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丸いトビラが好き

2021(R3)0716Fri

恐ろしいことを言います。セブンティーンアイスに前ほどの魅力を感じなくなりました。言ってしまった、言ってしまった。このことに気づいた時、私がどれだけ心胆寒からしめる思いをしたか、分かりますか?あの愛らしい箱に円柱型のアイスがつまっているなんて、夢と希望の具現化、と言っても過言ではない。のに。大学にはセブンティーンアイスの自販機がある。(きっと数年前の私が知ったら踊り出す。)  私は、何よりもまず値段を見てしまうようになった。いや元々見ていたけれど。私は無意識に、コンビニやスーパーで売っているアイスと彼らを比べるようになったのだ。ありえない。だってアイスの前に、人間の知能は無力だ。それは愚かさではなく、正当な反応であり、礼儀だ。「あなたが好きだ」と思う時、「あの人と比べて」なんて逡巡するのは嫌だ。しかし現に、私はそうなってしまったのだ。ガッデム。おばあちゃんが、イオンでセブンティーンアイスを買ってくれたのを思い出した。気持ちの変化は、過去の抱きしめたいもの達を否定してしまうようで怖い。そうではないと知っているけれど。もう大学にはほとんど誰もいなくて、その場で食べた。ゴミ箱はいつも満杯だった。やはり君たちは人気者だよね。烏滸がましいけれど少し安心した。思い出の塗装がかろうじて守られた気がしたのだ。そうして私は、自転車のカゴに2つの剣を刺して、家へ帰った。雷が鳴る。避雷針にもならないそれは、幼い頃のまま。

#日記

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