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あらすじ

思い出す。あの時、言いたかったこと。溢れ出る唾液と一緒に飲み込んだ言葉は、私の一部に留まる。 思い出す。花火は大きければ大きいほど綺麗だなんて嘘だ。私の視野範囲を超える大きな打ち上げ花火より、小さな公園でした線香花火の方が痛いくらいに美しかった。 思い出す。何年も前に手紙に同封した煙草を今も大事に持っている彼女が愛おしくて愛おしくて。君が幸せでいてくれるなら、私、ずっと月が見えなくなっても良い。 思い出す。凍えるほど寒い夜、商店街で飲んだコーンポタージュほど美味しいものに未だ

    • この映画を終わらせられるのは

      酒は飲んでも飲まれない、遅かれ早かれ何かを失う。煙草は1日1箱まで、身体にも財布にも優しくない。喉から手が出るほど欲しいものは買えば良い、反してそうでないものは買ってはならない。なるだけ活字に触れる、傷つけない言葉を私はもっと知らなければいけない。依存先は幾らあっても良い、それらが無機質なものであれば尚良い。定められた形から少しだけ足を出す、秩序を必ずもって。悪口は決して言わない、ただただ美しくない。好きだと必ず言葉にする、いずれ伝える事すら出来なくなる。数少ない友人を大事に

      • 222222

        ふたつの眼球では出てくる涙を出すには足りない

        • それは青かった

          夏が終焉を迎えようとしている。 線香花火の火薬が落ちて暗闇になる瞬間。珈琲フロートの味。風鈴の音。扇風機に向かって吐き出す不満。夏のプレイリスト。じっとりと纏わり付く汗。蝉の鳴き声、死骸。満天の星空。鴨川で飲んだビール。冷房のおかげで高くなった電気代。かき氷を頬張った後の頭痛。中途半端に残っている素麺。 季節の変わり目はいつだって苦手だ。季節にすら置いていかれているような、正確に言えば、世界に社会に人間に、背を向けられている気がする。むしろ私自身だけが後退しているようにす

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