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車:私とスバル・ステラ RN1の終活①/CVT軽自動車ブルース

【素晴らしき、日々とは言えぬ、腐れ縁】

どうも、slaughtercult です。やけに白いヘッダー画像の通りの状況です。
私が免許を取ってから、かれこれ10年近く乗り続けている車があります。
セカンドオーナーが私だったのが運の尽き、通勤路に長距離と毎日のように酷使され、乗り出し25,840kmから194,256kmまで駆け抜けてきた働き者。
今日はそんな、ある一台のかわいそうな車の話を聞いてやってください。


相棒なんて気障に言うと、皆様ついつい、良い車を思い浮かべますよね。
親のお下がりのセダン……はたまた2シーターとか……マッシブなSUVとか……最新のイケてる車……家族との遠出……知己との語らい……恋人との思い出……そんなもんねーよ! いや知己との語らいはあったかな。それはともかく。
私の相棒……いえ伴侶は、夢も希望も無い小さな現実の形をしていました。


排気量658cc、直列4気筒、自然吸気エンジン、CVT駆動の軽トールワゴン。
最高出力 40kw(54ps)/6,400rpm、最大トルク 63N・m(6.4kg・m)/4,400rpm。
初年度登録・平成18年(2006年)6月30日、ごく初期に製造された型と推定。
車体型式・RN1A53D-BLH。その名はスバル『ステラ・カスタムR』。


それは普通の軽自動車……取り立てて好みでなく、購入意欲も湧かなかった黒塗りの低級車。田舎住まい故に仕方なく、生活の足として購入を迫られた車でした。25,840km落ちの中古車を850,000円の3年ローンで購入しました。まあ、お見合い婚のようなものですね。車も乗り手もお互いに妥協しあって見つけた伴侶。誰が大事にするもんかと、当時の私は息巻いたものです。


それから時は経ち約10年。私はまだこの車に乗り続けていた、という現実。色々ありましたよ。色んな所にも行きました。事故もやったなら、致命的な故障も経験しました。55,000km落ちの中古エンジン、250,000円しました。
そうこうする内に、走行距離194,256km。来年には20万km行くでしょう。
多分このままきっと、この惰性の関係はずるずると続き……いつか決定的に壊れ、廃車になってしまうその時まで、我々は一緒にいることでしょう。
相思相愛たりえぬ腰かけの付き合いも、10年続けたなら看取る覚悟を持て。
それだけのことです。別にこの車が素晴らしいからではありません。


【痛し痒しで、あばたもえくぼ】

スバルさんには申し訳ありませんが、お世辞にも良い車とは言えません。
ベンチシートは固く、身体のホールド性能は壊滅的。シートの位置も角度も決まらず、着座位置がいつも中途半端。まあ、私の調整が下手なだけか。
3~4時間の連続運転は慣れ次第で余裕ですが、高速で9~10時間も転がせば疲労はMAX。そもそも、そんな長距離・長時間転がすための車じゃない。
室内容積は軽自動車相応の狭さですが、トール型ゆえ頭上空間に掌一つ分の余裕があります。機械式立体駐車場には嫌われるけどな。あと屋根の高さは重心の高さで、スピードを出せば横風に煽られ、曲がり角ではロールする。
そんな時はスバル軽のお家芸、路面追従性に優れるネコ足・四輪独立懸架がヤジロベエのようにバランスを取ります。この点は評価に値しますかね。


で、ここまでグチグチ語ってきたこと全てがどうでも良くなる最大の問題。
それは……力が、無い! 総排気量658cc、NAエンジン、CVT駆動が生み出す圧倒的な🖕Less Powerful🖕(slaughtercult 渾身のダブルファックサイン)
同時代のスバルの4発軽と言えば、RR構造ゆえ『農道ポルシェ』と謳われる稀代の名車・軽トラック『サンバー』がありました。5速MT車は我が家にも昔あって、運転し始めの頃はその軽快さと扱い易さでお世話になりました。
CVTと5MT……同じEN07エンジンなのに、どうしてここまで違ったのか。


ともあれこの車には、色んなことを教……そんなこと言うとでも思ったか!
この車は、私のこれまで過ごしてきた10年そのもの。ただそれだけです。
仕事場と家を往復する日々、煙草の煙、孤独、不安、敗北感、恨みつらみ、叶わぬ恋慕、小さな冒険……それら記憶の全てが呪いのように染み着いた。
一緒に10年過ごせば、それが愛情かは分からないが、芽生える感情もある。
最近思うんです。ああ、この車ももう若くない、いつまでも元気で調子よく走り続けるわけじゃないんだな、って。いつか動かなくなる時は来る。


