ルヴァンカップ福岡戦~敗北感を抱えた勝利

2022年9月21日 ルヴァンカップ準決勝 アビスパ福岡 vs サンフレッチェ広島 ベスト電気スタジアム


 いよいよあと一つ勝ち上がれば決勝。ベストメンバーを組んだサンフレッチェ。そこからもルヴァンカップにおける本気度が伺える。ただ、相手の福岡も侮ることはできない。ファンマ、ジョンマリの2トップをぶつけてきたが、こういうテクニックもありパワーもある選手はサンフレッチェの苦手とするとこである。果たしてそこをどう抑えていくのかが焦点になりそうだった。

 ところが立ち上がり、いきなり右サイド野上がファールを受けFK。野津田のキックは跳ね返されたものの幸先の良さを感じた。そのため、このままいけるだろうと思っていたもののなぜかパスにリズム感がない。後ろで繋いで繋いで逆サイドのスペースに出すとパスカット。そこから即効を受けるも攻撃から守備への切り替えが速いので大事には至らない。そしてそんな相手への激しいプレッシャーはボールの出しどころをなくし苦し紛れのパスをカット。そこから2次攻撃へとつなげていくのだった。

 相手陣内へ押し寄せる。ただ福岡もしぶとい守備をしてくる。そんな中CKを取ると野津田のキックはまたもやクリア。ラインを割ったことで近くにいた野津田がスローインを入れる。満田がゴール前へキック。CKの流れで残ってた荒木が頭に合わすも威力がない。GKへのパスとなる緩い球だった。が、その時背後から突っ込んだ選手がいた。宙に浮いたボールを頭で押し込む。ネットが揺れた。決めたのは川村。このところラッキーボーイとなってる川村が幸先のいい先制点を決めたのだった。

 まず1点。まずはアウェイゴールを入れたことで気持ちの上でも優位に立つ。すると追加点を取るべく森島が走りまくる。ビルドアップのボールを追いバックパスで外されると再び追い直す。それが相手に手詰まり感を与えると身体を寄せマイボール。野上が上がり満田も上がりターゲットのヴィエイラもゴール前にポジションを取る。そこでショートパスを入れながらもドリブルで抜けようとする森島は足を引っ掛けられ倒されることによってまたしても右サイドからのFKを得ることができる。そして再び野津田のFKである。

 ところがこのセットプレーが一向に決まらない。左足の野津田のキックは長身の福岡DFにどうしても跳ね返されてしまう。それでも同じような位置でのセットプレーは変化をつけさせた。ゴールへ向かって巻いていくボールをニアの浅い位置に。そこへ待ち構えていた塩谷。DFのマークを外すことによりフリーでヘッド。これがゴールに入っていったのだった。

 2点目。何度もあったセットプレーはようやく花開いた。もはやこの試合は一方的である。このまま更に追加点を重ねていきたい。後半に入ってからもアグレッシブな守備から素早い攻撃を続けていく。前へ突き進んでるとこを奪われてカウンターに入られるもDFによって刈り取られ再び速い攻撃へと繋げていく。その勢いでゴールまで雪崩れ込んでいくと左サイドから中央へ。そこへ数人の選手が雪崩れ込むも、ボールにピンポイントで入った選手がいた。ボランチの川村。長い距離を駆け上がって放ったシュートはゴールへ一直線に飛ぶ。そして突き刺さった。川村のシュートは3点目を決めたのだった。

 もう勢いは止まらない。4点目、5点目と繋げていきたい。本当にそんな雰囲気になったその時、福岡は選手交代をしてきたのだった。ボールを触れてなかったジョンマリを下げルキアンを入れる。中盤に前を入れるとなぜかパスが前線まで通るようになってくる。間を通され間を通され簡単に前線へ持っていかれる。そこで最終ラインを抜けるスルーパスを出されるとファンマの飛び出し。GK大迫との1対1にループシュートを放つと吸い込まれた。見事なまでに冷静に決められてしまったのだった。

 1点返され水を刺されてしまったものの再び引き離しにかかろうと森島、ヴィエイラを下げ柴崎、ナスを入れるとまるで前線にボールが収まらなくなってしまう。それをいいことに福岡は前線にどんどんロングボールを入れてくると競り合いでちっとも勝てない。そしてトップのルキアンに入れるとDFを背負い込みながらもサイドのボックス内へ入れるとそこからゴールを横切る速いクロス。これに飛び込んだファンマ。決められた。またしても決められた。手数を掛けない、ある意味強引な力技だけでゴールに捩じ込んできた。3点差あった優位さはこれで1点にまで縮まってしまう。もはやこれ以上失点することはできない。せめてこの試合は勝ちで終わりたい。そんな後ろ向きな状態の内、なんとか試合を終えることができたのだった。

 一応は勝った。でも福岡の追い上げは逆に負けたかのような落胆を与えた。前線の強力なFWに向けてのロングボール。そんな単純な戦法に見事に力負けしていた。最初に抱えた不安は杞憂ではなかったようだ。

 果たして福岡は第2戦もこの戦法で挑んでいくるか。終了間際の一方的な展開。やはり簡単には決勝の舞台に上がらせてもらえないと思い知らされるのだった。

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