マリノス戦~上位チームに勝てた試合

2020年10月28日 サンフレッチェ広島 vs 横浜Fマリノス エディオンスタジアム広島

 平日のナイトゲーム。平地よりも気温の落ちるエディスタではアクセスの悪さもあってなかなか人が集まらない。コロナで入場規制をしてるのは客が入らない言い訳になるという唯一のポジティブな面をみた気がした。
 そんな中での対戦はアウェイでボロ負けしてしまったマリノスである。あの時の借りを返すというのもあるが上位チームに勝ててない今シーズンにおいてこれは絶対に取りたかった。そうしなければネガティブな感情に支配されてしまい、今後のチームの行方に大きく影響しそうな気がした。
 そんな雰囲気は選手皆が感じ取っていたのだろう。試合開始からとばしていく。相手ボールには2人、3人と強い強度でチェックにいく。それによりマリノスに自由を与えてなかったものの相手へのプレッシャーという意味ではマリノスも負けてなかった。両者譲らない展開は徐々にマリノスが主導権を奪っていった。ブロックで固めたサンフレッチェはトップのペレイラをターゲットとしてクリアボールをそこに飛ばすもののなかなか収めることができない。そこはマリノスもマークを緩めることはないのだった。
 完全に押し込まれ我慢の時間が続く。我慢、我慢、我慢。この苦しい時間をやり過ごせばいつかチャンスがある。そんな臥薪嘗胆の精神はエゼキエウのドリブルが持ち上がりをみせる。ほぼ単発に終わる押し上げは徐々に攻撃への形を見せだした。スローインから左サイドで浅野が受ける。マークがつき次の展開が難しい。する一瞬の動き出しで縦へ。抜け切る前にクロスを上げるとゴール中央。それに飛び込んだペレイラ。叩きつけたヘディングはゴールにぶち込まれたのだった。
 先制。幸先良い前半。だがボール支配をしているのはマリノスだっただけに浮かれる訳にはいかない。実際、サンフレッチェが攻撃してもすぐにボールを奪われてしまう。その都度自陣に戻りブロックをつくる。だがジュニオール・サントスが個人技で守備網をかわしミドルシュートを放つ。大砲のような威力のボールはGK林のパンチングで逃れたものの危ない。いつまたこんなのが飛んでくるか分かったものじゃないのだった。
 少しでも守備の時間を減らしたい。だが奪って持ち上がるとハーフウェイラインを越えた辺りでプレッシャーに前を向けない。その都度バックパスをしてつないでいくと最後はGK林まで戻ってしまいロングキックをする羽目になる。するとその落下地点では必ずマリノスの選手が待ち構えているのだった。
 そこでもう一度ギアを入れようとエゼキエウ、東を森島、茶島に代える。それで流れが変わってきたのか、マリノスのビルドアップに対してプレスが効いてきた。今度はマリノスが下げざるをえない。そしてロングボールを蹴ったとこでボールを受けたのは川辺。ただここで相手の接触を受けFKを貰うことができたのだった。
 距離はある。直接は狙えない。すると誰に合わせるか。キッカーは浅野。ゴール前に並んだオフサイドライン目掛けて蹴られるとチアゴ・マルチンスがジャンプ。見事先に当てられてしまった。が、それはゴールの中に入ったのだった。
 2点目、2点目、2点目。オウンゴールによる追加点。俄然有利になった。こうなると無理に点を取らなくていい。ただ、受けに回ってばかりいるとその内やられてしまう。その圧力を低下させる為にも常にカウンターを狙っていき、ペレイラに代わったヴィエイラが前で受けるとDFの裏へ。駆け上がってた森島が抜ける。ゴールに向かってドリブル。するとペナルティエリアに入ったとこで追ってきたDFの脚が引っ掛かる。コケる森島。すぐに笛が鳴りPKを宣告されたのだった。
 ここでキッカーとして出たのが途中出場の永井だった。自身のゴールが欲しかったんだろう。だがそれだけに責任重大である。固唾を飲んで見守るも永井の鋭いシュートはGKとは逆を突いて見事ゴールに突き刺さったのだった。
 3点目。永井加入後初ゴール。これで肩の荷が下りただろう。それだけに気合が入っていた。そして決めたことによりずいぶんと気が楽になるのだった。
 そんな余裕は奪われた後の守備のバタつきを生んでしまった。一瞬にしてゴール前まで運ばれるとボールのリフレクションに放ったシュートが野上の腕に当たってPKを与えてしまう。そしてチアゴ・マルチネスに決められてしまったが、すでにアディショナルタイムに入った時間だった。ああ、最後の締めが甘かった。
 とはいえ上位チームであるマリノスに勝った。3-1、最後のPKは余計だったがこれはチームに勢いを与える勝利だった。そして永井が得点を取るキッカケとなる試合となってくれればと想うのだった。

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