母の葬儀から1週間が経った。 アルツハイマー型認知症となり、桐生の山奥の特老にでかれこれ10年近くを過ごした末の往生である。 特老への入所の報を受けたとき、暇を見つけて見舞いに行ってみると果たして私は母にとって既に初対面のアカの他人であった。 だがそのときはまだ、茨城に息子が住んでいるのだと自分の身の上を口癖の様にではあるにせよ話すことが出来ていた。 妻も同行していたが私は母の変わり様がショックで、母とアカの他人として会話しながら涙ぐんでいる自分を隠す事は出来なかった。