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札幌戦〜森島の同点弾によるドロー


2022年2月26日 コンサドーレ札幌 vs サンフレッチェ広島 札幌ドーム

 豪雪の札幌はつい数日前新千歳空港の飛行機が完全にストップしてしまった。今更ながらドームであることの恩恵を得たものの、スタジアムへの交通に何があるのか、客席は空席が目立った。ミシャのサッカーを起点としたチーム同士、ミラーゲームとなることは最初からわかってるだけにこの試合での優劣はそのままチーム力の差となってしまいそうだった。
 メンバーには永井、森島、野津田とルヴァンカップで結果を出した選手を起用してきた。そこにチーム内の競争を感じ、活性化も感じる。それ故に昨シーズン同様の前からの守備を観光したものの、その強度は高まっていた。
 ところが札幌は序盤こそ戸惑いを見せたものの、逆にロングボールで一気に前線につなげていく。トップの興梠が受けるとサイドにはたきゴールへ傾れ込む。次々に押し上げる札幌の攻撃陣に後ろ向きの対応をするサンフレッチェの守備陣。ペナルティエリアに侵入した福森に入ったとこで藤井がシュートブロック。だがそのこぼれがゴール真正面へ転がると興梠が詰めあえなく失点してしまう。全力でプレスをしていった出鼻を挫いた挙句、最も簡単に先制点を決められてしまったのだった。
 やられた。両チーム、先制点を奪った方が優位なのはわかってただけにこの失点は痛恨だった。ここまでゴールに迫る勢いは札幌の方が上。サンフレッチェがボールを持つと縦へのスピードが足りずゴールに鍵をかけられる。そしてボールを絡め取られ反攻される。この悪循環は札幌が先制することで一層色彩を強めていくのだった。
 それでも何とかボールを運んでいくとゴール前にはすでにブロックが敷かれてる。構えた相手はそうそう崩せるものではない。それでも狭いブロック内へショートパスで繋ぐと中央で浅野に入る。利き足の左足を振り切りシュート。が、枠を外れる。タイミングは良かった。が、やはり決定力がないのだった。
 その後も優位な場面が出てきてもクロスが頭上を越えたりラストパスの精度が悪かったりと昨シーズンの悪癖が散見された。対して札幌はセカンドボールをことごとく拾うので波状攻撃につなげていく。もうこの時点で両者のチーム力の差を認めざるを得ないのだった。
 それでも佐々木のオーバーラップから裏へ抜けた永井に。その落としから森島がシュート。うちに巻いていくキックだったもののポストにガツンと弾き飛ばされてしまった。
 ああ、絶好のチャンスだった。だがあの狭いスペースにも関わらずシュートを放った森島はには大きな希望を感じ、これを機に持ち直していく予感があった。が、札幌もそれでペースを落とすようなこともなく、後半に仕切り直しをしていくのだった。
 再びギアを入れ運動量を高めるサンフレッチェ。右サイド藤井に入るとルーカルト1対1。ゆっくりとした様子見から縦への勝負を試みるもあっさり奪われる。それでもスピードを活かし後ろからの縦パスに反応するとペナルティエリアへ侵入。ゴールに向かう。シュート、ではなくクロスを選ぶ。すると味方に合うことなく逆サイドに流れてしまうのだった。
 そこが藤井の煮え切らないとこなのだった。高い位置で受けたら自ら打開する、そういう意思が欠けている。右サイドといえばかつてミキッチがいただけにどうしてもその残像と比べてしまう。あそこに預ければ何とかしてくれる。そんな爆発力があった。例え失敗しても受けたら自ら仕掛けるという姿勢の希薄さはどうしても感じてしまった。
 だが希薄といえばシャドーに入ってる浅野はもはや姿が消えて何のインパクトも残せなくなっていた。やはりもう駄目だ。打開策が思い浮かばない。そんな暗澹たる想いに落ち込む中、中盤に入った塩谷は縦へ一本、グラウンダーのボールを出す。
 裏へ抜けようとした森島がトラップと同時に進行方向を変え中へ運ぶ。DF2人が食いつきシュートコースを閉じられた。が、打った。グラウンダーのシュートがDFの足元をすり抜けていく。ファーサイドに転がったボールはGKの横っ飛びも間に合わずゴールに収まったのだった。
 入った、入った、入った。同点。森島、さすが森島。相手の守備をものともしないというのも凄いしちゃんと枠に入れるというのも凄い。塩谷の相手の守備網を切り裂く縦パスも凄かったが、それをゴールに結びつけた森島も秀逸なのだった。
 見事同点で振り出しに戻るとその喜びも収まらない内に札幌の猛攻が始まる。簡単にゴールまで迫られる。藤井と1対1になったルーカスがかわしてシュート。枠外だったもののこの後立て続けにシュートを撃たれる。GK林がファンブルした時にはよもやこれまでと思ったがすかさず柏がクリア。何とか凌いでいるもののペースを変えなければいけない。
 そこでメンバー交代が次々に行われる。対して札幌もどんどん代えて攻撃への梃入れをする。両者、勝ちにきてる。交代で入ったサントスやエゼキエウが前線でチャンスをつくるものの決定機までに至らない。だがまたしても塩谷がペナルティエリアまで駆け上がるとそこから折り返し。ゴール前フリーの東。左足を振り抜いた。ファーサイドを狙ったシュート。が、入らなかった。入らない。枠を外れる。東、やっぱりここでシュートを外す東。的確なポジショニングでチャンスに顔を出すもののシュートが入らないのだけは何年経っても一向に改善されないのだった。
 そこに頭を抱えるも今度は札幌が反転してきた。守備に回る。もう時間はない。最後にCK、もはやこれがラストプレー。防ぎ切れば引き分けで終わるというとこをきっちり跳ね返すことができ、引き分け、勝ち点1で試合を締めくくることができたのだった。
 勝ちたかった。それは両者同じ想いだろう。お互い決定機を迎えお互い決定力のなさを感じた。スタイルの似通った両チームは欠点も同じものを抱えているかのようだった。
 リーグ戦、未だ未勝利。引き分けから勝ちにつなげることができない。そのあと少しの昇華を果たす為にもやはり決定力が欲しい。そこに浅野、サントス、エゼキエウのようなアタッカーがまるで可能性のあるシュートを打ててないのに厳しさを感じる。果たしてスキッベ監督が来たらその辺は解消されるのだろうか。チーム内の競争があるように見えて絶対的な存在になってる選手もまだいない。それだけに早く誰かしら頭角を表してほしいと願うのだった。

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