鹿島戦~開幕戦勝利


2020年2月23日 サンフレッチェ広島vs 鹿島アントラーズ エディオンスタジアム広島

 晴れ上がった青空はまるでもう春が訪れたかのようだった。その陽光のきらめきが開幕戦の華々しさを一層引き立て、スタジアムに集まった両サポーターのの熱気を引き立てているのだった。
鹿島のユニフォーム、白のシャツに赤のパンツというのは一瞬サンフレッチェと間違ってしまいそうだった。それもそのはず、アウェイユニフォームのデザインは両者一緒なので開幕前ずい分騒ぎになったものである。それもこれもこうして始まってしまえばあの騒ぎは何だったんだろうという気さえしてくる。全ては目の前に試合があればそれでいい。サンフレッチェの戦う姿が観れればそれでいいのだ。
そんな熱気の中、鹿島のキックオフにより試合は始まった。前からプレッシャーを掛けるサンフレッチェ。ところがそのプレッシャーを剥がされると滑らかなパスが繰り広げられゴールに迫られる。追走するサンフレッチェのDF。追いつく前にシュート。速い弾道のグラウンダーが地を這った。が、ポストに弾かれ安堵するもセカンドボールも鹿島の選手。ダイレクトでシュート。心臓を撃ち抜かれるような瞬間、これもガツンという音と共にポストに弾き返されたのだった。
助かった。2回連続ポストに助けられた。その攻撃の滑らかさはさすが鹿島である。そしてそのボール保持力はその後も生かされ守備に奔走される。前線のヴィエイラさえも守備に戻らざるをえない。そこで後ろからのタックルがファールとなるとゴール前の嫌な位置でのFKを与えることになってしまった。
ポジションを確かめ壁をつくるサンフレッチェ。2人のキッカーを揃えどちらが蹴ってくるか。だがその予想に反しトリックプレーで来た。横に逸らしてミドルシュート。強烈な弾道のそのシュートはバーの上を超えたものの、威圧感は充分あった。そのせいかその後のゴールキックは早々に鹿島ボールとされてしまうのだった。
そんな余裕からゆっくりとボールを回そうとする鹿島。その一瞬の隙をペレイラが突いた。高い位置でのボール奪取。ゴール前に流し込む。そこへ走ったヴィエイラ。長い脚で収めるとシュート。入った。入った、入った、入った。
ペレイラとヴィエイラのコンビによるゴール。ほとんど力業のような強引さで決まった。点が取れず喘いだ昨シーズンの課題がこういう形で決めることができたのは驚きでもあった。
まずは先制。まだ浮かれていい時間ではない。運動量を生かしてプレッシャーを怠らない。ハイネルの裏を取られるも全速力で戻って蓋をする。それをGK大迫がロングキック。森島が収めると右に出たヴィエラへ出す。フリーで掛け上げるヴィエイラ。追いかける鹿島のDF。そこでゴール前へボールを流す。飛び込んだ川辺。が、空振り。鹿島DFも空振り。そしてファーサイドに走ったペレイラが詰めた。当てるだけ、流し込むだけでゴールに押し込むことができた。
ヴィエイラのパスによりペレイラのゴール。またしてもこの2人のコンビで決まった。2点目。これは大きい。そして2点ともとても簡単に決めたゴールのように見えたのだった。
とはいえ2点差は安心できないスコアである。実際鹿島はその後サンフレッチェのゴールを度々脅かすのだった。
奪ったかと思ったらまた獲られる。巧みなパスワークでゴール前に侵入される。シュートモーションにブロックに入ると切り返される。やられたと思ったがそのシュートは足を出し、背中を当ててブロックする。最後の最後を決めさせない。
それを可能にしてるのがハードワークだった。誰もが身体を張り走りまくる。激しい接触も厭わず競り負けない。そんな姿に逞しさを感じた。ただ、それだけに森島がもっと前線で踏ん張ればってほしい。そうすれば攻撃へと軸足を向けられることができ、その分守備への負担も減る。以前に比べるとずい分逞しくはなった。だが試合を決定づける存在であってほしい。
踏ん張って鹿島の攻撃を跳ね返すものの1点でも決めさせてしまうとそのまま雪崩のように点を取られるような雰囲気があった。そんな時、途中出場の東が中盤でカット。中央のペレイラが拾い前を向く。DFの寄せに左のスペースに出すと森島が追いつく。だが後ろからDFがスライディング。ボールに触られる前にシュート。GKを前にし、ニアの上のほんのわずかなスペースにぶち込んだ。
「モリシマ、モリシマ、モリシマー!」
 普段厳しい評価ばかりしてるのにこの追加点に叫んでしまった。血が沸き立つ。もはやこれは試合を決定づけた3点目なのだった。
 センスもある、個人技もある、技術もある。だけど足りなかったのは自身によるゴールであった。攻撃的ポジションをやってる限り、やはり目に見える結果というのはほしかったのだった。
 そしてこの3点のスコアを守ったまま、3-0で試合を終えることができた。前線のブラジル人コンビによるゴール。森島の一瞬の隙を見逃さないシュート。取って欲しい人が取ってくれた試合となった。ルヴァンカップに引き続き同じメンバーで勝つことができたことでもうメンバーは固まったようなものである。
 たった1試合の結果である。それでも公式戦2連勝。チームはいい軌道に乗ってると言っていい。それだけに中2日後に行われるカップ戦はどう戦うんだろう。過密日程との調整、一体これをどうやって乗り切るのか楽しみにしたいのだった。

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