私がVtuberを辞めた訳

こんにちは、あなたのバーチャルお友達、居眠りメイです
可愛い友達が次々にVtuberになっていくのを見ながら、
私が私なりにVtuberを目指し、そして辞めた理由のことをいつも考えてきました。
友達がVtuberになるのを辞めさせたいとまでは思わないけれども、
それで大切なものを失わないよう、私がVtuberを辞めた訳を書いていこうと思います。

0.Vtuberになろうと思った経緯

私は元々ゲーム実況Youtuberの端くれをやっていて、自分を模した男性キャラクターの他に茶番会話用に女性キャラクターを依頼して作成してもらい、動画に何度も登場させていました。そんな折にとあるVtuberの知り合いから「女の子のVtuberの中のどのくらいがボイスチェンジャーを使った男性なのだろう」という質問を投げかけられました。
『ほとんどいないでしょ』という気持ちから調べ始めると、兎鞠まりさんを始め何人もの有名なバ美肉ボイチェンVtuberさんが見つかり、バ美肉ボイチェンに興味を持ち始めました。試しにいつもノイズを消すために使っていたボイスエフェクトツールの中の女性声化のエフェクトを、いつもの地声ではなく裏声にかけたところ、思っていた以上に可愛い声に変換されました。
声が可愛くなれば、理想の女の子を演じてバ美肉ボイチェンVtuberができるのではないか、と思い立った私は、元々Vtuberが好きだったこともあり、Vtuberをやってみようと思って準備をはじめました。
たとえ自分が人気が出なくても、自分の家族がVtuberをやりたいといった時に手伝えるだけの技術力を付けておきたかったというのもありました。

ちなみに、Vtuberとしての準備を開始して2ヶ月ほどで、Vtuberとしての活動を開始することを断念しました。

辞めた理由1:時間が制限される

Vtuberの現在の活動の主流は配信です。
初期は動画を投稿する動画勢が一般的だったようなのですが、
現在はコメントを貰いながらゲームなどを配信するスタイルが一般的です。
配信は、一般的には動画を作るよりも時間がかかりません。
そのため時間がない人でもやりやすい、と思われがちです。
ただ「まともに人に来てもらうための配信」にはいくつか条件があります。
 ①人が見る時間(20時〜24時ごろ)に配信をする
 ②事前に配信予告をして宣伝行為をする
この2つがない配信は、人があまり来ません(特に初期のVtuberは)
人が来ない配信で一人で喋って面白いことを言えてアーカイブが伸びることは初期のVtuberでは殆ど無いです。
宣伝行為は動画勢と違って事前に行う必要がある上に、配信予告をすると配信する時間を変更するのは困難になります。
また、普通の人が配信を見たり、仲良くゲームをしている時間に、自分はその友達の来てくれない自分の配信で一人で配信をしなければいけなくなります。
つまり、こういう事が起きます。
 ①一日の予定を配信の開始時間に合わせなければいけない
 ②みんなが遊んでいる時に一緒に遊べない
特に家族がいると、家族に迷惑をかけたり、夫婦関係の悪化にも繋がります。育児よりVtuber活動を優先するわけにも行きません。ですが、たとえ配信を24時からにしていたって、準備や寝かしつけ、旅行、睡眠時間など、様々な影響が家族に出てきます。
あなたが今まで心の支えにしていた、友だちと遊ぶ趣味の時間を削ってまで、あなたはVtuberで得られるものがあるのでしょうか。
私にはありませんでした。