私は一回、車の致命的故障(というよりは死)を経験したことがあります。何の変哲もない朝、エンジンをかけ、何かおかしいエンジンの吹け上がり。思えば以前より予兆はありました。会社行かなきゃ、後先考えず走り出して通勤途中の坂道のアップダウン、ガチャガチャと金属音の喘ぐエンジン。
異変を感じ、警告灯が光り……エンジンが沈黙、そしてDEAD END……。
沈黙した車を路肩に停め、JAFに電話し(入ってて良かったJAF)、遠方地のディーラーに運んでもらい、心臓移植(エンジン交換)のオペを依頼。


かつての我が家の車、2代目・日産『マーチ・コレット』1,000cc 5MT車も、運転する度に近づく死を感じました。やっぱり分かりますよ……ハンドルを回す時の異音、クラッチの滑り……この車もうじき壊れるんだな、って。
車を乗り潰す方と、飽きたら直ぐ乗り換える方、どちらが多いのでしょう。私は、というか我が家は、貧乏だから乗り潰すだけなのかも知れませんね。
死神の足音を再び感じる日々、恐怖の裡に思うこと。次の車、どうしよう。
見合い結婚した嫁を抱きながら、まだ見ぬ後家を想う、同床異夢の罪深さ。


【私が軽トールワゴンに約10年乗り続けて得た知見】

1.軽自動車のNA(自然吸気)エンジンの想像を絶する非力さ。
  この特性はCVT(無段変速機)と組み合わさった場合、負の相乗効果に
  より、害悪とでも呼ぶべき、特筆すべき虚弱体質を遺憾なく発揮する。
  このslaughtercult、断言しよう。この車は平坦な街乗り限定仕様だと。
  この類の車は、間違っても傾斜地の多い田舎で運用すべき物ではない。
  CVTの低速ロックアップもローレンジ(1速に相当)しか持たないので、
  上り坂のキックダウンは覚束ないし、下り坂のエンジンブレーキ活用も
  儘ならない。はっきり言ってATの軽自動車に劣る。正に聳え立つクソ。


  CVTの軽自動車を快適に乗りたいなら、ターボやSCなど過給機を付けた
  モデルを選ぶのが無難だ。というか軽規格自体に過給機が必須と言える
  かも知れない。トルクコンバータAT車やMT車なら、ローギヤの加速で
  出だしの悪さはある程度改善されるだろうが。問題はMT車、それ以上に
  トルコンATの軽自動車など、今や劇的な絶滅状態の様相を呈し、今では
  ほぼ中古車市場でしかその姿を拝むことはできないが。だがそうなると
  ある時期を境に忽然と消えたAT車は、どうなってしまったのか……?


2.CVT(無段変速機)の出力特性は、正にモッサリの一言。
  前項と被るが、そう……CVTだ。正に害悪。私が高校時代に乗り回した、
  スクーターを思い出す出力特性だ。これに関しては皆々様、好き嫌いが
  相当ある(AT・MTの変速ショックが嫌いとか)と思うのでアレだが。
  軽自動車だけではない。現在の660cc~2,000ccクラスの車は見渡す限り
  CVT駆動だらけで、MTに憧れる私は場違いな疎外感を感じる日々だ。
  このslaughtercultはCVTが大嫌いだ。CVT車を10年乗り続け、特徴的な
  その乗り味に慣れるどころか、切れの悪いクソをひり出すようなCVTの
  動作のように、モッサリのんびり怨讐は積もり、絶えず加速し続けた。


  私の車は2006年生産モデル、現行のCVT搭載車より10年以上古い技術で
  作られているので、現在のCVTはもっと進化しているかも知れない。
  どう考えてもそうだし、社用車の台車でトヨタ・エスクァイアに乗り、
  7段の疑似MTモードをシフトノブ操作した時にも、ああCVTの乗り味も
  進化したものだなァ、と感じたのは確かだ。所詮はごっこ遊びだが。
  悪いことは言わないから、CVTはスクーターバイクだけにしておけ。
  slaughtercultはアンチCVTだ。私は次の車ではCVT以外を選ぶだろう。


3.大きな車が欲しくなるか、と言われたら、案外そうでも無い。
  大きな車を買い、使い、維持することは、持てる者に許された娯楽だ。
  これは貧乏人の遠吠えと言えばそれまでだが、ある種の事実でもある。
  御伽噺のカボチャの馬車もかくや、四角四面にBIGでFATなТро́йкаども、
  要はミニバンだが。最近よく走っているよな。あれは私に言わせれば、
  2シーターのクーペだの高級セダンだのを買うのと、本質的に同じだ。
  あれを見るにつけ、私は身の丈に合った大きさという問題を考える。
  10人乗りハイエースを転がした私の経験上、思うところがあるのだ。


