セレッソ戦~城福監督への再認識

2019年3月9日 セレッソ大阪vsサンフレッチェ広島 ヤンマースタジアム長居

 昨年の9月以来公式戦で勝ってないサンフレッチェ。それもこれも城福監督の無為無策に帰するとこが大きい。パトリックに依存した攻撃と固定メンバーによる戦術。最初の内こそうまくいってたものの、研究されたらその上をいく戦略がなかった。引き出しがない。城福監督を評する時、必ずついて回る言葉だった。
 そして予想通りのスターティングメンバーにまたもどかしさを感じながら勝てない試合を観なければならないのかと落胆するもワントップにはパトリックではなくドウグラス・ヴィエイラ入っていた。パトリック先発した場合、切り札がなくなってしまうことで試合が膠着した場合手詰まりになってしまう。その為に渡や皆川で試したことはあるがいずれもパッとしなかった。果たしてドウグラスがどれほど機能してくれるのだろうか。
 そんな疑問もチームが前からプレッシャーを掛ける積極的な守備お陰でドウグラスの絡む場面は度々訪れた。足が長いこともありキープ力がある。味方を使うのも上手く連動した攻撃が展開できる。そして誰かがミスをしてもそれをカバーする選手がいる。それによって益々攻撃チャレンジができるようになるのだった。
 DFの守備も冴えていて攻め込まれても摘み取ることができ前線へのフィードはつなげることができる。ポンポンポンとパスがつながりサロモンソンへ。右サイドからドリブルで上がるとミドルショート。枠には入らなかったもののそれは脅威を与えるには十分な精度とキレのあるシュートだった。
 右サイドといえばかつてミキッチが思い出される。スピードと緩急のあるドリブルから数々のゴールにつながるクロスを上げたもののシュートだけは下手だった。派手さではかなわないものの、実質的なプレーとしてはサロモンソンの方に軍配が上がった。
 そんなサロモンソンの落としからパスを回しゴールへの機会を伺おうとしたが相手のプレスにより相手GKへ向けてボールが転がってしまった。DFはGKに任そうとスルーする。するとその隙を逃すまいとサロモンソンがスプリント。慌てて戻るDF。GKとDFとサロモンソンが交錯するように倒れた。が、ボールはまだ生きている。サロモンソンはルーズボールを拾いシュート。入った。一瞬GKの反応より早く動けたことで押し込むことができたのだった。
 先制点。ああ、こんな響きいつ以来だろう。そもそも得点自体3試合ぶりである。そして前回決めたのもサロモンソンだった。綺麗に崩すことばかり考えてたがこういう形でもゴールはゴールである。サンフレッチェに足りないものをことごとく具現化してくれてる、恐ろしく優秀なサイドアタッカーだというのに今更ながら気づかされるのだった。
 でもここで気を抜けばまた追いつかれる。そうならない為にも追加点が欲しい。そして実際そんな可能性を感じた。左サイドで柏が再三突破を試みクロスを入れる。ドウグラスがヘディングで合わせる。効果的ではあったがゴールに至るには何かが足りない。ここで切り札のパトリックがアップを始めた。相手にしてみればいよいよ畳みかけるつもりでいるように見えただろう。
 ところが交代は攻撃の野津田に代えてDFの荒木である。先の試合で2失点もしたというのによく起用に思い至ったものだ。そしてその後は川辺から実績の乏しい森島。これも勇気のいる交代であった。そして最後にサロモンソンを下げて清水である。パトリックを入れるふりをしつつ入れなかったのである。しかも試合のキーマンであるサロモンソンを下げるというのも相手の意表を突いただろう。
 実際にはセレッソの方がボール保持の時間が多く守備に回ってばかりだった。だけどそれほど攻められてるという感覚がしないのはブロックの中にボールを入れさせなかったからである。だがそれも時間と共に徐々にペナルティエリア内にまで侵入するようになりシュートを打たれる場面も出てきた。が、最後にGK大迫がいるのである。FKからゴール前へ上げられた場面で相手と競り合いながらもキャッチした。実際には相手の接触によるファールであるが最後の最後までボールを離すことがなく、この選手のスケールの大きさを感じたのだった。
 ボールを奪えばカウンター。上手くいかなければ戻ってディフェンス。そんな手堅い戦術はサンフレッチェキラーであった高木のドリブルを無効化し、前線でのターゲットとなる都倉も自由にさせなかった。2人共サンフレッチェの時には必ず点が取れるというイメージを持ってただろうが、今回は上手くいかないと違和感を感じたに違いなかった。
 そして終了の笛が鳴り昨年9月以来、約半年ぶりの勝利を得ることができた。勝った。勝ったということが喜ばしかった。それほどぼくらは勝利に飢えていた。固定化メンバー、変わらない戦術、停滞した試合進行。そういったものに辟易していたが、今日は違った。これは一体どういうことだろう。
もしかして監督の采配が当たったということか。あれほど疑心暗鬼に陥っていた城福監督の作戦は見事に的中したのである。
もうちょっとこの監督を信用してみよう。
たった一勝しただけなのにそんな気分が沸き上がった。勝つというのは心理にここまでポジティブに影響するというのに改めて気づかされたのだった。

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