辞めた理由2:お金がかかる

Vtuberはお金がかかります。
現在の主流であるLive2Dモデルを使った配信には、
必要なものがたくさんあります。
 ①機材(PC・カメラ・マイク・オーディオインターフェースなど)
 ②ベース素材(キャラクターデザイン、Live2Dモデリング、ロゴや配信背景)
 ③コンテンツ素材(サムネ、有料ファンアート、歌ってみたのMIX)
 ④広告費(GoogleAds、各種イベント出展など)
これらの殆どが持ち出しとなり、まともな人気が出るまでは赤字になります。
人によりますが、10万〜100万ほどかかります。
そして、お金をかけないと人気が出づらい現状もあります。
スパチャを貰えるようになっても、継続的な活動のためにこれらの資金に当てられることがあるため、プラスになるのはよほど有名になってからなのです。
幸いなことに私は、別の趣味に当てていた程度の金額で出費は抑えられましたし、Vtuber活動をやめたあとでも使っているため、大きな損はしていませんが、本格的な活動を始めたら、家計に影響が出ていただろうなと思っています。

辞めた理由3:人気が出ない

現在Vtuberは2万とも3万とも言われています。
あなたが有名になる前に、新しく登場していきなり有名になっていく化け物のような個人勢Vtuberや、企業勢Vtuberもたくさん出てくるはずです。
Vtuberバブルは終わり、いまや誰でもVtuberになれる時代です。
ところが、視聴者の殆どは「すでに有名なVtuber」のファンであり、新しく出てきたどこの馬の骨とも知らないVtuberのファンになる人は少ないのが現状です。
一見大盛りあがりした初配信が、実は活動開始にあたって作った横の繋がりのおかげで来てくれただけの「友達のVtuber」だらけで、2回目の配信にはほとんど人が来ない、なんていうのは日常茶飯事に起きています。
初配信前に登録者が1000人を突破する人もいれば、活動開始して3ヶ月で登録者100人もおらず、配信にもほとんど人が来ないVtuberは多いです。人気が出ずに活動終了したVtuberは数しれず、誰かの動画では「一年で半分が引退・休止する」というデータを出したようですが、それも数年前の話で、誰でもVtuberになれる今の時代、活動を断念してしまうVtuberの比率はもっと上がっていると思います。
私は、他の人よりも抜きん出ている才能も、魅力も自分には感じませんでした。なにせゲーム実況Youtuberとして既に「自分には人気が出ない」ことを知っていました。人気が出ないと相当つらいVtuber人生を歩むことが分かった以上、続けられないと思いました。

辞めた理由4:やりたいことができない

名字があって名前が平仮名かカタカナ、Live2Dで動き、配信画面が会ってゲーム配信などをする。名前を組み込んだ固有のあいさつがあり、ファンマークやファンの呼び方が決まっている。Twitterで同期Vtuberをたくさんフォローし、コンテンツをツイートし続け、おはようツイートとおやすみツイートを毎日し、もらったリプに返事をして交流をする。記念配信をしたり、大物Youtuberがやっていたゲームを同じようにプレイしたり、何人かで集まってコラボ配信と称し麻雀や雑談配信をする。
今、Vtuberの活動はテンプレができています。
これらのやり方を取らなくてもVtuberを名乗ることはできますが、視聴者側は大抵このような「よくいるVtuberテンプレ」をこなすVtuberを求めているフシがあります。一部の過激派はこのようなVtuberテンプレに沿っていない場合はVtuberではないとすらいいます。
Vtuber界隈は優しい世界だと言われていますが、それはこれらのVtuberテンプレをこなせるよくいるVtuberに対してであり、我流で活動を始めたVtuberが自分の手で宣伝活動を行ったり自分の配信の空気を作っていくことはかなり労力がいります。そして、それは今まで界隈で愛され洗練されてきたVtuberテンプレよりも効果を出すことは稀です。
まともに人気を出し、視聴者を喜ばせたいと思ったVtuberというのは、結局の所他のVtuberと似た活動をするようになっていきます。
当然ですが、自分のやりたいゲームを選ぶよりも、配信で人気が出るゲームを選ぶことになりますし、やりたくないホラーをしたり、興味のない麻雀のルールを覚えたり、少し登録者の多い知り合いのVtuberからパワハラを受けながらコラボ配信をしたりすることになります。
自分のしたいこととそれがまともに人気が出るコンテンツになるかどうかを考えた時に、私は難しいだろうなぁと思いました。

