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【アークナイツ世界観考察】魔王とは何か?

【注意】この考察はあくまで非公式でネタバレや私見を多く含んでいます。また、著者自身もこういったことをするのに慣れていないので、至らない点があっても優しい目で見ていただけると助かります。
また、今回の考察に関してはかなり根拠の薄いものとなっています。こういった考え方もあるのか、といったような形で見ていただけると幸いです。

普段はアークナイツのキャラクターに関する考察を行っていますが、今回は趣向を変えてアークナイツにおける魔王とは何なのか?というところに私なりの解釈ではありますが迫っていこうと思います。
新しいことが分かり次第追記していこうと思います。

魔王と指輪

アークナイツのストーリーにおいて明確に魔王と呼ばれた人物は二人います。
一人はアーミヤ、もう一人はテレジアです。
この二人における共通点には「指輪」があげられます。

悪魔と指輪と聞くと某ゲーム作品の知識もあって、最初に浮かぶのは「ソロモンの指輪」でしょう。
その「ソロモンの指輪」が登場する偽典、『ソロモンの遺訓』では以下のような記載があります。

受け取るがよい、王にしてダビデの子なるソロモンよ。主なる神、いと高きゼバオトが汝にくだされた賜物を。これによって、汝は地上の悪霊を男女とともにことごとく封じるであろう。またこれの助けによって、汝はエルサレムを建てあげるであろう。だが、汝はこの神の印章を常に身に帯びねばならぬぞ

アークナイツの指輪の継承者の行動にはこれと似たようなものが見られます。
上記の引用文を基とすると

これ(=指輪)によって、汝は地上の悪霊(=鉱石病)を男女とともにことごとく封じるであろう。またこれの助けによって、汝はエルサレム(=カズデル、ロドス)を建てあげるであろう。だが、汝はこの神の印章を常に身に帯びねばならぬ(=外すときは力を継承するときのみ?)ぞ

このように解釈することができます。
この指輪は、代々の魔王に記憶と力、そしてこの使命を継承していっているのではないでしょうか?


魔王と大罪

サンクタ(天使)とサルカズ(悪魔)という種族がいると言うことから、アークナイツはキリスト教に関する内容が混ぜ込まれていると考えられます。

そこで、キリスト教における魔王とは何かについて考えてみましょう。
キリスト教おいての魔王はまずサタンが上がります。しかし、この記事ではダンテの「神曲」の順番を基準とした七つの大罪を軸に考えてさせていただきます。

「魔王」についての考察に入る前になぜ「神曲」をもとに考えるかを先に述べさせていただきます。

アークナイツにおけるバベルの画像は上記のように螺旋を描いて天へと向かう7層の塔のようなものとなっています。
これはダンテの「神曲」で描かれている地獄の下層、天と地が反転した場所にあるとされる煉獄山をひっくり返したものと相似した形状をしており、バベルと同様にその先には天国が存在するとされています。
さらに、上へと昇るバベルは人の業によって作られかけた天へと昇る道、下へと降る煉獄山は人の魂が清められて天に昇るにふさわしい人物になるための修行、というようにアプローチは真逆ではありますが結果として天へと向かうという結果に関しては一致しています。
これらの関連性からダンテの「神曲」とアークナイツには少なからず関連性があるのではないかと考え、考察の基としています。


第七冠「色欲」

まず、アーミヤの種族から見ていきます。アーミヤは外見的にはコータス、オペレーター資料の種族欄にはキメラと表記されています。
コータスのモチーフとなっている兎と資料に表記されたキメラはどちらも「色欲」を象徴しており、なおかつ、「色欲」の大罪に対応する悪魔はアスモデウス、動物は兎となっています。
アスモデウスは見た目が馬の頭や人の頭が混ざったキメラに近しいものとなっており、種族のキメラなどはこれをモチーフにしていると考えられます。
「神曲」において「色欲」は第七冠、最後の魔王だと解釈できます。


