鹿島戦~決めきれない攻撃

2019年11月23日 サンフレッチェ広島vs 鹿島アントラーズ エディオンスタジアム広島

 3週間ぶりの試合。もはや優勝争いから脱落したことによってモチベーションという意味では難しいものになってしまった。だがまだACL出場が掛かっている。そういえば今シーズンのACLも鹿島によって敗退させられた。あの時の借りを返す為にも勝たなければならない。そんな打倒鹿島の気炎は多くのサポーターを呼び寄せたのだった。
 2試合連続未勝利が続く。それも全ては得点力不足が原因だ。そこでワントップにシュートへの突進力のあるレアンドロ・ペレイラを起用してきた。いいところまでいきながら最後が決めきれない。その打開策にペレイラのパワーに期待したのだった。
 太陽の光は七色の色彩で降り注ぎ眩しさに目を細める。ピッチに立つ選手の影が鮮明に見えるのだった。
 まだ優勝の目のある鹿島はどんなことをしてでも勝つつもりだろう。それは脅威であったものの、蓋を開けてみればサンフレッチェが主導権を握ることが多くなった。攻められても上手く絡めとりパスで前線へとつなげていく。バイタルエリアに入ると鹿島のDFが揃ってない。そこで左サイドに出た森島は自分で仕掛けるかと思いきや逆サイドへキック。ところがその精度があまりにも悪く反対のラインを割ってしまった。ここぞというとこでのこのミス。得点力不足の原因を見せつけられた。
 更には左サイドでの柏のドリブル。縦への推進力を魅せるものの深い位置でDFと相対すると自ら切り込むことなくスルーパスを出してしまう。裏への飛び出しはあるものの、その全てにおいてDFに蓋をされてラインを割らされてしまう。まるで自ら蟻地獄の中へ入りこんでいるかのようだった。
 この中途半端な攻撃、点が入らないという以上に相手へ活力を与えているのだった。シュートを打っても枠にすら入らない。それらは鹿島に打ってもどうせ入らないという安心感を与えたかもしれない。後半になって攻撃への比重を高められたのだった。
 迫りくる鹿島。自陣に引いて守りを固める。人数が揃っていても少人数で崩される失点を繰り返してるだけに嫌な展開だった。サイドから切り込まれる。ペナルティエリアに侵入される。そこへ鹿島の選手が雪崩を打って入りこまれるとシュート。が、これをブロックで跳ね返す。そしてそんな押し込まれる中において青山に入ると縦にロングキックを入れる。その落下地点にはペレイラ。受けると反転、ゴールへ突き進むのだった。
 ドッと沸き立つスタンドの歓声。そのままシュートを放とうとした時、追いかけてきた鹿島のDFにクリアされてしまった。だがこのカウンターは効いている。攻められてるように見えながら奪ったらペレイラを狙ったパスはその後また同じ光景を生み出した。鹿島のDFも反応が早くシュートまでは至らないものの、ペレイラがトラップミスでボールがスルーしてしまったのまでは予想できなかった。ルーズボールを森島が受けるとそのまま左のスペースへ。走ってた柏、間に合った。ドリブルからクロスへ。稲垣が飛び込んだ。ガツンと頭に当たったボールはタイミングとしてドンピシャリだったものの枠を外れてしまった。ああ、あれを決められないか。一度はゴールの歓喜に沸こうと立ち上がりかけた腰が再び落ちてしまうのだった。
 そのプレーを境にしてペレイラからヴィエイラに交代する。最後を決める為という意味ではヴィエイラのシュート力では迫力に欠ける。それでも東のロングキックを上手く収める。前には広大なスペース。倒されるもスルーパスを出すと抜け出した柏。ゴールに向かいシュート。が、オフサイドの判定。でもこれってそもそもヴィエイラに対するファールじゃないのか。そっちにはまるで意識をせずに副審は高々とオフサイドフラッグを掲げてるのに怒号が飛び交うのだった。
 時間はアディショナルタイムに突入。またしても東の縦パスによってゴール前2対2の状況を迎える。縦へドリブルで進む柏。が、チョン・スヨンを抜くことができずシュートできず摘まれる。もう時間がない。すると今度は中盤から稲垣が前線で受けドリブル。倒された。が、笛は鳴らない。鳴らないが試合終了の笛は鳴ったのだった。
 ファールを取られなかった。それはないだろ。こういうのを試合巧者とされるのではたまったものじゃない。これだったらファールをした方が利益を取ってしまうではないか。
 そして試合はスコアレスドローとして終わった。失点しなかったのはよかったがその分得点がなかった。本当に勝てない。森島や川辺といったシャドーの選手にシュートがないせいで相手にとって守りやすいのかもしれない。
 残りあと2試合。果たして今シーズンこれらの課題を克服して終われることができるのだろうか。優勝がない分、そういうとこに期待を馳せるしかないのだった。

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