辞めた理由5:心が壊れる

Vtuberというのは、いわばアイドル的な存在です。
登録者という絶対的な指標の前では、誰もが「多くの人に愛される存在」であることを求められているような錯覚に陥ります。
自らの活動が何を目標にしており、何を原動力にしているのか、また常に何を気をつけなければいけないのか、を考えながら毎日自分のやることを決めたり判断していく必要があり、それはさながら経営者目線のようです。
一般人であった私達が、いきなり慣れないアイドルや社長的な存在になった時に、起きるトラブルは様々ですし、意識の違いというのは心に大きな影響を及ぼします。
Vtuberでそのようなトラブルが発端で心を壊して辞める人は後を絶ちません。
お気持ちツイートをする人もいれば、せずにひっそり消える人もいます。
あなたは本来なら「ひどいことをされたなぁ」と思うようなことですら、「Vtuberなんだから仕方ない」と我慢しなければいけない生活が始まるのです。
 ①突然のセクハラDM
 ②止まないクソリプ
 ③攻撃的なマシュマロ
 ④配信への荒らしコメント
 ⑤指示厨
 ⑥自分の配信でモチベーションの下がるようなコメントをされる
 ⑦行き過ぎたガチ恋勢の目に余る求愛行為
 ⑧特定・晒しなどのプライバシー侵害
 ⑨人格攻撃すら辞さないアンチ
びっくりすることにこれらは、大して人気も出ていない新人Vtuberのうちから、ただVtuberだからというだけで湧いて出てきた「実はあまり悪意のない一般人」からもたらされます。
まったく、リターンのない状態で多大なリスクを最初から背負わされることになるのです。
これらの被害を受けたとしても、VtuberにはVtuberを守ってくれるものはありません。心に傷を受けても、ケアしてくれる人は殆どいません。
頑張ってという応援のメッセージすら、負けてはいけないという強迫観念に置き換えられ、自分で自分を慰めることすらできなくなっていきます。
気付かないうちに心を病み、体を壊し、実生活に影響が出て、そして最終的には休止ツイートをすることになります。
私はこれらのことへの精神的な耐性が少ないことが事前にわかっていました。Vtuberの置かれた状況が思っていたよりもひどかったのを受け、これは自分には無理だなと思ったのです。

Vtuberを辞めた、その後は?

さて、せっかく人格として完成しつつあったVtuberの居眠りメイはどうなったのでしょう。買った機材は、作成した3Dのモデルは、発注したイラスト素材は、今まで作ってきた人間関係はどうなったのでしょう。

実は、ほとんどが無駄になっていません。
Vtuberというのは実のところ、いくつかの要素があります。
 ①現実と違う見た目・キャラクターを演じる
 ②配信などを行い社会的な価値を生み出して有名になる
 ③配信やTwitterを通じて人とコミュニケーションをとる
私にももちろん、有名になりたいという夢はありましたが、それは叶えなくてもいいなと諦められる程度のものでした。ですが、①と③は、私にとって引き続き必要なものだったのです。

そこで私がVtuberになることを辞めてからも続けているのがVRChatです。

このゲームでは、自分のなりたい姿になって、人とコミュニケーションを取れます。ゲーム内で友だちになった人と、会話をして、触れ合って、一緒に遊びに出かけて、時には相談し合ったり、励まし合ったり、全てを忘れるためにバカみたいにはしゃぐことができます。
使用するいくつかの機材は、VRChat内で快適に活動するために流用ができました。

この先、現実とは違う自分になってみたいと思う人は増えていくと思います。
そして、その人達は残念なことに、有名な「Vtuber」というコンテンツを見て、これがその望みを叶えられるものだと勘違いしてVtuberになっていくと思います。
ですが、Vtuberはそんなに簡単なものでも、楽なものでも、楽しいものでも、安全なものでもありません。

私は、声を大にしてみんなに伝えたい。

Vtuberなんかやらず、VRChat始めよう!!

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