ルヴァンカップ仙台戦~勝たなきゃいけない試合で惨敗

2021年5月19日 ルヴァンカップグループステージ ベガルタ仙台 vs サンフレッチェ広島 ユアテックスタジアム仙台

 勝たない限り敗退の決まる試合。そこに前試合から8人入れ替え怪我明けの柴崎、土肥の2ボランチにトップには鮎川、ユースの棚田という若い2人を入れてきた。引き分けさえ意味のない試合、出場に飢えてる選手は勝ち上がることによってまた出場の機会を得たい。そうすればチームとしてもステップアップできるだろう。
 ところが試合が始まってみると主導権は常に仙台が握る。まず最初に右サイドの競り合いで茶島が突破された。それを皮切りにアバウトに浮き上がったイーブンのボールはみんな仙台に奪われてしまった。そして前からプレッシャーを掛けると簡単にかわされスペースに出される。フリーでボールを運ばれて攻撃への軸足がスムーズにいく。ああ、駄目だ。シュートまで持ち込まれる。極めつけはペナルティエリア内で敵のドリブルをエゼキエウが倒してしまった。が、ノーホイッスル。完全なPKのシーンを主審が判定しなかったことで救われたのだった。
 これは運があると言っていいのか。そうかもしれない。神が味方してくれるかもしれない。攻めろ。他会場の結果次第であるが勝てば勝ち上がりの可能性はある。そしてサイドチェンジから右サイド茶島に渡るとDFに対峙して固まってしまう。そのせいで攻撃にダイナミックさが生まれない。2人に詰められるともう何もできない。それなのにサンフレッチェの攻撃はゆっくりゆっくり確実につないでいくので相手もゴール前に人数を揃えるのが容易になってしまう。なぜそんな簡単なことがわからないんだろう。全チームがやってくる守備ブロックに跳ね返されるとそのままカウンターを受ける。この光景もいつもの悪い流れそのものだった。
 守備に戻るとそこから立ち直れない。奪ってもそこから味方につなげることができない。エゼキエウなど無理なバックパスを出して2回もCKを与えてしまった。するとそこからCKの応酬である。跳ね返しても跳ね返してもセカンドボールを拾われる。そして縦へ蹴られると簡単に裏を取られマイナスクロス。必死に追いかけたサンフレッチェのDFは誰も触ることすらできず合わされて決められてしまった。勝たなきゃいけないのに先に失点してしまうのだった。
 それでもまだ時間はある。2点取って来い。すると鮎川が高い位置で相手のボールを奪った。縦へ切り込む。だがペナルティエリアに食い込めず中央後ろへパス。それも横パスで柴崎がシュートを放つも枠に入らない。何だかわざわざ相手に守備の時間を与えてるかのようなプレーであった。
 この状況にさすがに業を煮やし後半、エゼキエウと棚田を下げ柏とサントスを入れる。すると最初の方こそサントスの個人技が光ったものの、すぐに押し戻されてしまう。そしてボールがタッチを割ったことで相手スローインとはいえ少し息つく暇を得たと思った次の瞬間、茶島のマークを外した加藤はスローインのボールをそのままシュート。ごーるまで一直線のそのボールはゴールに叩き込まれてしまったのだった。
 喜ぶ仙台の選手。唖然とするサンフレッチェの選手。さすがにこの失点は情けなさが込み上げてきて泣きそうになった。もはや仙台は何をやっても上手くいくような雰囲気になってきた。自信に満ちたプレーはサンフレッチェへのプレスもより強度を増していった。
 もはやボールを受けてもキープもできないしパスの出しどころもない。そこでオタオタしてるとボール奪取からそのままゴールに向かわれマルティノスにダメ押しとも言える3点目を決められた。酷い、酷すぎる。これは本当にプロの試合なんだろうか。さすがにもう負けは確定してしまったが最後に何かを残してほしい。せめて1点くらいは返してくれ。
 すると前線への放り込みが始まった。確かにそれが一番相手に奪われずに高い位置までボールを持っていける手段である。だがそれは同時に相手にとっては何の脅威でもないクリアしやすい戦法なのだった。入れては跳ね返される。運が良ければそこからチャンスは生まれる。もはや運頼み。そして確率の悪いその攻撃は実ることなくタイムアップを迎えたのだった。
 終わってみればグループステージ最下位。得失点―8。仙台の若い選手が結果を出した半面サンフレッチェは何もできなかった。何だか試合をやる毎に悪くなってるような気がする。同じ負けるにしても最後の最後まで走って身体を張って相手のゴールへ迫るというものを見せて欲しかった。個々の選手に自分の市場価値を上げたいという野望を魅せて欲しかった。まずい、これは本当にまずくなってきた。
 本気で残留を考えないといけない時期に差し掛かってきた。どのチームに行っても段々と成績を下げる城福監督の性質はやはり変わることはなかったみたいでそれを見極められなかったのはクラブとしての失敗であった。点も取れないし失点も止まらなくなったチーム。それは森保監督の解任時よりも重症のような気がするのだった。

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