まれてしまった状況です。

その壁の中のヌシ(ゲンゴロウ)を倒すためには壁ごと壊す必要があり、そのためにはミドリちゃんの枝というある意味、自らの身体を切るような自爆的は方法でしか倒せないというのも今回の騒動と符合してしまいます(ゲスい解釈で申し訳ない)。

「りょう」と「りょく」はある意味『ゴミ箱ファイル』状態なのか

「りょう」達がなぜ「りん」達と会えないのかという設定的な意味である程度情報が明らかになってきましたね。一方で感情的になぜ生きていることを伝えないのかという謎は残ります(再度死ぬことで余計に傷つけたくないとか?)。設定的なことは「感想1」の方で語りましたので省略していきます。意外だったのは「りょう」達本人が「なんで生きているのかあんまりわかっていない」という点。「りょう」の話では「葉に保存されていた」ということなので魂の情報のようなものが記憶の葉にキャッシュや完全削除前の『ゴミ箱ファイル』データとして保存されているという考えなのでしょうか。その中で自らの余生が短いことを意識しており、ここで強調されているのは「終わり方」と「好きなこと」というキーワードです。このことは私としては「死」の恐怖の希薄さという『ヒトならざるもの』=「キャラクター」の感覚であり、このような感性を手触りとしてどう感じていくのかということが「ケムリクサ」の味わい深いところだと感じました。

マップの移動と「フネ」の重要性がまだわからない

「りょく」によって意図的なマップ操作を指摘されていましたが物語上どのように絡んでくるかは想像できません。正直裏設定くらいでいいような話だと考えていましたが、わざわざここまではっきりと強調されているのでなにか鍵になるのでしょう。私としては「フネ」が高い位置から見渡すものとしてわかばと「りょく」の間で共有認識とされていたのでここは「感想1」でも述べた『叙述トリック』的な匂いを感じます。つまりわかばの持っている情報と視聴者の持っている情報が同じであるというある意味、暗黙のお約束的に機能してきた状況を一部裏切っている内容になっているので、このあたりも含めて今後の流れを注目していきたいと思います。

「シロ」と「りん」たちとの関係性がスキ

(最初のわかばの対応の繰り返し)
「りん」怒りん坊と煽られて起こる
「りな」好奇心をもってフレンドリーに接する
「りつ」見守る

(新たなキャラの性格の表示)
「りょう」匂いから本質を見抜きすぐに可愛がる
「りょく」あまり興味なし

といった感じで個々のキャラクターの性格を改めて記述しつつ、わかばとの関係の発展も同時に示していくところが良い感じでした。

第8話の「シロ」達の犠牲の後では第9話の「ミドリちゃんの枝」の犠牲はインパクトに欠ける

それとは別に今回は第8話設定開示の盛り上がりに比べてドラマ的な部分では逆に盛り下がった面を正直感じてしまいました。特にミドリちゃんの枝をものすごく重要に扱っていますが(実際「りつ」の生命維持に関係しているかもしれませんが)前回の「シロ」達の犠牲があまりに感動的だったために、今回では「え、枝を折っただけ??」というふうに正直感じてしまいました。この辺は盛り上がりの観点でミドリと「りつ」の設定について情報を開示していっても良かったかと思います。

「りん」にはもっとわかばを守ってほしかった

第8話のラストの「これ以上誰も死なせない、お前も含めてな…」で一週間待たされた身としては、もっと「りん」のデレ部分がみたかった!! むしろ「りつ」の方がわかばを守っており(2回のヌシ戦時)、一方で「りん」はわかばではなく、むしろ「りつ」を気遣っていると感じました。私としては第8話で盛り上がった気持ちのコントロールをもう少しうまくして頂ければと切実に感じます。例えばゲンゴロウ戦の最後ではわかばと一緒にゲンゴロウを引っ張るとかそういうシーンがほしかったです。あと「りん」からわかばの名前呼びとか…そういうやつを切実に次回以降お願いします!!

残り3話に向けて思うこと

第9話までで第7話時点で思っていたより話が進まなかったのでエンディングに向けては「アカイロの木についてどう対処するか」が主な目的になってきているのかと思います。わたしとしては以前のnote記載したとおり、で赤い木の枝を壊してそのまま平和になりました…という展開では成り立たないと考えております。

・「アカイロ」=データベースによる量産型の『キャラクター』

というメタファーを考えると、今後の世の中でスマホゲーム的なキャラクター増殖の流れは止まらないと考えており、これを退治することはありえないと考えております。今回は「りょく」の発言でアカイロの木の幹については「わかばならコントロールできるかもしれない」という可能性が提示されました。これは「管理者」=「クリエイター」であるわかばの特権なのですが、どのようにコントロールするかがテーマ的に非常に難しく、簡単に「アカイロ」を鎮めて「シロ」にしました…というオチではテーマ的にやや白けます。量産型「キャラクター」をなくし、もとの素朴なキャラクターにもどす…やそれこそ動物という自然物から生成される「けもの」へと「フレンズ化」することになり「フレンズ化」とは別の角度で「キャラクターの生命」を捉えている本作では採用しずらい展開です。私はたつき監督は本作ではもっと違うところをみているように考えており、いい意味で風変わりで気骨のあるクリエイターだと考えているので同じ手法はとらないオチになると非常に楽しみにしています。一方で設定面での伏線回収劇についてはそこまで私は興味がないので、あまりそこにこだわりすぎないことを期待します(初代けものフレンズ程度のほのめかすくらいが最適)。

いずれにしても、
・わかばがアカイロの木に対してどのような変化をもたらすのか
・「りん」達キャクターの命(その最後も含めて)がどう描かれるか

という点でたつき監督の独特の世界を見せてもらえると思いますので今後の展開に注目していきたいと思います。





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