FC東京戦~ラストプレーでの同点

2020年8月19日 サンフレッチェ広島 vs FC東京 エディオンスタジアム広島

 2試合合計で40本以上のシュートを打ち奪ったゴールがわずか1点。決定力不足は深刻で何らかの変化が必要だった。トップにヴィエイラ、右サイドに茶島という布陣で臨むのだった。
 奪ってスピードアップ。これが課題であったにも関わらずやはりビルドアップに時間をかけてしまう。そして手数を掛けてる内に帰陣をされブロックを造られてしまう。そしてこういうゴール前を守備で固められるとサンフレッチェは点が取れない。それが分かっているのでもうどのチームもこういう守り方をしてくるのだった。
 右サイドで茶島が抜け出してクロスを入れるもGKキャッチ。次につなぎの中から浅野が逆サイドへ振ろうとするもパスは読まれてカット。浅野の1人剥がしてのシュートも枠に入らない。ああ、やはり今節も点が入らない。もはや永遠に入らないのではなかろうか。
 そこで攻め手を替え後列からロングゴールが出ると茶島のトラップが落としとなると野上がシュート。DFのスライディングもGKの反応も置き去りにするバズーカのようなシュートがファーサイドに叩き込まれた。
 入った、入った、入った。あれだけ決まらないと言われてたシュートであったが、DFの野上が決めたのだった。早い時間の先制点で幸先がいい。その機運に乗ってその後もボール支配を続けていくのだった。
 しかし、守ってばかりいるように見えるFC東京はいざボールを奪うと最終ラインの森重からロングボールが出る。それをレアンドロがドリブル。食らいつくサンフレッチェのDF。が、その折り返しにディエゴ・オリベイラがガツンと決めてしまった。ああ、何と早い同点弾。しかもゴール前はたった2人だけで崩してしまった。その効率よさにあんぐりとしながらも振り出しに戻っただけ。再びゴールを目指そうと攻撃を組み立てるのだった。
 ところがバイタルエリアから先へ侵入できない。揺さぶりを掛けてるようでいてFC東京の守備には隙がなさそうだった。そこで中途半端な攻撃で終わり相手ボールになるとそれだけで威圧感がある。アルトゥル・シルバが縦パスを入れる。受けた阿部がターンするとそのままゴールに向かいシュート。GK大迫は触ることすらできずゴールに叩き込まれてしまった。
 ああ、逆転。あまりに呆気ない。手数を掛けて、時間を掛けて攻めるサンフレッチェに対してFC東京はわずかな隙、突出した個人技で点を取る。両者の効率の違いは明白だった。
そしてサンフレッチェの攻撃は続く。ヴィエイラのクロスに精度がなくて溜息するもDFの野上がまたまたループシュートを狙う。それがCKに繋がりそこからまた波状攻撃となると浅野がゴール前の密集へ放り込み。荒木が競る。するとバックヘッドで逸らしたボールはそのままゴールに入ったのだった。
 同点、同点、同点。しかもまたしてもDFの得点である。攻撃陣が決めない中でこれが得点力を得る為の一つの解答なのかもしれないのだった。そういえば優勝した頃って色んなポジションの選手が満遍なく取ってたのだった。
 それに気をよくして更に勝ち越し点と狙う。すると今度はディエゴに入ったボールが奪えない。ゴールへと突き進むディエゴ。2人、3人でまとわりつくもモノともしないキープを見せ、遂には浅野のファールを受けFKを得るのだった。個で負けてる。そう思わざるを得ない。そして今度もまた個の勝負。ゴール前のFKだった。これをレアンドロが決める。ゴールの隅、ここしかないという箇所に壁を避けて突き刺してしまうのである。セットプレーのちっとも決まらないサンフレッチェと比べ、こんなとこでも効率の差があるのだった。
 そしてこのままハーフタイムを挟んだことで気を取り直す。追う展開。サンフレッチェが一番苦手とするパターンなのだった。50分にペレイラとハイネルが入り、70分に東と藤井が入り、81分に柴崎が入る。そのメンバー交代により活性化された面もあるが依然としてチャンスは生まれない。そしてそんなもたつきにFC東京は時間稼ぎへと着実に勝利を奪いに来るのだった。
 急がないといけないのにサンフレッチェのプレーにミスが出る。コーナー付近でボールキープによりいよいよ割り切った時間稼ぎをするようになった。ああ、駄目だ。もう時間がない。アディショナルタイムに入りもうあとワンプレー。そこにハイネルはロングボールを入れたのだった。
 得てして終了間際のこういう一発を狙ったボールは簡単に処理される。が、このボールが東に入る。ペレイラに流すとシュート。DFのブロックに遭ってふんわりと飛んで行った。するとそこに出たのが川辺。GKをかわすふんわりとしたキックはボテッとゴールの中へ入ったのだった。
 同点、同点、同点!最後の最後、最後のワンプレーで決めた。これにより引き分けで終わることができ、完全な負け試合に勝ち点1をもたらしたのだった。
 最後まで諦めない精神、しぶとさ、したたかさ、そんなものを体現した瞬間だった。勝ちはしなかったがこういう場面を観れたことに感銘を受けた。そしてこれがこの試合での収穫でもあり、今後への希望を見出すことができた瞬間なのだった。

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