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近藤ユリ - 米国弁護士、国籍はく奪条項違憲訴訟@福岡 原告

米国弁護士として、在外邦人の相談にのる

4月16日オンライントーク「海外日本人と国籍喪失の危険性」の【前半】 
は近藤ユリさんのお話です。内容は、米国弁護士として在外邦人の相談に乗ってきた近藤さんが書いた「日本と米国の間を自由に往復して暮らすためには」という記事が基になっています。(「国際結婚を考える会・ニュース 2015年358号」/「オアシス 2015 年3 月号」で掲載)

日本と米国の間を自由に往復して暮らすためには

記事の要約
  ■相談者のバックグラウンド
 相談者の多くが長期間米国や他の外国に滞在した後に一時的にまたは永続的に日本に戻り生活したいと考えている人で、米国市民権を取得している。帰国にあたって、日本に戻って日本人として暮らすことができても、罰せられるのではないだろうか、と恐れを抱いている。いったん外国籍を取ってしまうと、いかに心情的に日本を思っているとしても、「国籍法の観点からは『棄民』されてしまっている」。
 実際は、国籍喪失届を出さないかぎり、日本国内の戸籍が除籍されることはないので、理論上は帰国して住民登録を行えば、日本国パスポートを取得できる。二つのパスポートをうまく使い分けて日米両国を自由に行き来し、滞在したりしている人がいる一方で、10年または数十年ぶりの帰国を前にして、日本のパスポートが失効していることに気がつき慌てる人もいる。おそらく数十万人の人たちがこの状況にいるようだ。
   ■住民登録の問題
 これまで相談がなかったが、最近住民登録を申請する段階でつまづくという例が多い。政府の対応がより厳格になったのか、と疑問に思っている。国としては、外国国籍を取得した人が自発的に国籍喪失届を出すことを期待するのは事実上不可能なので、「住民登録」という切り口からの管理にしたのでは?という疑問が湧く。
 パスポート更新には住民登録が必須だ。一番多い相談は、数年前、十数年前、数十年前に日本出国の際に「海外転出届」を市区役所に提出した人で、長い間の米国または他の外国滞在の後に日本に戻り住民登録しようと窓口に行ったところ「帰国した日の記録が記されたパスポートなどの証拠を提示しないと再度住民登録を行うことができない」と言われたというケースだ。日本パスポートがすでに期限切れになっている人たちは、米国など別の外国パスポートで日本に入国しているため、そのパスポートを見せると外国国籍を有していることが知られてしまい、「日本国籍喪失者」として扱われ、住民登録ができない、または外国人として登録されてしまうことになるのでは、という恐怖に襲われ、住民登録しないままにまた米国に戻る人も多い。
  それらの人に私はアドバイスした。「外国のパスポートでも帰国日が分かるスタンプが押されているものを見せれば住民登録はできるので試してみてください。」後日メールなどで報告が寄せられた。「米国パスポートを見せてOKでした」、「帰国の航空券の半券を見せたらOKでした」。各行政の窓口での対応には違いがあることが予想され、一概には言えない難しさがあるが、「必ずしも有効期限が残っている日本のパスポートに帰国日がスタンプで押されているものを見せる必要はない」と知れば少し安心できるのではないか。
  ■私の解決方法
 私自身はトラブルや煩雑さの回避のため、米国在住だが日本の住民登録は「海外転出届け」を出さないでそのままにしてある。日本の国民健康保険にも加入しており、日本での健康トラブルに備えている。こういう解決方法もある。
 日本ではすべての物事が住民票で動く。従って「入口」で扉が閉ざされてしまうと、その先が困ってしまう。国民健康保険なども住民登録に基いて記録、処理されている。


近藤ユリさんが国を提訴したと報道する記事

2022/6/2毎日新聞 「外国籍取得で日本国籍喪失は違憲」 米で活動の弁護士が国提訴
https://mainichi.jp/articles/20220602/k00/00m/040/294000c

 外国籍を取得すると日本国籍を失うと定めた国籍法の規定は「国籍離脱の自由」を保障した憲法に反するなどとして、渡米して米国籍を取った近藤ユリさん(75)が2日、国に対し自身に日本国籍があることを認め、日本の旅券(パスポート)の更新を拒否した処分を無効とするよう求める訴訟を福岡地裁に起こした。日米を行き来しながら米アリゾナ州で弁護士をしている近藤さんは、同様の相談を多数の在外邦人から受けてきたとして「私自身のためだけではなく、多くの人のために制度を変えるべきだ」と訴えた。

 訴状などによると、近藤さんは1947年に神奈川県で生まれ、71年に進学のため渡米して永住権(グリーンカード)を取得。日米を行き来しながら、97年に同州で弁護士業務を始めた。米大統領選での投票を希望したことや税務上の不利益があるため、2004年に米国籍を取得。その後も日本のパスポートは使え、再発給もされたが、17年に更新手続きをしたところ、米国籍を得て日本国籍が喪失したとして拒否された。

国籍はく奪条項違憲訴訟@福岡  - 2023/5/24

次回の予定:
2023年5月24日(水) 13:30 福岡地裁
報告集会はzoomウェビナーで視聴できます。
お問合せ:
弁護団事務局 suit@earth.nifty.jp

【申込フォーム】4月16日オンライントーク「海外日本人と国籍喪失の危険性」

https://is.gd/2fLYaU



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