ガンバ戦~3点で勝利

2019年4月6日 サンフレッチェ広島vs ガンバ大阪 エディオンスタジアム広島

 暖かな日差しは春の陽気を感じる。新年度が始まりつぼみから花を咲かせた樹木が彩りを与える。そんな光景の為だろうか、試合前から妙に浮かれてしまっていた。3連勝に気を緩めてる訳ではない。でも自信を持ち始めたのは間違いない。いい試合が観れる。そんな予感はしてたのだった。
 開始早々佐々木のアーリークロスは簡単に跳ね返されるも野上が拾って右のサロモンソンへ。脚を伸ばしてようやく収められたそのトラップでは次のプレーの余裕がない。ああ、これではチェイスに来たDFに取られると思いきやすぐに態勢を立て直しクロス。中央のヴィエラ、収まりきらない。が、そのこぼれを野津田が拾う。追走しつつ前を向かせないDF。これでシュートは打てないと思いきや裏へノールックパス。走ってた柏。左サイドから放ったシュートはファーサイドのゴールに入った。柏、今シーズン2点目。相手の裏、裏、裏を突きシュートまでたどり着いたが、これを柏がきっちりと決めきったのだった。
 唖然とした。開始1分くらいしか経ってない。まだまだ始まったばかり。そう思うとこのゴールにあまり過度に喜んではいけない気がした。全ては90分終わってからだ。
 気を引き締めつついると今度はDFの野上から柴崎へと縦パス。相手のプレッシャーをいなしながら前を向くと左足を振りぬいた。え、そのミドルシュートは拙速だろ。ボール奪われそうだからヤケクソでシュート打ったんだろう。少なくともぼくにはそう観えた。が、入った。ゴールまで糸を引いてるかのようにスーッと入ったのだった。
 2点目。久々の柴崎のゴールは意外性のあるシュートだった。立て続けに決めたゴールのお陰で実に有利に試合を進めることができるのだった。
 もはや相手が攻めてくるのは明白だった。何せ負けているんだから。それを見込んでブロックを敷いて待ち構える。バイタルエリアから先にボールを入れない。誰かがボールへの寄せへと空けた穴を誰かが埋める。更にサイドからクロスを入れられようと佐々木がヘディングで弾き飛ばしてくれるのだった。攻められてるのにそれほど切迫感がなかった。
それでもガンバには遠藤がいた。思わぬタイミングでDFの裏、しかも走りこんだアデミウソンの足元でピタッと止まる球を放り込む。更には最終ラインの結界を切り裂くようなパスによりペナルティエリア内でのシュートを生み出された。が、これもGK大迫が最後の砦としてセーブしてくれる。ガンバが前掛かりになってるだけに、これでクリアボールを前線が収めてくれるとビッグチャンスにつながりそうだ。
ところがトップのドウグラス・ヴィエイラにはどうにも収まらない。たまに攻撃に転じることがあってもパスをつなげることができない。相手のマークが厳しいポジションであるものの、どうもパスが下手な気がする。ただ、前線からもきちっと守備をしてくれることによって後ろの選手に余裕を生んでる。それでも前への推進力があれば更なる余裕が生まれるのにと思ってしまう。
すると野津田に代わって入った渡が前線へと単独でドリブルを仕掛けた。3人に囲まれるも斜めに入っていく。それはまるでゴリゴリと岩を砕くのうな音の聞こえそうなドリブルで突き進むと中央のヴィエイラへ。ヴィエイラそのまま逆サイドへ流す。するとその広大なスペースに走りこんでいたのは川辺がシュート。入った。入った。決めたのだった。
「うおおおおおおおおっ!」
 叫び出してしまった。ダメ押しとも言える3点目である。しかも昨シーズンあれだけ期待されつつも活躍できなかった川辺が中盤の底から駆け上がっていた。ようやくこのチームでの自分のプレーというのを確立できてきたのだろう。あまりにも速やかな流れのゴールにそう思わざるを得なかった。
 そしてここにきてパトリックがヴィエイラとの交代で入った。競り合いでは勝ち、イーブンなボールもフィジカルを押し切って奪い取ってしまう。ゴールへ突き進む迫力は明らかにヴィエイラとは格が違った。もはやガンバは攻撃のことだけを考えることができなかった。パトリックを抑えないといけない。この時間にパトリックを出せるというのは大きなアドヴァンテージだった。
 そのままスコアを動かすことなく試合は終わった。無失点勝利。何とも心地よい響きだ。それでいて守備の選手がそれ程目立ってないということは決定的なシュートシーンというのを防いでいるからだろう。若い選手に刷新した今季のチーム。やっと勝ち取ったレギュラーポジションを失わないという決意が観られるとこが頼もしい。そして今度はそんな彼らからポジションを奪うべく別のメンバーがACLを戦う。いつの間にか順位も首位になったみたいだがこの時期の順位は何の意味もないというのは昨シーズン思い知らされた。まだまだ何も成し遂げてない。それでいて次の試合への期待は高まるばかりなのだった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?