ルヴァンカップFC東京戦~準々決勝進出

2024年6月9日 ルヴァンカップ プレーオフラウンド 第2戦 サンフレッチェ広島 vs FC東京 エディオンスタジアム広島


 どんよりと曇った空の下、第2戦をホームで迎えた。第1戦を制したことで一応は有利な立場にあるもののギリギリだっただけにまるで余裕が感じられない。そしてせっかくのホームなのに空席があるのは寂しいことだった。この辺がカップ戦の限界でもあるのだろうか。

 この試合のメンバーは第1戦とほぼ同じ。唯一志知が外れて塩谷がボランチに入った。それにより東は本来の左サイドに入った。スキッベ監督は東についてはポジションを変えても使い続ける。信頼が大きいのだろう。

 まず試合の入りは5分は堪えたい。それさえできれば試合は落ち着くはずだ。だけどFC東京は俵積田のスピードを生かしてサイドから攻めてくる。中野が喰らいつくも捕まえきれない。そしてクロスを放たれるもそこは荒木や佐々木といったCBが弾き返す。それを繰り返していくと次第にボールはサンフレッチェに収まるようになっていった。

 左サイドから東が抜ける。クロスを上げると中を固めた東京DFは弾き返す。が、セカンドボールを拾い再びゴール前へ。ピエロスがトラップから反転シュート。いい動きだったものの枠を外してしまう。そしてその後立て続けにシュートシーンが訪れるも皆外してしまう。大橋が外し東が外した。そこに頭を抱える中、今度は松本泰志が外してしまう。いい動きにいい崩しである。それなのに最後が決まらない。ああ、またこうやってチャンスを逃してるとその内悪い流れに飲み込まれるのでは。そんな不安が過ってくるのだった。

 そしてそうこうしているとオリベイラへボールが出される。1番の警戒すべき選手。その危機察知から荒木がアタックにいく。ここで交錯し荒木のファール。が、それ以上に痛いことに荒木が立ち上がらなかった。結局タンカで運ばれ右サイドの越道が入ることになった。それにより新井がCBに下がりせっかく上手くいってたチームを前半にしてイジることになってしまったのだった。

 だが前半はスコアレスに終えると後半はペースを変えるべく東京は攻撃の圧力を強めてきた。1点でも入れられると振り出しに戻ってしまう。ゴール前を固めて跳ね返す。立ち上がり5分堪えたい。ここさえ耐え凌げばこの猛攻も落ち着いてくる。跳ね返し守備に徹することでとりあえずは5分は経過した。すると右サイド越道が高い位置でボールを受ける。マークがつきながらもクロスを入れる。ゴール前で跳ね返されるもそれを東がシュート。が、ゴール前の密集に引っ掛かる。だが次の瞬間ゴールに向かってシュートが飛ぶ。密集地に入ってた加藤、ルーズボールを押し込んだのだった。

 決まった、決まった、決まった。思わぬところで思わぬ瞬間のゴールだった。前半、前線で唯一シュートを打ってない加藤が決めた。沸き立つゴール、沸き立つスタジアム。この先制点は俄然有利にしていった。

 いける、いける、いける。その高揚感はすぐに相手キックオフのボールを食い止める。スローインでボールを入れると塩谷が受け縦へのフィード。そこへ追いついた加藤がドリブル。DFに詰められると折り返し。そこへ詰めた大橋が押し込んだ。GKが反応するもその掌を押しのける威力の弾道を放ったのだった。

 決まった、またしても決まった。立て続けの得点というのは第2戦と同じである。これは相手へのダメージは甚大だった。まだ喜ぶのは早いかもしれないがこの時点で勝ち上がりの筋道はかなり開けたのは事実である。

 この困難な状況で東京は一矢報いようとしてくる。前への人数を掛けてくる。右サイドでの突破では何度か抜かれる場面はあったものの中央は固めていることでクリアできる。ただボールを持ち上がることができない。東京の圧が強い。そんな時だった。細かいパス回しから中盤で受けた塩谷が前線へのロングフィード。抜け出した加藤。走りながらもトラップするとゴール前へ運ぶとシュートに入る。スライディングに入った森重。その瞬間切り返しにより逆足でシュート。DFをかわしつつGKのセーブできないニアにぶち込んでしまったのだった。

 ムツキ、ムツキ、ムツキ!叫びそうになってしまった。今シーズン打っても打ってもなかなかゴールのなかった加藤がストライカーらしいゴールを決めた。これで2ゴール1アシスト。前半沈黙してたと思った男は最後には試合を決定付けたのだった。

 さすがにこれは勝った。東京は若い選手を入れて活性化を図ってきた。そしてサンフレッチェもピエロス、大橋を下げヴィエイラ、エゼキエウのブラジル人コンビを入れる。出番に飢えてた選手がアピールするいい機会だった。ところがここからチームに締まりがなくなっていく。ヴィエイラはボールが収まらない。エゼキエウに至ってはいいとこまでドリブルで切り込みながらも肝心なとこでスピードダウン。自ら蜘蛛の巣に引っ掛かりに行くように攻撃を終わらせてしまうのだった。

 何だか豆腐の上を歩いてるかのような覚束なさ。プレスの強度も落ちてボールを取られると一気にカウンター。1人抜かれ2人抜かれサイドを突かれクロス。そのスピードに追いつかずゴール前へ走り込んだ尾谷にダイビングヘッドを決められてしまったのだった。

 失点。まだ点差はあるとはいえわからない。この後志知と満田が入り再び締めていく。この2人にしてもアピールの場でもあるがこの試合は勝たないといけない。だが変に時間稼ぎをするより攻める姿勢で相手の攻め手を閉じていき気づいたら時にはタイムアップを迎えた。2戦合計で5-1の勝利。もっと出場時間のほしかった選手もいただろうが、この勝利に誰もが歓喜の表情をするのだった。

 準々決勝進出。これにより9月に2試合追加された。試合が増えるだけあってサブメンバーの底上げが欲しい。それだけに大きくメンバーが替わると思われる天皇杯での成果が問われるのだった。

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