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【Doctor Kano-AIR DAY3】

Doctor Kano滞在制作3日目は、場所を見晴らしのいい屋上だけが取り柄の実験的解放スペース、空白ビル(※1)に移して制作。

「ドクターカノインダビルディング」(※2)

Dr.は楢山の2日間で既に5〜7曲程ビートの大枠を組んでいて、後は磨いて行く段階に来ました。

限られた日程の滞在制作の為、波形編集機能がないMPC3000は近年のビートメイクに特化した機材よりも何かと時間は掛かりますが、直感的部分があるこの機材でサンプリングをチョップ(※3)し、誰にやれと言われたわけでもなく長時間制作に集中する姿は関心よりもこちら側が感化される時間になりました。

そんなDr.を解放する為に屋上に機材を設置し、楢山から持ってきたレコードや制作途中の音を聴いてしばしリラックスしてると、間もなく雨が降ってきた為、急いで機材と共に室内に移動。
(これは空白ビルではよくある光景です)

昼食はビートをチェックしながら

イントロの構成や新たに制作したトラックなどなど、空間が音で循環してくると、いつのまにか空白ビルに月が浮かんで来たところで一度レコードにダイレクトカッティングをする事に…

5月の夜はまだ寒い

カッティングした曲は、後に「SOAP STREET」という名になるドープシット。

A-2 SOAP STREET

Dr.はMPC3000の16LEVEL(※4)を駆使し、こもらせたベースラインを弾いていたが、ベースだけでも首が自然に振れる程タイミングと抜き方が絶妙。

MPC3000とダイレクトカッティングマシン

ウワネタ(※5)は二小節と四小節目に表情を出させ、夜に一瞬火を付けるように静かに燃えてくる感覚。

決してドラムだけで曲を引っ張らない、ベース・ドラム・ネタの入れ方と抜き差しだけで創る
「小節世界」をループさせ、夜に交わらせる事で雨に濡れた黒いアスファルトを歩くような音像が現れてきました。

月光浴ができる空白ビル

彫ったダブプレート(※6)を何回か試聴すると、Dr.はおもむろにヘッドホンをミキサーのマイク端子に差し込みマイクの代用にしてラップを乗せはじめました。

ベッドホンをマイクにするDr.

Dr.の中で何かが覚醒し自然現象のようにラップをする姿を見ると、ヒップホップやミニマルミュージック、ループミュージックには同じようなカタルシスを迎える親和性があるように思えます。

夕食の準備の為に自分は一度空白ビルを後にするが、「SUERTE」のアートワークを担当したUBも空白ビルでの制作現場に訪れ、この日を写真で記録している。

撮影 | UB

【DAY3 夕食】
バーミヤンの冷凍餃子🥟
オボマーボー
ワラビのお浸し
もやしサラダ

様々な店の餃子を食べましたが、バーミヤンの餃子は中身がジューシーで、噛むと具材と旨味のあるスープが多く溢れ出ます。お酢、もしくは何も付けないでいける程、味の深みが素敵です。

何か来客がある時などはこの餃子でおもてなす事がよくあり、値段も40個1000円以下でお勧めです。

餃子余談で3日目は終了。

※1 空白ビルとは室内と屋上が半分ずつの秋田市某所の実験解放空間。これまでに音とダンサーの企画「解き放たれるまで」、歌人のフジワラマリさんのプライベート企画「空に寄る夜」、画家のmw-faの深夜屋上ライブペイント、OVOのカッティング出店、最近ではアンビエントダンサー田中太郎aka犬doggの滞在制作公演などなど、空と室内を利用し解放に特化した催しが行われていて、今後も解放企画が行われるインディペンデントスペースである。

※2 インダビルディング(In The Building)とは「○○がここにいるぜ」「ここにきたぜ」のようなスラングでインダハウス(In The house)も使われるがもっとスケールが大きい意味でビルディングになったと言われている。「da」は「The」の訛り。

※3 チョップするとはサンプリングして抜き出した部分をさらに細かく切り刻み原型をとどめないようにし全く新しく再構築する、その作業と技術であり専門的な音楽教育の機会や、高価な機材を買う資金を持たないアメリカの貧困地域で生まれたヒップホップに多用された手法で現在の音楽では欠かせない手法にになったものです。
近年ではダフトパンクのあの曲もサンプリングしチョップして制作された事がわかり話題になりました。

※4 16LEVELとはMPC3000に備わってる機能でピッチ(音の高さ)やベロシティ(強弱)などを16段階にして16個のパッドで演奏できる機能。 ピッチに設定すれば、1つのベース音やサンプル素材を元にして16段階の音階をつけて演奏することができる、

※5 ウワネタとは「曲のドラム以外の部分」を指すます。ヒップホップではサンプルのことを「ネタ」と呼んでますが、そこからビート部分以外のネタのことを、「上に乗っけるネタ」つまり「ウワネタ」と呼ぶようになりました。

※6 ダブプレートとは1枚ずつレコードの盤面に直接溝を刻む「ダイレクトカッティング」により、音源が収録されたレコード盤のことを指します。

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Doctor Kano -SUERTE- 7”
ドクターカノ、オフィシャルツアー第2弾はなんと、オリジナル7インチvinyl
cutting by OVO
秋田市は楢山と空白ビルにて3泊4日の出張の末完成したINST4曲入り7インチレコードになります。LIMITED4枚

https://gshop500.thebase.in

produced & mixed by doctor kano
vinyl cutting by OVO
art work by ub
document ambient by nost
place 空白ビル
big s/o to shinji,maru&miwa


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