浦和戦~同じ轍

2020年11月3日 サンフレッチェ広島vs浦和レッドダイヤモンズ エディオンスタジアム広島

 浦和レッズ。何かと因縁のあるクラブだが、最近では全くの誤審とも言えるPKにより先制されその後圧倒的に攻め続けるもゴールを割れなかったという屈辱がある。改めて決定力のなさを見せつけられ最後を決める為の精度、パワーの不足を認識させられた。そしてそれは今でも解決されたとは言えないもののいくらか改善されたかの実践の場でもあるのだった。
 久々のスタメンに入った左サイド柏に入ると個での突破が期待できる。が、横にパスを流すと味方のいないスペースに。それをカットした浦和はそのまま同サイドのマルティノスに出るとアーリークロス。ゴール真正面に入ったボールに興梠がピンポイントで受けるとシュート。GK林の股を抜くシュートを打たれてしまったのだった。開始2分。またしても早い時間の失点だった。
 追う展開。この苦手な状況にいとも簡単に持ち込まれてしまった。前回と同じ轍を踏んではならないとばかりに森島がスルスルと持ち上げクロス。だがゴール前で槙野に余裕でブロックされてしまう。その光景にまたしても前回と同じ展開になるような予感が漂った。
 茶島が野上とのコンビネーションでクロス。ペナルティエリア内で合わせるもシュートは枠外。ワンツーから柏が抜け出し折り返しにシュートも枠外。ブロックを切り裂く縦パスが出るもトラップできない。これは全て浅野だった。サンフレッチェにおいて日本人選手の中で一番シュートを決めそうな浅野でこれである。その後の展開は推して知るべしだった。
 青山、ペレイラもシュートを外しまくる。いや、ペレイラまでもか。みんながみんな決めきれない。そしてフィニッシュへのラストプレーも雑。引き籠った相手に対して思い切ったプレーができない。やはりこのまま決めきれないまま敗戦という道筋が見えてしまったのだった。
 ゴール前のブロックを崩すべくトライは続く。密集地に楔が入っても更に相手の懐へ突き進もうとする動きがない。ワンタッチでパスを散らすフリックのようなプレーは読まれてる。ゴールへ向かうドリブルがない。恐さがない。怖さがない。危険さがないのだった。
 そんな攻めあぐねをしていると中盤で武藤にフリックで外された。そして最前列にいたマルティノスに渡りドリブル。守るのはGK林ただ一人。これはやられたと思ったもののシュートが外れてくれた。この決定的場面をやり過ごしたことでまだサンフレッチェにも運があるんだと思えるようになった。
 マイボールになるとDFの佐々木も野上も攻撃参加する。それにより攻撃に厚みが出るもののやはり決めきることができない。そこで後半にヴィエイラが入ってくるとペレイラとのホットラインができる。ヴィエイラが適当なパスを長い脚で簡単に収めてくれる。それによりペレイラへのボール供給量は必然的に多くなるのだった。
 それでも最後は跳ね返される。ペナルティエリアに入れたヴィエイラのボール。ペレイラはあっという間に囲まれてしまう。もっと味方の状態を把握して出してほしいものだ。
だがそこで自らのフィジカルと技巧を使いその守備網をすり抜けると反転してシュート。GK西川も飛びついたものの触れることもできずゴールになったのだった。
 凄い、凄い、凄い。さすがペレイラ。追いついたぞ。散々シュートを外したが密集でのコントロールしてのシュートはやはりストライカーである。もしかしたら最後のクロスやラストパスの精度がもっとよかったら決めていたのかもしれない。1回決めただけでまるで見る目が変わってしまったのだった。
 圧倒的にボール支配をして攻撃し続けやっとこじ開けた。この機を逃さないようエゼキエウ、永井というアタッカーを入れた。ところがまたしてもヴィエイラのラストパスがズレる。左サイドでのエゼキエウのドリブルが効いてない。クロスボールは簡単にクリアされる。崩せない、崩せない、崩せない。そして崩せないまま試合は終わってしまったのだった。引き分け、最悪の事態だけは逃れることはできたのだった。
 それでもあの開始早々の失点がなければ。それは前回同様の悔やむ要素である。そして数々の決定機を逃したのも同様である。ただ今回は追いついた。それだけにあれを決めてればなというシーンが何度も思い起こされてしまう。決定力がない、一体いつになったらこの言葉を使う必要がなくなるのだろう。

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