広州恒大戦~完敗

2019年3月5日 アジアチャンピオンズリーグ 予選リーグ 広州恒大 vs サンフレッチェ広島 広州天河体育中心

 5回目となるACL。だが過去この大会での戦績といったら燦燦たるものである。一度だけ決勝トーナメントに勝ち進んだもののそれも1回で負けてしまった。情けない。日本を代表して出場にてるのに恥の上塗りをしている。ああ、恥ずかしい。ああ、みっともない。と嘆きながらも選手層の薄いサンフレッチェにとっては仕方のないことなのだった。実際この試合でもリーグ戦からメンバーを総入れ替えをしたのだった。
 それでも最初はよく堪えていた。ブラジル代表に名を連ねる選手相手にもよく対応していた。このまま無失点でいければ試合は落ち着いていく、そんな気がしていた。が、そんな時に右サイドで荒木裏を取られてしまった。カバーに入ってる選手はいない。縦へドリブル。ラインが下がっていく。だがボールを持った選手は誰も対応できずクロスを入れられると中で合わされてしまった。呆気なく、呆気なく失点してしまったのだった。
 もうサンフレッチェに勝てる見込みはなくなった。そもそも引き分けで終われば御の字だった。あまりにも早い失点。それは士気を下げるのに十分な効果があった。
 その後のCK。それまでに何度もセットプレーを受けてきたもののマークを外すことなくよく凌いでいた。やはりリーグ戦のメンバーに選ばれたいというのがいいモチベーションになっていた。ところがこのCKは高いとこから落ちるボールには荒木がまたしても裏に入られてしまった。ボールがこぼれる。それをパウリーニョ。押し込んでしまった。決まってしまった。決められてしまった。これもまた呆気ないゴールだった。
 もう負けることは決まってしまった。前半の内に2点差。まだ諦めるのは早いとはいえあまりにも希望がなかった。なぜならマイボールになってもボールの出しどころがない。パススピードが遅い。奪われたくないものだから後ろで安全に安全に回してしまう。攻めなきゃいけないものの相手の守備網へ突入すると言葉通り網に引っかかってしまう。行くも地獄、行かないも地獄なのだった。
 こんな手詰まりになったのも皆川や渡といった前線の選手がちっともボールを収めることができないからだった。ボールを受けることも散らすこともできないプレーには失望しか感じなかった。明らかに広州の攻撃陣に比べると2人は迫力に欠けるのだった。
 そんな2人には引導が渡された。まずは後半始めから渡が野津田と交代する。すると途端にボールが深いエリアまで侵入できるようになる。それまでの及び腰が一転して攻撃へとシフトしていくのだった。
 更に皆川が松本泰史が入ると両サイドから2人、3人と絡んだパス回しが展開される。クロスを入れてもクリアされるものの、そのセカンドボールをことごとく拾う。点が入らないのには変わらないが少なくとも失点だけはしないという安心感があった。
 ここまで攻撃に軸足を向けてたら店を入れたい。でもそれには何かが足りない。それがゴールへ向かう迫力なのだった。ゴールにぶち込む、ゴールに押し込む、相手をねじ伏せるという気概だった。相手を揺さぶってはいるもののフィニッシュで完結してないことが多いのだった。
 こねてばかりいないで切り込め。もっと強引に仕掛けろ。気力で負けるな。
 そんな声をあげようとしてるとCKとなる。流れで取れないだけにこれを生かしたい。そしてCKのボールをドウグラス・ヴィエイラが当ててこぼれる。吉野が打つ。スカした。もう一度打つ。またしてもスカしてしまってGKにキャッチされたのだった。
 ああ、2度もあった決定機でボールの芯を蹴ることができなかった。あんな絶好のチャンスを。あんな決定機を逃してしまった。
 すると今度は左サイドから東のクロスが入る。ドウグラスがヘディング。タイミングは合ってた。が、枠に入ることがないのだった。
 この2つの決定機、まさに広州の得点を決めたシーンそのものだった。広州はそれを決めることができた。サンフレッチェはそれを決めることができない。勝敗はそこで決まった。やはり点の摂れないチームが勝つことなんてできないようだ。
 完敗だった。後半は攻める時間が多かったのでまだ良かったのかもしれない。若い選手が多いだけにいい経験になったのかもしれない。でもこの試合は完敗だった。点が入らなかったことで何もできなかったと言っていい。
 もっと強く、もっと激しく、そしてもっと大胆に。
 そんな願いを叫びたくなるのだった。

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