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絵本はいない

2020(R2)0809Sun

今、実家には絵本がない。「はじめてのおつかい」も、「おまえうまそうだな」も、「オリビア」も、「おばけのてんぷら」も、「からすのパンやさん」も、ない。私にとって絵本は、ひとりで読むものだった。ずっと昔の覚えていない頃には読み聞かせてもらったりしたのかもしれない、けれどなにぶん、覚えていない。ひとりで読むことは決して悲しいことではなかった。両親は共働きでいつも忙しくて余裕もなかったし、それは私にとってずっと当たり前のことだったから、特段寂しさを感じることもなかった。むしろ絵本は、私がひとりで過ごせるように買い与えてくれたものかもしれない。絵本が好きだということを考えると、私はやっぱり言葉より絵が好きなんだと思う。そう、私は言葉より絵の方がずっとずっと好きだ。私のそばにあったのは、言葉より圧倒的に絵だったから。きっと、中学の美術で5をとれていたら、私はずっと絵を描いていた。嘘、やっぱり描いてない。相対評価に取り憑かれた私に冷えピタをつけてくれたのが、言葉だった。それでも私は今でも絵が好きだ。

私には3才下の弟がいるけれど、弟が生まれた頃のこととか全く覚えていないから、多分私の自我が生まれたのは4才以降なんだなあ。私に、幼い、本当に幼い無垢な子供時代があったことが不思議で、なんだか面白く、ぬるくてさみしい。きっと絵本は、私が「絵本が必要ない人間」として映ったからどこかへ行ってしまった。悲しくはない、さみしい。せめてどこかで、循環してたらいいね。

ps.写真はオリビア、はきはきした少女。お気に入りのお洋服を着て、颯爽とキックボードで登校するシーンが好き。

#日記


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