ルヴァンカップ・マリノス戦~完膚なきまでに叩きのめされる

2021年3月27日 ルヴァンカップ・グループステージ 横浜Fマリノス vs サンフレッチェ広島 ニッパツ三ツ沢球技場

 それはGK林のフィードから始まった。キャッチしたボールを速攻とばかりに真ん中へスローしたボールは簡単にカットされそのまま前線の仲川につながれるとワンタッチで叩かれゴール前のオナイウに。そのままダイレクトのシュートはゴールの隅に見事に流し込まれた。林の安易なフィードによって均衡を保ってた試合はあっという間に崩れたのだった。
 前線のジュニオール・サントスに入ってもスペースに出したボールは鮎川が反応しきれてない。貰う動きがどことなくズレている。せっかくのスタメンは大抜擢だった。だけど前線からのプレスはまるで柳がなびくようにかわされる。それを追いかけまわす姿は正に暖簾に腕押し以外の何ものでもなかった。
 代表ウィークということもあって川辺、佐々木がA代表、大迫が五輪代表に選ばれた影響で長沼も初スタメン、東のようにキャンプで招集されるも選出されなかった選手にしても結果を出してアピールをしたい試合であった。だが、それは全く逆の効果しか現れないのだった。
 先制をされてからというもの、サンフレッチェのプレスはするりとかわされ空いたスペースに入られワンタッチでつながれクリアしてはそのセカンドボールを拾われる。もはや打開策はない。個々の能力が違い過ぎる。それだけにハーフタイムで鮎川がドウグラス・ヴィエイラに代わると少しは改善されると思ったものの戦況は一向に変わることはなかった。もはや誰か1人の選手というよりチーム力の違いであった。受け手と出し手の意思の一致、ボールの来る場所の予測、局面での競り合い。それら全てでサンフレッチェは負けていた。そして極めつけは速い攻撃からゴール前へクロスを入れられオナイウの折り返しに仲川はDFをかわしてシュート。ゴール前での落ち着きにより、2点目が決められてしまったのだった。
 追うサンフレッチェ。まずは1点を狙うもヴィエイラがクロスを入れ長沼が入った。が、上手くミートできずGKにブロックされてしまった。ゴール前の決定機に顔を出すものの長沼は最後を決めきることができない。だがカウンターから森島が抜け出すもこれもシュートはGKに防がれてしまいやはり決めきれない。東のクロスもサントスが合わせることができず遂に浅野に交代してしまう。もはや頼みのサントスまでこの泥沼の中で埋没してしまったのだった。
 それからというものっまるで大人と子供の試合だった。エウベルがペナルティエリアに侵入すると逆サイドにクロス。それもヘディングで見事なまでに合わされてしまった。この得点、たった2人で決めてしまったが、サンフレッチェのディフェンスはもはや何の圧力にもなってないのだった。
 その後怒涛の攻撃に4点目を決められ更にはマイボールのスローインを掻っ攫われるとそのままゴールに向かわれ5点目を奪われる。さすがにこれには唖然としてしまった。スローインすらつなげることができないとなるともはや打つ手なしである。パスをしても読まれるし観てて辛くなってきた。何とかしろ、何とかしろ。ああ、もはや目が霞んできた。わが紫の戦士はこんなにも貧弱だったのか。
 裏を狙ったロングボールに浅野が反応してシュートまで持ち込む。その動きは悪くない。だけどサッカーはゴールに入れないと点にはならない。決められない。決めきれない。そしてマリノスのDFはサンフレッチェの攻撃に余裕を持って対処するのでいい形でフィニッシュにたどり着けないのだった。
 完敗。完膚なきまで叩きのめされた。せめてハーフタイムで修正が入ると思ったのに悪くなる一方だった。5-0、これはもう言い訳のできない屈辱だった。
 試合後、インタビューでマリノスの岩田はリーグ戦で引き分けになったリベンジが果たせたと言った。マリノスはサンフレッチェに対して引き分けでは負けに等しいと言ってるようなものだ。格下、だがそれはチャレンジャーという意味にもなる。今度対戦する時には挑戦者としてのプライドを持ってぶつかっていきたいと願うのだった。

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