ルヴァンカップ神戸戦~中野の逆転弾

2023年4月19日 ルヴァンカップグループステージC サンフレッチェ広島 vs ヴィッセル神戸 エディオンスタジアム広島


 平日夜の開催、それは観戦に訪れるには相当な覚悟のいる場所である。にも関わらず5,877人の観客が入ったのはちょっとした驚きであった。カップ戦であることも考慮すれば検討した方である。それだけ今のチームには期待するものを感じてる人が多いということだろう。

 そんな中でのスタメン発表。ピエロス、ワントップに最終ラインに志知を入れてきた。そこがいつもと違うとこだが右サイドで越道が21歳以下選手枠に収まってるお陰で他のポジションで実験的なことをできるのがありがたかった。

 立ち上がり、サンフレッチェは優位に推し進める。やはりチームはいい状態にある。このまま行けば先制するのも時間の問題。最後、あとは決めるだけ。川村が何度もフィニッシュへのアクションを起こすものの決めきれない。だがピエロスに至っては打つことすらできてない。

 噛み合ってない。どうもピエロスは空回りしてる。多大なる期待を背負った加入だっただけに本人も焦りを感じているだろう。そういうのが無理な追い込みに繋がりファールになってしまう。

 主導権を握ったゲームも神戸も対応できるようになり膠着状態に陥っていった。それでも何とかピエロスに結果を出してもらうべく後半も引っ張る。ハーフタイムを挟んでメンバーは変わらなかった。

 勝たないと後がない神戸。若い選手を多く揃えてきただけあってペナルティエリアに入り込む思い切りのよさを見せた。越道が対応する。クロスを上げられ越道に当たる。が、これがハンド。顔を守る為に手でガードをしてしまったのだった。

 PK。ここ数試合結果を残して波に乗りつつある越道によってPKが与えられてしまった。キッカーはリンコン。PK苦手のGK大迫。ここで止めてそのレッテルを剥がしたい。が、ここでも止めることはできず神戸が先制点を得ることとなってしまった。

 さすがに厳しい。このまま逃げ切られてしまうだろう。これに対してピエロス、森島を下げヴィエイラ、満田という切り札を入れたもののさすがに毎回追いつけるものじゃない。それでも更に越道、野津田を下げ中野、鮎川を入れて攻撃への姿勢を見せるのだった。

 東のパスカットから攻撃へのスイッチが入る。満田が神戸の守備ブロックへ縦パスを入れるもリフレクション。佐々木がセカンドボールを拾うもタックルを受け倒れるのだった。

 右サイド深い位置からのFK。東がキッカーとして蹴る。ゴールに向かうボール。飛び込んだ佐々木。頭に当てた。GKと交錯。ゴールは入った。ただ両者倒れたまま起き上がれないのだった。

 ああ、佐々木大丈夫だろうか。固唾を飲んで見守る。しばらくすると立ち上がり両者プレー続行。そして得点は認められまたしても佐々木のヘディングに助けられ振り出しに戻すことができたのだった。

 選手交代後の得点。それはチームに勢いをもたらす。ただ神戸もリズムを掴み大きな展開からクロスを逆サイドから飛び込むもわずかに外れ助かった。再びマイボールとすることで左サイド東に渡すのだった。

 サイドを駆け上がり中央へとグラウンダーのパス。トップにいた鮎川スルー。それにより逆サイドの中野が受けた。コントロールして振り抜く。ボールは矢のような軌道。逆サイドのゴールに突き刺さるのだった。

 逆転、逆転、逆転。越道とのポジション争いをしてる中野が決めた。中野プロ初ゴール。これでまた越道には火がつくだろう。このお互いが高め合っていく様に身震いを起こしそうになるのだった。

 この後神戸のプレーも荒くなり接触する場面が増えてくる。ラフプレーではあるが神戸も必死だ。ここは耐えて耐えて耐え抜きたい。アディショナルタイムは8分もある。それでもこの長い追加時間を切り抜き逆転勝利を収めることができたのだった。

 先制された時点でもう駄目だと思った。それを盛り返したのは勿論点を決めた選手であろう。だがそれを演出したのは東だった。いつの間にか絶対に外されない存在になっていた。

 これにより2位以内は確定。だがまだ予選リーグ突破を果たした訳ではない。

 突破したい。そして試合が増える中で新たに結果を出す選手が観たい。そんな贅沢な感覚に陥ったのは中野の素晴らしきゴールを観てしまったからだ。こういう日替わりのヒーローが出る状態。またリーグ戦が楽しみになるのだった。

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