見出し画像

FC東京戦〜結果を出す外国人選手と結果を出さない外国人選手

2022年7月30日 サンフレッチェ広島 vs FC東京 エディオンスタジアム広島

 雨予報があったものの何とか天気を保ったまま夕方に入っていった。バックスタンドに陣取ったぼくらはシャトルバスがいつもよりも混んでたなどと話し合い、それなりに観客を集めるのではと期待感を高めるのだった。そしてそんな中メンバー発表があった。
 野津田の名前がなく若手の川村が入ってる。サブには野上や柏の名前がない。どことなく不穏なものを感じながらもこれも新しい試みと肯定的に捉えていく中、試合が始まった。
 立ち上がりのFC東京の攻撃。それを食い止めるもマイボールによる押し上げができない。前からのプレスは余裕をなくし自然とバックパスが多くなる。サイドからのビルドアップにもプレッシャーがかかる。が、一旦ワンツーに寄って剥がすと縦へ突き抜けるこができる。そこで満田がボールを持つと自らドリブルで切り込んでいく。シュートレンジに入るもDFにコースを消されると目先を変えドリブルでえぐる。ライン側で折り返し。が、合わせたベンカリファはGKに阻まれてしまう。得点力のないベンカリファにラストパスを出すくらいなら自分で打つことはできなかったろうか。その方が可能性はあった気がしてならないのだった。
 それでもそこからボールが前に行くようになる。ボックス前左にいるベンカリファに出た。縦へ行けばビッグチャンス。だがこれを右足に持ち替えることでチャンスは潰れる。そして右のボックス前で持った時はシュートを打ったものの威力がなくGKがキャッチ。相変わらずトップのベンカリファは得点力がない。これでどうやって点を取るんだという焦りが徐々に出るのだった。
 バイタルエリアまではボールは来る。相手の守備ブロックが崩れないまま中央の森島に入る。そこからどう展開をするか。その次の手を考えた瞬間閃光が飛んだ。ゴールまで一直線の軌道。ミドルシュートがゴールネットに突き刺さったのだった。
「うおーっ!」
 飛び上がるスタンドのサポーター。先制。あのタイミング、あの距離でのシュートに奮い立つ。改めて森島の煌めきに湧き上がるのだった。
 お互いシュートの少ない中での先制点は試合を有利に傾ける。このまま後半も追加点さえ上げれば長らくお預けとなった勝利にお目にかかることができる。そんな希望を抱きつつハーフタイムを迎えるとシャワーのように雨が降りコンコースへと避難する人の姿が目立つ。せっかくそれなりに集めた観客に対して試練を与えるようなこの雨に恨めしさを覚える。そしてそれ以上に雨の日の勝率の悪さを考えると心情にも暗雲が立ち込めるのだった。
 ただ、それでも先制した勢いが続くことで意識は追加点の方に注がれた。FC東京のゴールへ向けての圧力が増す。だが攻めてはいても点を取ることはできない。そこで左サイド東に入ったとこで森島に渡すと縦へと切り込むパス。が、これがベンカリファとズレタコとで簡単にカット。前線へ出すことでアダイウトンのカウンターを招いてしまう。塩谷が食らいつくとゴール前へ上がった松木に繋がれる。そこも身体を寄せ前を向かせなかったもののパックパスからディエゴ・オリベイラのミドルシュート。それがゴールバーに当たりながらもゴールラインに入ってしまったのだった。
 同点。なんて強烈なシュート。なんて精度のあるキック。そのシュートの凄さは認めざるを得ないものの守備で翻弄されたのも事実。そして決まりの悪かったのはサンフレッチェのパスミスから始まったカウンターというとこだった。
 振り出しに戻ったことでベンカリファに代えサントスが入る。フィジカルの強さによって前線に起点をつくる。そしてパワーを持ったドリブルは相手を引き剥がす。その推進力を生かすべく森島、満田に代わって柴崎、エゼキエウが入るとエゼキエウが突破によりクロス。中に詰めた柴崎。タイミングは合ったものの枠を超えて行った。そしてその後もエゼキエウがフリーになりバイタルエリアからシュート。一連の動きは良かったもののこれもゴールバーを肥えていった。やはり入らない。シュートが枠に行かないのだった。
 そしてそのままアディショナルタイムに突入。このまま引き分けかと思った時にサントスにボールが入る。中央でドリブル。空いてる選手はいるので速く繋げたい。それなのに捏ねる、捏ねる、捏ねる。早くパス出せという声が湧き上がる。が、意固地に続けたドリブルは数人の選手に取り囲まれあっさりと奪われると右サイドに振られアダイウトンに一気に持ち上げられる。交代で入った今津が追うも追いつけない。そして中央へ向けてクロス。逆サイドには相手選手が間に合ってない。そんな安堵を感じてたら入った。入って閉まったのだ。クロスと思ってたのはループシュート。GK大迫の頭上を超えて最もあっさりと逆転ゴールを決め試合を終わらせてしまったのだった。
 敗戦。
 何とも虚しい敗戦だった。あそこでサントスがすぐに味方に繋げていればボールを奪われることはなかった。そしてFC東京は外国人のアタッカーが2人ともきっちり決めている。対してベンカリファとサントスはこの試合も決めきれなかっただけでなく2人でまだ3点しか決めていない。ここまで得点力の低いFWしか駒がないというのが今のサンフレッチェの弱みが露呈したような試合でもあった。
 もうサントスは観たくない。そういう声がここかしこで聞こえてきた。その声には同意せざるを得ない。ただ、最初の失点もパスミスから始まっており、あらゆるとこで精度のなさが自滅へと導いてるような気もしてしまう。
 勝てないどころか勝ち点すら拾えなくなってしまったサンフレッチェ。試合中には東も負傷交代で運ばれますます選手層の薄さが切迫してしまった。得点力のなさはますます焦りを生み無謀なプレーからの逆襲を得てる気もする。果たしてこの先勝てる試合ってあるのだろうか。もはやそんなことすら想像できないくらい煮詰まってしまった。いつの間にか雨は止んでた。失望が止まらないままスタジアムを去る中、何で観客を集めた試合に限ってこういう負け方をするんだと忸怩たる想いはいつまで経っても消えないのだった。 

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?