アンチ・少年少女

2020(R2)0522Fri

少年漫画、少女漫画を十分に与えられてきた私は、感情こそが人間の正義なのだと信じて疑わなかった。許されないことをする敵に対する心からの怒り、だめだと分かっているのに相手を求めてしまう恋情・悲しみ、自らの持つ感情をなにより大事にし行動を起こす主人公達は、私のヒーロー・ヒロイン像の構築の糧となった。感情を抑制することは間違っていることだと思っていた。なぜなら漫画の中では必ずと言っていいほど、主人公が感情を抑制する相手に何かしらの良さげな言葉をかける場面があったからだ。(実際に私がそれに倣っていたかというのはまた別だけれど)だから私はいつも不思議だった。なぜ大人は激しい感情すら抑え込んでしまうのか、どうしてこの場所であのムカつく奴を殴ってはダメなのか、どうして正直に胸の内を話さないのか。

今感じているのは、実はそれぞれの感情は私だけのものだったり私だけのものじゃなかったりする、ということだ。自分の居心地の良い区域にいるとパッと見「みんながこのことに怒りを感じてる!」って思ってしまうけど、実はその区域は世界の2000000分の1でした、っていうことはよくある。小説を読んで上向きな感情を持つ人もいれば、文字の羅列を見た時点で吐き気がする人もいる、というような単なる事実を想像できてなかったなあ、と思っている。あと、私は感情というものを好き嫌いとイコール化し過ぎてたなあとも思った。脳みそがぐつぐつ煮えたぎってぐちゃぐちゃになってる時に行動を起こしても、少なくとも私の場合は後悔する。「好き嫌いこそが正義だ!」って何だそれ、めちゃくちゃ怖いな。

最近もう一度あの頃の漫画たちを読み返そうかなと思っている。あの時主人公たちが言っていた言葉ってなんだったのか、ちゃんと考えないと失礼では…と思ったので。心残りは消す時間と力があるうちに消さないときつい。今の私が大人だとは到底思えないけれど、無駄に増やした脳で考えてみるよ珠代さん。私の少年・少女と話をするために。

#日記

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?