名古屋戦~空しき最終戦

2020年12月19日 名古屋グランパス vs サンフレッチェ広島 名古屋スタジアム

 全国的な寒波に見舞われ昼間なのに気温8度という寒さ。得点力不足により勝てないと嘆きつつもついに最終戦になってしまった。何かを変えたい。その為にもDFに井林を入れ、そして前節城福監督が対席処分を受けたことにより沢田ヘッドコーチが指揮を執ることになった。最後に何かを残したい。それは成績にはつながらなくとも来期への希望を見出したいという希求だった。
 試合開始からワントップのヴィエイラが相手の最終ラインにプレスを仕掛けその下の選手が連動する。それに対して名古屋は際どいとこでかわしサンフレッチェの選手の間を縫ってつなげて前線へとつなげていく。それによりバイタルエリアで回されCKも与える。名古屋の方が一枚上手、そんな気がしながらもフィニッシュに至らないことで押し返すこともできる。浅野が個で持ち上がりボールキープの粘りからFKを得た。ただ、森島の蹴ったキックもゴールに迫ることがなく終わる。そういえばセットプレーってこのところ決まってない。
 今日こそは、今日こそはゴールを決めたい。
 パスでの崩しを狙うも人数の多いゴール前では勝負のパスが引っ掛かってしまう。セットプレーもGKランゲラックの好セーブに阻まれるもセカンドボールが取れてる。このまま叩き込め。浅野がドリブルで突き進みラストパスを流すもカット。ゴール前で受けてターンをするとブロック。CKからは荒木がヘディングを叩くもバーに跳ね返される。ああ、どうしてここまで入らない。入らないことでより慎重になりそれが攻撃への勢いを殺し余計にゴールへの脅威を減らすのだった。
 このチームはとにかく奪ってからの動きが遅い。かといって裏を狙ったロングボールはGKへのパスにしかならない。その結果ゴール前を固められた相手に打開策のないままパスを回してばかりになり、たまに中盤で空いた時に放った青山や川辺のミドルシュートは見事に枠に入らない。どうしてこんなにみんな枠に入らないのだろう。プロとしての経験をここまで積んできて全く精度が上がらないことに深い疑問を感じるのだった。
 それでも名古屋の攻撃もなんとか食い止めてることから一進一退の様相を呈する。そこで先に動いてきたのは名古屋だった。阿部に代わって前田が入る。ここで嫌な予感がした。サンフレッチェは特定の選手に弱いが、前田はその一人なのである。佐々木が負傷交代したこともあり余計に危機感がつのるのだった。
 サイドで相馬がドリブルで上がってくると2人掛かりでも止められない。カットインに対してシュートコースを消すと中央に流され稲垣がミドルシュート。枠に入らなっかったもののその形で2度もシュートまで持ち込まれた。そして前田はペナルティエリア内でターンにより荒木を振り切る場面をつくり出してしまう。折り返しからゴール真正面のシュートをGK林のセーブで救われるもやはり嫌な選手だった。
 この流れを断ち切りたい。前線へつなげると東がドリブルで駆け上がるも最後のとこを抜け切ることができなかった。更には浅野が切り返して川辺につなげるもシュートは枠外。茶島の相手の逆を取る動きからファールを貰うも森島のFKはゴールに結びつかないのだった。
 そんな煮え切らない攻撃を繰り返していく内にパスがカットされるようになる。読まれてる。特に稲垣のところで全部摘まれてしまう。そして反撃に出た名古屋を受け止めるべくゴール前に戻ったサンフレッチェ。サイドから中央へとポストに入った。だが3人掛かりで前を向かせない。が、それを落とすと駆け込んできた前田がシュート。強烈な弾道はゴールの隅に突き刺さったのだった。
 やられてしまった。ゴール前には5、6人いたのにわずか3人で崩されてしまった。人数を掛けた守備を崩せないのにこちらは人数を掛けても守れない。勝てないのは当然だった。
 メンバーを代え最後は守備の選手を前に上げパワープレーに走るも実らず。結局いつもの通りノーゴールで終えたのだった。5試合勝ちなし、3試合ノーゴールの連敗。何とも後味の悪い幕引きとなってしまったのだった。
 何か希望はないのだろうか。思いつくところがない。ボールを大事に大事にし過ぎるあまり攻撃が遅くなりそれを崩せない。それによって相手は守備への自信を深め攻撃へ勢いを持たせてしまう。その繰り返し。何で1年あってそんな悪癖を修正できなかったのだろうか。そんなネガティブな感情ばかりが沸き上がってしまう空しい最終戦であった。

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