ガンバ戦~思い出した昨シーズン

2018/09/29 ガンバ大阪vsサンフレッチェ広島 パナソニックスタジアム吹田

 パトリック、水本。2人共ガンバに所属した選手である。そして2人に共通するのはほぼ戦力外のような形で移籍をしてることである。結果的にサンフレッチェで主力となることができ対戦チームとして戦うことができる。そういうのは何年経っても特別な気分をもたらすものだろう。
 四角くスタンドに囲まれたスタジアム。応援するサポーターの熱気が直に伝わる。アウェイゴール裏も多く集まってる。その声援を背に受けてボールを前に回していく。相手をいなしながら青山がミドルシュート。GK東口に弾かれるもシュートを狙う姿勢に勢いを感じた。
 その後もカウンターでティーラシンがゴールに駆ける。ペナルティエリアに入るとシュート。これも東口が止めた。そしてパトリックがシュート。これも防がれた。更にDFの和田さえもペナルティエリア内でシュート。ゴールのわずかな隙を狙った強烈なキック。それすらも東口は止めた。入らない。入らない、入らない、入らない。まるでガンバのゴールに見えない結線が引いてあるかのように入らないのだった。
 それでも攻撃の質からいうとサンフレッチェの方が押している。このまま攻め続けるとどこかで綻びが出るはずだ。柏がドリブルで上がっていく。そして一旦は攻め上がりを抑え遅行へと切り替える為に中央にパス。が、このゆっくりしたプレーの精度がとてつもなく悪かった。中に位置した味方には到底届かないようなスペースにレロレロレロと球が転がる。ここぞとばかりに食らいついたガンバの選手。ここからどう切り崩そうかと攻撃に軸足を移してたサンフレッチェの選手は思いがけなく守備に引き戻されたことで浮足立つ。何とかこれは相手の攻撃を押しとどめたものの、このプレーを起点に旗色が悪くなってしまった。
 跳ね返しても跳ね返してもセカンドボールを拾われる。たまにカウンターを狙うも相手もそれが分かってるだけに対応されてしまう。こういう押されっぱなしの展開をどうやったら立ち直ることができるのだろう。これだけはどの監督が就いても変わることがないのだった。
 クロスを入れられ深い位置をえぐられCKで逃げるのがやっとだった。パトリックも守備のブロックに入る。それによって守備に重しがかかる。が、沿道の蹴ったCKはゴールに入ってしまった。なぜ入った?なぜだか分からないがするするするっと守備網を抜けて入ったのである。すると後で確認して分かったことだがパトリックのヘディングが軌道を変え、更に林が飛び出してしまったことによってオウンゴールのような形だった。やってしまった。全てが全て悪い方向へ傾いてしまった。
 ここでもう終わったと感じた。あれだけ攻めててもゴールできなかった。そして今度は攻めることさえ難しくなってしまった。残り時間が少なくなって川辺やベリーシャを入れるも戦況は全く変わらない。点を取らなきゃいけない状況でボールを取ることすら困難な状況だった。そしてあえなくタイムアップ。またしても負けてえしまった。そしてついに首位の座を落としてしまった。
 無力感、虚無感、虚脱感。全身の力は抜け魂が抜けたようになる。
 どうしてこうなるんだ。どこをどうやっても勝てる気がしない。点が取れない。それでも久々にスタメンに入ったティーラシンはシュートを打ってるだけマシだった。あれだけチャンスを貰った渡などはシュートすら打てない。それが表すようにとにかく点を取る選手がいないのだ。ゴール前までは行くけど最後を決める選手がパトリック一人しかいないのだ。
 そして失点は毎回セットプレー。そのやられ方もあまりにも安易だ。
 と、ここで気付いた。これってどこかで観た光景だな。そうだ、残留争いをやった昨シーズンと同じだ。負けて負けて負けまくったあの頃に戻ってしまったのだ。でも考えてみればつい1年前のこと、チームは今までよくやったと考えてもいいかもしれない。
 果たしてシーズン終わるまでに1回でも勝つことができるだろうか。そんな気分になるのも昨シーズンと一緒だ。戦力も限られ引き出しも限られてる。もう贅沢は言わない。せめてシーズン終わるまでに1回ぐらい勝ってほしいと願うのだった、

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?