名古屋グランパス~徒労感の残る敗戦

2021年4月14日 名古屋グランパス vs サンフレッチェ広島 豊田スタジアム

 中2日による連戦。ここで城福監督は初めてサントスをワントップに置くものの、ベストメンバーとする布陣を敷いてきた。それだけに結果が出なかった場合のダメージは大きい。逆に失点のない名古屋相手に決めることができたらその自信は計り知れないだろう。そういう意味で今後に向けて大きな影響を与える試合になりそうである。
 照明の灯ったスタジアムで試合は始まった。名古屋がボールを持つ。ボールホルダーに対してプレスを掛けるも全く意に介することなくボールをつないでいく。奪えない、奪えない、奪えない。DFで網に掛けたとしてもそこからのビルドアップはなかなか前に行かせてもらえない。ポジショニングがいいんだろうか、ボールを出しどころには必ず名古屋の選手がいる。ほんの少しトラップが大きくなるとすぐに刈り取られるのだった。
 じわじわと侵食してくる名古屋の攻撃。マテウスがゴールラインまで食い込むと相対した荒木はまた抜きで抜かれる。カバーに入った選手がクリアしたもののCK。マテウス自らキッカーとなるのだった。
 左足で蹴ったボール。ゴールから逃げていくスワーブ。キャッチに行ったGK大迫は飛び出しのミスに気付いて歩を止めるもその時には名古屋の頭に当てられると威力のないボールが無人のゴールに入ってしまった。
 無残、無残なゴールが決まってしまった。点の取れないチームが守備の堅いチームにミスによって失点してしまった。唖然、呆然、失念。まだまだ前半の早い時間なので希望は捨てるべきではないが、あまりにも失点の仕方が悪すぎた。
 パスにより押し上げをはかる。名古屋のプレッシャーは鋭くなかなかハーフウェイラインを越えれないものの最終ラインまでたどり着くことができた。遠目から川辺がシュート。枠には入らなかったもののこのままシュートすら打てずに終わるにはあまりにも惨めだった為に救われる。そしてこのゴールを目指す姿勢は徐々にチームに伝播していった。
 ロングボールを前線でサントスが収めてキープ。左SBの東がペナルティエリアまで上がりパスを受ける。一瞬前が空いたのだがそこで横パス。ブロックを築かれシュートは打てずに終わってしまった。
 どうしてそこまで駆け上がりながらシュートを打たない。東はシュートを打つ気がないならなぜに最後列からそこまで出てくるんだろう。そんな疑問を感じていたら後半になって打つようになった。だがその決定的なシュートはことごとく枠に入らないのだった。
 自陣に籠った名古屋に対してサンフレッチェは攻め立てる。SDも上がり時にはCBの荒木さえもポジションを上げると、コンパクト、ダイレクトを織り交ぜたパスで打開をはかっていく。だがゴールに近い付近で受けたほんの一息シュートへの躊躇がタイミングを遅らせてしまっているのだった。
 左サイドでエゼキエウの仕掛けがCKを呼びCKを得る。森島のキックはサントスのヘディングを生んだものの枠に入らない。決定力を期待したサントスも決めきれない。この後ゴール前の密集地で受けたがこれも枠を外してしまう。何だかサントスが試合を重ねるにつれて段々と脅威が削ぎ落ちてるように見えてしまう。決定力のないサンフレッチェに同化してしまったのだろうか。
 メンバーを代えポジションを変え打開を図るもののシュートが入らない。ポゼッション率を高めることで必然的にFKの機会も増えるものの森島のキックは全くゴールの匂いを感じない。それでも壁にぶち当たったボールが上手く東の元へ転がった。この決定的チャンスに東のシュートはこれも枠外。うわああああ、これを外すか。もはやこれは疑うべくもない、東はシュートが下手だった。100万回打っても入らないだろう。そんな確信さえ抱かせてしまうのだった。
 時間がない、時間がない。攻め急ぐサンフレッチェ。次第にパスが雑になっていき遂にはイージーなキックミスでラインアウトしてしまう。みすみす相手ボールにしてしまい果敢に奪いに行く。だが勝ってる名古屋は簡単にバックパスで逃げて取りどころを与えない。プレスが掛からない。そしていなしていなしていつの間にかゴール前まで持ち上がりシュートにつなげる。何て理想的な時間の使い方をするんだろう。そのそつのない試合の締め方に気が遠くなるのだった。
 再び失点することはなかった。だが結局最後まで名古屋のゴールを割ることはできずあえなく敗戦。2試合連続してノーゴールの連敗だった。
 CKからのGK大迫のミスによる失点。毎年大迫の判断ミスによって負ける試合がある。そしてセットプレーで決めることのできる名古屋と決めることのできないサンフレッチェ。正に負けるべくして負けたという試合だった。
 一体この先点を取ることができるんだろうか。攻め続けていただけに徒労感は大きい。そして勝負を掛けたこのメンバーで負けたことでもはや打つ手がないような気がする。果たしてこの後持ち直すことができるか。かなり厳しい局面に入ってしまったような気がしてしょうがないのだった。

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