臆病者は秋に向かない

2020(R2)0914Mon

秋は寂しい。8月頃からその存在をチラチラと小出しにしてきたくせに、いざ「さあ紛れもなく秋です」と現れると、言いようのない寂しさが湧き出してくる。それは夏というものへの未練じゃなくて、いやそれも含めた、絶対に戻らないものへの未練を感じさせるからだと思う。記憶に残っていない、それでも確かにあったと思わせる、水彩画のような過去が姿を見せる。いつものように風に乗って。いつから、こんなに風は冷たくなったんだろう。涼しいを超えて寒いになった風は、冬を思わせた。秋は、いつも去った季節と来る季節を匂わせる。instagramか。冬は嫌いじゃないしむしろ好きなんだけれど、今年は、冬が来るのが怖い。春は確かに別れの季節だけれど、出会いの季節でもある。冬は、避けられない別れに向けた心の準備を強いられる季節だ。それが、たまらなく寂しいのかもしれない。離れたくないと思える人に出会えたこと以上に、その別れが常に怖い。秋が、臆病者をいじめてくる。

#日記

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