松本戦~得点者、サイドプレイヤー

2019年3月17日 サンフレッチェ広島vs松本山雅FC エディオンスタジアム広島

 昇格組の一つ、松本。メンバーを観るとかつてサンフレッチェでデビューした橋内がいた。まだスタメンで出てることに嬉しさを覚えると共にもはやそれを知ってる人もどれだけいるだろうという気がするのだった。
 日中とはいえまだ肌寒さのある季節。ただ、サッカーをするにはちょうどいい気候である。その利点を生かし松本はハイプレスを掛けていく。パスで切り抜け攻撃の糸口を見つけるのだが、時折プレスの網に引っ掛かりカウンター。前田がドリブルで抜け出すとスピードがあった。全速力で戻ることで何とか食い止めることができた。守ってカウンター。前半は0-0でいい。松本の狙いは明白だった。それだけに前半の内に点を入れたかった。
 サイドから攻撃を組み立てる。左から柏がドリブルで仕掛ける。右からもエミルが裏への抜け出しを試みる。そんなサイド攻撃はクロスまでいく。そしてファーサイドで待ってた野津田がヘディング。だがGK真正面。うう、決めたかった。あまりにもドフリー。枠に入れただけでもいいのかもしれないが、やはりここは決めて欲しかったとという心情は抑えることができない。
 更には自陣の守備から川辺が相手ボールをカット。前線へのフィードにヴィエイラが抜け出す。ゴールラインにたどり着き折り返し。だが誰も触れずペナルティエリアを超えると走りこんだ柏がシュート。これも枠には入ってたがミドルシュートにしては威力に欠け、GKに阻止されてしまうのだった。
 攻めているのに点が取れない。そのまま前半をスコアレスで終えると、松本・反町監督の作戦にまんまと乗せられてるような気がした。不吉だ。気持ちよく攻めさせておいてサンフレッチェの攻撃に慣れていくのではないだろうか。得点の入る気配がないとみるや一気に攻撃へと軸足を移していく。そして気が付いたら守勢に回される時間が増えてく。そんな蟻地獄のようなパターンにまた陥ってしまうのではないだろうか。
 だが後半もサンフレッチェの攻撃が続き安堵する。左サイドからの組み立てる。野津田と柏が敵を食いつかせつつ互いにパス交換する。そして2人の関係が手詰まりになったかと思うと佐々木がオーバーラップ。ただいかんせんその後のクロスの精度がなさすぎる。佐々木ってそんなにキック下手だったのかと首をひねるのだった。
 どうにも点が入りそうにない。ヴィエイラが素晴らしいボールキープを見せたり松本が左右に散らしたり柴崎がシュートを放ったりする。随所で可能性は感じつつもゴールが割れない。松本のゴール前は人数を掛けた守備ブロックができている。これを突き破るにははやりより強力なターゲットとしてパトリックを入れるしかないのだろうか。やっぱり最後はパトリック頼みしかないのだろうか。
 この時、柏がドリブルに入ると中央へ向かっていく。より近い位置からアーリークロスを入れるのかと思いきや、そのままゴールに向かって蹴った。
内側に弧を描いたシュート。その軌道はGKの掌に触れることもなくゴールに入ったのだった。
先制、先制、先制!
決して崩れることはないと言われた岩がハンマーで叩いてる内に崩れ落ちたとでもいった感覚だった。それはそれは柏にとっても久々のゴールでもあるのだった。
戦術パトリックとまで言われる程にパトリックへの依存度が高かった。それもそのはず、パトリック以外誰もゴールを決めないからだ。それもあってこのゴールは貴重なのだった。
更に畳みかけてもう1点。そんな機運は確かにあった。だが決めることができない。するとついにヴィエラに代わってパトリックが登場した。
 時間の経過と共にパワープレーに移る松本。最終ラインでの競り合いは神経を擦切らされた。もはやクリアだけして時間が稼げればいい。あわよくばパトリックがクリアボールを処理してくれる。ただ、自身のゴールが欲しいらしく、時間稼ぎよりもゴールを目指してしまう。それで決めることができればだしも可能性の低い突破をはかろうとするからたちが悪い。その結果すぐに相手ボールになりまたしてもロングボールを蹴りこまれるのだった。
残り時間わずかになりながらもCKが訪れる。ゴール前はもはや敵味方の乱立状態。その密集地帯目掛けてボールが蹴られた。ニアサイドでクリア。だが2次攻撃に備えないといけないと思ったとこで笛が鳴った。終了、1点を守り切って勝つことができたのだった。
開幕からリーグ戦でゴールを決めたのはサロモンソンと柏というサイドの選手だけ。それはパトリックに依存しきってた昨シーズンの得点パターンのなさから脱却の兆しがうかがえた。
そんな光明が見えたと感じつつも昨シーズンの失速ぶりは鮮明に記憶に残ってるだけにこれで浮かれる訳にはいかない。でもそう言いつつ勝ったその週はとても軽快な気分でいられるのは間違いないのだった。

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