凡乃ヌイス「6と7」感想
画力、ストーリー、タイトル全てが天才。
Xのおすすめで流れてきて、画力の高さ故により滲み出る不穏な空気とツリーに続く最高エッチシーンに出勤の準備もそこそこにRentaで購入したけども。
仕事なんか行ってる場合じゃありませんよ、これは。
自宅のベッドで噛み締めさせてほしい、この最高な物語を。
陰かつ歪みの癖が全部入っている上に、作者の掌の上で転がされ続け、面白いぐらいに綺麗にミスリードに引っかかった。
受けの様子は確かにおかしいけど、攻めの存在のほうがもっとおかしいし、受けの様子がおかしいのは存在がおかしい攻めのためだし、攻めは自分のおかしさに気付けないし、受けももうおかしくなっているし、攻めも受けもお互いに異常に執着しているしというインフィニティ地獄。
関係性のウロボロス。
徹頭徹尾、攻めも受けも異常で不気味。
関係性が虚ろで朧気で希薄なくせに、お互い離れる気はない。依存性の鑑。
攻めが何一つ理解していないのが、この話をより不気味でおぞましくさせている。最高。攻めは身勝手であるべき教の信者なので本当に良い。
この二人、補い合いながらもゴリッゴリに削れている。「お前だけいればいい」はその二人を幸せにする魔法の言葉だけど、誰かを不幸にするため呪いでもあるのでね。それなのに、この二人の間には愛しかない。最高。
不完全な攻めの足りない部分を受けが補うことで、二人で一つ、完全体、これこそが修二と彰で青春アミーゴだよ。
こういうのが読めるからBLやめらんねぇよな。
冒頭のアリとコオロギの話から、最後の口移しで『餌』を与えるシーン本当にゾッとした。
そういえば最初読んだ時に、「いつからか気付いたら恋人だった」という攻めの回想があり、そこで違和感を覚えたんだけども、読み切りとは言え「気付いたら恋人だった」をこんな物語作る人がやるわけなくない?と思ったけど、これも伏線だったんだなあ……。
あと単純に最中のシーンで、攻めが受けの髪掴んで「隠し事してない? 本当に?」のところが最高だった。
「てぺとる!」の作者さんだと知ったのはこの「6と7」を読み終えた後だったんだけど、作風の幅広すぎる……天才じゃん……となった。