天皇杯名古屋戦~パトリック、ハットトリック

2018/08/22 天皇杯3回戦 サンフレッチェ広島vs名古屋グランパス エディオンスタジアム広島

 西日本豪雨の影響で順延された試合、2000人台という寂しい客入りの中での開催となった。1部のクラブ同士の対戦でこの数字はどうにかならないものか。Jリーグもタイと提携したり世界的な有名選手が加入することによって世界的にも存在感を強めようとしている中で、もう少し考えてほしい要素である。
 リーグ戦を挟んだ平日のナイトゲーム、そのメンバーが気になったがここは思い切って普段試合に出れない選手を大胆に起用してきた。そして応えてくれた。見事先制点を決めたのである。川辺のクロスから工藤ヘッド。綺麗な形だった。そしてパトリック以外の得点を模索するサンフレッチェにとって大いに勇気づけられる得点だった。
 ところがこの後、約6分後である。左サイドをえぐられクロス。中で合わされるとコロコロとゴールに入ってしまった。その時ゴール前にいたDFは4人。これだけの人数が揃ってても防ぎきれない。そして点を入れると早い時間に追いつかれるというここ最近繰り返してるパターンを見事に踏襲してしまった。もうこれは病気である。そしてこういう失点をしてる時には必ずといっていいほど千葉が絡んでるような気がするのは気のせいだろうか。
 追いつかれた後はもう点が取れない。工藤も1点で止まり期待のベリーシャはベールを脱がないままだ。ついにしびれを切らせ温存してた青山、そしてパトリックを投入してしまう。そこから攻勢を強めるも90分では勝負つかず、延長戦へと突入してしまうのだった。
 するとカウンターを迎えベリーシャから裏への浮き球が入る。後ろ向きに走るDFの頭を超すこのパスはパトリックがちょうど追いつくピンポイントのボールで収めると同時に縦へドリブル。このままシュートへ持っていけるぞと思ったとこで倒された。脚を絡められチャンスの芽を潰されてしまったもののこのプレーにレッドカードが出た。体力の落ちた延長での退場。しかも交代で入ったパトリックはまだスタミナ十分。これは十分過ぎるアドバンテージだった。
 攻勢を強めるサンフレッチェ。馬渡がシュートをバーに当てるなどもう少しのところにきている。するとまたしても中盤から速攻の場面。押し上げながらベリーシャに入る。右のスペースに出すとパトリックが受ける。縦へ行くかと思いきや中に入りDFに囲まれる。が、ここでシュート。ズドンとゴールに突き刺さったのだった。
 勝ち越し。大きな得点。これはいける。これはいける。勝利をぐっと引き寄せるゴールにチームは活気づけられた。
そしてその勢いのまままたしても川辺のクロス。合わせたのはパトリック。決まった。そしてこの後にも決めて結局4-1というスコアで大勝したのだった。3回戦突破。これで天皇杯がまだ続くのだった。
 だがやはり試合を決めるのはパトリックだった。工藤も決めたが1点だけ。しかも先制した後すぐに失点してしまう悪癖。これがまた普段と違うメンバーなのに同じことをしてしまうというのが一層頭を抱えるのだった。それでも川辺や吉野が先発した試合で勝ったことは自信になっていくかもしれない。そして工藤もゴールへの執念を再燃させてくれるかもしれない。更にベリーシャにはその才能の片鱗を見せられた。果たしてこれらポジティブな要素はこの後生かされていくだろうか。不確定要素はあるものの、また少しリーグ戦が楽しみになっていったのも事実である。
次の試合が楽しみ。この感覚こそ一番欲しかったもの。この根源的なものを首位の重圧に負けて忘れてしまってたような気がするのだった。

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