  私の会社のハイエースは、排気量2,982ccディーゼルターボエンジンの
  4速AT車で、それはまあ呆れるほどデカい。全長など4,900mmであり、
  もう少しで5mに手が届きそうだ。視点が高い代わりに死角も増えるし、
  図体のデカさは内輪差の大きさ、隘路への出入りには神経が磨り減る。
  ディーゼル車はトルクが太く魅力的だが、騒音が難点だ。これは最近の
  車では改善されてるからともかく、やはり図体の大きさと死角の多さは
  どうにもならんな。小型車に比べれば、事故を起こし易い要素が増える
  嫌いがある。大きな車は便利だが、運転にはセンスがいると痛感する。


4.軽自動車を運用する上での、実際的なメリットは何なのか?
  実のところ、余りない。小回りの良さ、という有り体な要素を除けば。
  燃費か? そりゃ大型車よりはマシだが、今や燃費はハイブリッド車や
  電気自動車の独壇場だ。私の軽自動車はそれなりに古いため、体感上の
  実用燃費は15~16km/ℓ が精々。この程度の燃費、現代では1クラス上の
  実用小型車ですら余裕で達成できており、魅力としてはかなり弱い。
  実用とは何だ……軽自動車とは実用車ではないのか……難しい問題だ。
  室内空間だの、トランク容積だの、エンジン出力の余裕だの、挙げれば
  キリがない話ではある。私に言わせれば、それは衝突安全性だと思う。


  軽貨物車は便利だ。軽トラックの自由自在な操作性には惚れ惚れする。
  ある点を除けば、ぶっちゃけ軽貨物車はあらゆる軽自動車で最も優れて
  いるのではとさえ思う。軽トラックが2シーターなのはご愛敬だがな。
  それは畢竟、衝突安全性だ。お前は軽貨物車を運転したことがあるか?
  あの扉を閉める時の『ペンッ』という軽い音を聞いてゾッとしないか?
  あれは素人にも鉄板が薄く思われ、事故の時を思えば実に空恐ろしい。
  やはり容積も構造強度も、妥協の産物……無理があるとしか思えない。
  単気筒693ccのバイクがあることを思えば、660ccの排気量は貧弱だ。
  軽自動車は安くて便利でそこそこ使える車だ。但し安さと引き換えに、
  スポイルされた部分が確実にある……乗り手はよく考えねばならない。


【私はどんな車に乗りたいのか、乗りたかったのか】

車の走行距離が200,000kmに差し掛かる近頃、私が良く考えることです。
私が車に乗り始めた10年前と、10年後の現在では、自動車市場も全く別物に変わり果ててしまいました。跳梁跋扈するCVT車、減少の一途を辿るMT車。
過当競争のエコ地獄に燃費不正、欧州で健闘するダウンサイジングターボを横目に、ハイブリッドが一段と浸透した日本市場。あとミニバンの急増な。
私はいずれ金欠には変わりないので、ハイブリッドもミニバンも遠く縁遠い代物ではございますが、次の車どうする問題は相変わらず目の前にある。


そもそも新車か、それとも中古車を買うのか。私は少し前まで貧乏に屈して中古車でいいやとなっていましたが、親しい友人が軽からコンパクトカーにしかも新車で乗り換えたのを間近に見て、それも悪くないかなと思ったり。
現在、新車で売られているコンパクトカーは、皆様の想像通り軽・普通車を問わずにCVT一強の様相で、何より一番辛いのは、スバルが独自の小型車の設計生産を止めてしまったこと! EN07エンジンは歴史の闇に消えたのだ。
スバルは今までお世話になったけど、今はOEM車だらけで欲しい車が無い!
普通車は3ナンバーサイズで大きいし、何よりリニアトロニック(CVT)が。


もはや私の欲しい車は無いのか! 中古車市場に飛びつき、昔の車を買ってノスタルジーに身を窶し、現代の車を酸っぱいブドウと嘯くしかないのか!
幸いそんなことは全然なかった。ここ数日、ふと冷静になって情報収集したところ、定番品から思わぬメーカーの掘り出し物まで色々と見つけました。
次回では、ラクラク車の溢れる現代において、一癖も二癖もある車の数々をご紹介したいと思います。取り敢えず今回はこれでお開きです、サヨナラ!
もし良ければ、あなたが初めて乗った車の話や、大事にしている愛車の話、おらが車自慢などあれば、コメント・ツイートでお聞かせくださいネ!


【車:私とスバル・ステラ RN1の終活①/CVT軽自動車ブルース 終わり】
【次回に続く】

From: slaughtercult
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