揺りかごから墓場まで

雨音が鳴って
十まで数えたら
足音まで鳴って
わかっているから
引き留めない

この四畳半を陣地として
極限まで細胞が拡大して
お母さん、
昨夜 あなたは
遺言のように
大量の赤いヘアピンを散らした
分からない言葉で
あちこちに引いた境界が
わたしを定義して
とても 孕む

かたくなに結んだ拳から
砂がこぼれて
巧妙にひそませた敵意が
あらわになって
ついに限界を知った

したがって
お母さん、
しんでください
これがあなたのためなのよ
そうやってわらって
いつかあなたが云ったように
わたしを産んだ
痛さに比例して
あなたは ずっとずっと軽くなる

まもなく
豪雨

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