清水戦~ギリギリの連勝

2020年10月10日 清水エスパルスvs サンフレッチェ広島 IAIスタジアム日本平

 台風14号の影響により旗は風を受けなびいていた。落ちてくる雨は身体を濡らし冷たい。デーゲームとはいえ急な気候変化にはコンディションに苦労しそうだった。
 そんな中でメンバーを若干替えてきてトップに前節ハードワークでチームに貢献した永井が入ってるのが嬉しかった。足がつるまで、限界まで走り切った永井は例えゴールがないとはいえ出てもらいたい。そして今度こそゴールを取らしてやりたいのだった。
 その永井が前線からプレスを掛けると清水のビルドアップに余裕がなくなる。それが高い位置でのパスカットにつながる。そしてここから展開するとこで柴崎が倒された。中央ゴールからは遠い位置。FKを蹴るのは森島。誰に合わせるか。ただ真正面からのボールは難しい。セットプレーのゴールのないサンフレッチェにここで期待を寄せるのは拙速かもしれない。
 助走の先に振り切った右脚。ボールは伸びていく。ボールは止まって見えた。そして落ちるとゴール右隅に吸い込まれた。
 あ、入った。入った、入った、入った。まさか決まると思わなかった。あれだけ距離があるにも関わらずGKに反応できないボールが出るとおもわなかった。先制、いきなり先制である。幸先がいい。これも永井のチェイシングのお陰だ。
 ところが水を含んだピッチに永井は足元をとらわれコケてしまうとうずくまったまま起き上がれない。まさかこんな早く。プレー続行不可能によりヴィエイラと交代するのだった。するとここから徐々に雲行きがあやしくなっていくのだった。
 ゴール前にブロックをつくって守る時間が続く。せっかく前線のターゲットとなるヴィエイラが入ったのに全くボールに触れることができない。流れを変えたい。流れを変える為にハーフタイムでヴィエイラは早々にペレイラに交代してしまうのだった。
 それでも清水の圧力を跳ね返せない。CKに逃げるのが精一杯だ。もはや森島の1点を守り抜く方へ思考が偏りそうだ。するとセカンドボールからの展開でサイドに渡るとグラウンダークロス。中へ飛び込まれグラウンダーのシュート。GK林、身体を倒し一旦はセーブしたと思った。だが収まり切れてなく、ボールはゴールラインを転がり込んでしまったのだった。
 同点。あれだけ攻められ続けると事故はある。特にこういうスリッピーなピッチだとGKのキャッチングに難が出てしまう。
 振り出しに戻ったことで仕切り直し。前線でボールを持ったペレイラは粘ってキープする。するとファールで倒された。左サイドからのFKを得た。
 蹴るのは再び森島。右足から外へ逸れるようなキック。その回転の速さはクリアされるも中途半端になるとファーサイドに入ったペレイラがボレーシュート。ゴールに叩き込んだのだった。
 あっという間の再び勝ち越し。これは相手に無力感を与えた。ただまだ1点差。油断はできない。事実、清水は更に猛攻を仕掛けてきてゴール前に引き籠らされるのだった。やはり押し返したい。これは危険な状態である。そして追加点を入れれば尚安泰である。
 そんな指示が吸水タイムにあったのかもしれない。流れの中から浅野が受けるとゴール目掛けてドリブル。追走するDFの裏を取りスルーパス。そこへ飛び出した川辺。パスの軌道をスルッと変えてやるとGKの脇を抜けて流し込んだのだった。
 3点目。しかもボランチ川辺のゴール。これはかなり優位になった。あとは時間の経過を待つだけ。そんな安易なことを考えたのが災いしたのかもしれない。それ以降、ずっと攻められ続けるのだった。
 クリアしてもボールカットしても獲られる。まるで人数が違うのではないかと見紛う程。するとペナルティエリア内の縦ドリブルから折り返しが入るとダイビングヘッド。なすすべなく2点目を決められてしまったのだった。
 ついに1点差。いよいよ余裕がなくなった。清水は前からのチェックにはDFラインからのロングパスで裏を狙いブロックを敷けば左右に散らして幻惑する。長い、長い時間だ。早く終わってくれ。ペレイラが前線でキープして時間を稼ぐ。もはや攻める気もない。相手選手を背負って堪えている内にタイムアップの笛が鳴った。終わった。清水、フィニッシュさえ精度あったら5点くらいとられてもおかしくなかった。それだけにギリギリで勝ったという脱力するのだった。
 これで2連勝。いい傾向である。だが浮かれてばかりはいられない。今シーズン、上位チームにはほとんど勝ててないのである。それだけに次の試合こそ重要だ。5失点した雪辱を晴らせるか。もはや順位どうこう関係なくそれだけは雪辱を晴らしたいのだった。

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