浦和レッズ戦~勝ち目なき戦い

2021年8月25日 浦和レッズ vs サンフレッチェ広島 駒場スタジアム

 蒸し暑い夜。駒場スタジアムには観客は入ってるもののアウェイ席の販売はなかった。それでも声を出す応援がないのは浦和の醸し出すアウェイ感はあまりない。かといってそれが有利に働くかといえばそんなことはない。リカルド監督の下、積極的な補強をした浦和のチーム力は大きく高めた。特にストライカーのキャスパー・ユンカーは前回対戦でもわずかなチャンスを確実に決めたが、サンフレッチェはこういう選手を苦手とするのだった。
 それに対するメンバー表を観ると前節途中出場した松本、浅野、長沼が最初から入ってた。怪我人が続出してるとはいえ心許ない。なぜならこの3人が入ると必ずと言っていいほど失点していたからだ。特に右サイドに入った長沼には5部のチーム相手に5失点をしたという失態がある。それでも使い続ける城福監督はまだ我々の気付かない能力を見抜いてるのだろうか。
 そんな中で試合は始まり、お互いに中盤を過ぎると摘まれて主導権のない序盤となるも徐々に浦和の方が有効的なボールの持ち方をしてきた。対するサンフレッチェはトップのサントスへと当てる。すると個人技でかわしてかわすもシュートが打てず落としを松本がタテパス。切り込んだ浅野が切り返すも詰められやはりシュートが打てずに終わったが、サントス渡れば単独で何とかしてくれそうだった。
 ところがハイネルが中盤で安直なパスミスにより傾きかけた勢いを削がれる。そして相手のプレッシャーに下げて、下げて、GKまで下げるとロングキック。そんな打つ手がなくなる中、左サイド藤井はボールが入ると日本代表酒井にスピードで抜こうと挑む。が、切り込んだ瞬間に身体を当てられ潰れてしまう。それでも右サイド長沼がボールを持ってもおろおろと煮え切らないプレーを繰り返すのに比べると余程威勢がいいのだった。
 すると中盤でフリーで持たれた。最終ラインは揃ってる。が、スルーパスをだされると長沼の外を関根が抜ける。ゴールに向かってカットイン、シュート。GK大迫食らいつくもファンブル。そこに逆から詰めたユンカーに押し込まれてしまったのだった。一瞬、まさに一瞬の攻撃をたった3人でやってのけたのだった。
 抜かれた長沼。パサーをフリーにしたのは浅野。シュートを収めきれないGK大迫。不安だった要素がそのまま失点へとつながったのだった。
 終わった。点の取れないサンフレッチェにとって先の失点はまさにそれを確信せざるを得ない。前からのプレスは依然として掛からない。と思いきやバックパスを長沼が拾った。前に空いた空間。その期を逃さずシュート。が、枠外。浮きかけた腰はまた力なく落ち込んでしまった。
 その後も佐々木のオーバーラップからのクロス。これも浅野の飛び出しが間に合わない。それで再び受けに回る中でトップのサントスが下がって下がっての守備からのボール奪取もバックパスに誰も反応できてない。更に個で受けても誰のサポートも受けられない。パス制度もなくマイボールをみすみす相手に渡してしまう。自分で自分の首を絞めてるような袋小路にロングボール一本で長沼が抜ける。スピードで出し抜く。そして折り返し、そこが中途半端でDFに摘まれてしまうのだった。
 更に長沼はトラップミス、スルーパスを狙うも通らずでまるでいいとこがない。センスも技術力も思い切りもなく一刻も早く代えてほしい一方で左サイドの藤井は縦への突破、カットインからの切れ込みと何とか活路を見出そうとしてる。ブロックを敷かれた中、それでも打開をするまでに至らないもののその気概だけは伝わるのだった。
 そして後半途中にやっと交代が告げられたもののサントス、浅野に代わってヴィエイラ、柏というものだった。ただ、これにより前線での守備が嵌る。ヴィエラはゴールをGKまで追い込むのが上手い。そこでやけくそになったキックは中盤でカットできる。そして柏がつなぎヴィエイラのポストが攻撃の形をつくる。ああ、こういうのが前半からあれば。そして長沼、柴崎が抜け東、エゼキエウが入ると東とのワンツーによりヴィエイラ、シュート。枠にいかなかったもののやっとシュートまでたどり着けた。
 更にはエゼキエウの意表を突いたクロスにヴィエイラのヘッドも枠外。攻撃は活性化されたものの肝心のシュートが決まらない。そうする内にどんどん浦和にペースを握られ追加点を取ろうとゴールに迫ってくる。防戦一方でボールの奪えないサンフレッチェ。追いつかないといけないはずのチームのその様子に情けなさがこみ上げてしまう。奪ってもつなげられない。特にハイネルのパス精度が壊滅的で単純なつなぎのパスでさえラインを割ってしまう。そのせいでマイボールはもうGK大迫のロングキックに賭けるしかなくなってしまうのだった。
 他のチームがやるとその圧力に負けて簡単に失点してしまうサンフレッチェは自分たちでやると全く相手に脅威を与えない。浦和は余裕でヘディングでクリアしてまた大迫が蹴るも同じことの繰り返し。攻撃においても守備においても他ができることサンフレッチェはできないということを痛感させられたまま終了のホイッスルが吹かれたのだった。
 やっぱり負けた。点が取れない。その理由は明白で奪ってからの攻撃が遅いから守備をガッチリ固められてしまうのだ。ボールを持たされているだけに攻撃をしているような気分になってしまう。それでいて結局は負けてしまう。5部のチームに大敗するのも致し方ないと思わざるを得ないのだった。
 城福監督もかつての覇気が失われているのは傍目からも明白だった。この先、どうやって盛り返していくのだろう。完全に残留を目標にしないといけないところへ来てしまったような気がするのだった。

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