第六冠「暴食」

「神曲」において第六冠の大罪「暴食」に対応する悪魔は「ベルゼブブ」となります。
アーミヤの一つ前の魔王であるテレジアに暴食の描写はありませんが、ベルゼブブは魔界の君主とされており、ベルゼブブの本来の呼ばれ方であり嵐と慈雨の神バアルの尊称である「バアル・ゼブル」は「気高き主」、「高き館の主」といった意味合いを持っています。
またバアルは慈悲に富んだ神でもあり、そういった意味合いではテレジアと大きく似たものがあります。
さらに、高き館と解釈できるようなバベルも建造しつつあるので、そのモチーフにはふさわしいのではないでしょうか?
また、テレジアは同胞であるサルカズと戦うことをあまりよく思っておらず、そういった意味合いで、「悪霊が仲間である同じ悪霊と争うはずがない」といった福音書の言葉に近しいものが感じられます。


第二冠「嫉妬」

アークナイツでは「白鯨」をモチーフとした描写が度々みられます。
そして、聞き慣れた話だとは思いますが、ロドスという船には鯨の骨格のようなものが使われています。この骨格はレム・ビリトンの地下に埋まっていたものであり、アークナイツの世界観において、かなり古いものだと考えられます。
それらの情報から、この骨格のモチーフとなったものは「白鯨」の著者ハーマン・メルヴィルの名前が使われている古代クジラ「リヴァイアサン・メルビレイ」ではないかと考えています。
そして、「リヴァイアサン・メルビレイ」の名前の一部であるリヴァイアサンは七つの大罪において最も重い罪とされる「嫉妬」に対応した悪魔です。


第一冠「傲慢」

Elさんの考察を読んでいるとプリースティスは洪水を止めるために神の血を盗んで、自分に融合したのではないかという部分があります。

これもその見方に近しく、ルシファーが自分自身が神を裏切って神になろうとしたのと同様に、プリースティスは世界を覆う洪水から種を存続させるために神の血(=ここでは源石と解釈しています)を自身に取り込むことで、最初の感染者であり、神を裏切った最初の悪魔(=サルカズ)となったという解釈です。


神にたいし[このような]思いがあった侮辱的な行為に出るよう彼らを煽動したのは、ノーコス(ノア)の子カマス(ハム)の孫で、強壮な体力を誇る鉄面皮人のネブローデース(ニムロデ)だった。彼は人びとを説得して、彼らの繁栄が神のおかげではなく、彼ら自身の剛勇(アレテー)によることを納得させた。

ユダヤ古代誌Ⅰ

また、これはユダヤ古代誌Ⅰの一説です。
そして、ここにはバベルを作り上げるように人々を扇動したのはノアの血を継いだ者と書かれています。
神の血を盗んだものが魔王であり、プリースティスがノアのように洪水を防いだ者なのであれば、この古代誌にあるように、その血の継承者がこのようにバベルを建てるのもおかしい話ではないのかもしれません。

さらに、この続きにバベルの塔を建てたとされる理由らしきものも書かれています。

彼はまた、もし神が再び地を洪水でおおうつもりなら、[そのときには]神に復讐してやると言った。水が達しないような[高い]塔を建てて、父祖たちの滅亡の復讐をするというのである。

ユダヤ古代誌Ⅰ

もしかすると、バベルの塔は再び起きるかもしれない洪水からエーシェンツを守り、そして神へと干渉する何らかの機構を備えたものなのではないでしょうか?


総括

ここで言いたいことは魔王はテレジア以前からも継承されていた可能性が考えられるというものです。そして、魔王は各々が七つの大罪に登場する悪魔に対応した何らかの特徴を有しており、「神曲」の順番で代々記憶と力を継承しているものだと見ることもできます。
この推測を基とすると、アーミヤ、「色欲」は七番目の大罪、つまりこれ以上は継承されない、もしくは継承される必要が無くなった可能性が考えられます。
何が起きるかはわかりませんが、ここから本格的にプリースティス、最初の魔王につながる何かが始まるのではないかと勝手に推測を重ねてどんどん楽しみになっていきますね


参考文献

Wikipedia:バベルの塔

Elさん著【アークナイツ世界観考察】星芒、極地、秘境と大いなる静謐ーー大洪水の謎を解き明かそう(大陸考察の和訳)


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