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スプーンに映る白い夏

2020(R2)0603Wed

なんかもうやだ!誰にも会いたくないし話したくない!どっかの平和な外国で一人旅したい!という時は、大抵そうできない時なわけで 最近は、「何もかもやめて誰にも何も言わずたった一人、静かな海の見える白い街でホテル暮らしをしている」という妄想をしている。私の部屋からはちょっと覗けば青い青い海があって、その上空を、カルピスを薄めたみたいな色の風がスルスルと吹いている。下の砂浜でおじさんが一人で海の家をやってるけど、あんまりお客さんはこない。人の声のしない、私の声すらしない部屋、という想像。これがなかなか良いもので、慣れれば車の音は波の音に変わるし、ちょっとした雑音は海の家のおじさんが何かしてるって置き換えられる。あんまり海に行ったことのない人間の特権かもしれない。この部屋で、水色と白のマダラ模様のワンピースを着てバニラアイスを食べている。バニラビーンズの匂いが指から漂う。めずらしくマニキュアを塗った足は、紛れもなく夏だった。

#日記

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