ガンバ戦~決めきれず決めさせずスコアレスドロー

2021年4月3日 サンフレッチェ広島 vs ガンバ大阪 エディオンスタジアム広島

 大敗を喫したルヴァンカップから1週間。開幕から無敗だった勢いは大いに削がれてしまった。ただ、対戦相手のガンバはコロナ感染者による活動休止で試合勘が鈍ってることはサンフレッチェに有利な要素でもあった。4-3-3という初めてのフォーメーションを試すにはいい機会だったのかもしれない。
 ところがガンバも同様のフォーメーションであることはミラーゲームとなる可能性があった。にも関わらず試合が始まってみると両者のサッカーに共通性がまるで見いだせないのだった。
 サンフレッチェの攻撃はことごとく食い止められる。縦パスを入れれば引っ掛かり、サイドからの崩しも観られない。逆に守備に戻る時間が増えるともはや防戦一方となっていくと露骨にカウンターを狙いのサッカーになっていくのだった。ただ、前線のヴィエイラがスペースで受けたとしてもサポートが来ない。味方の上りを待つ内にガンバのDFが戻ってしまう。そして味方の数が揃った頃にはゴール前にはしっかりと鍵を掛けられてしまい攻めあぐねていると途端にボールを奪われてしまう。ガンバの速いカウンター。全速力で戻るもののこの攻撃の速さの違いは単純にヴィエイラの個での突破力のなさが大きかった。
 サントスが左サイドからクロスを上げてタイミングが合っても決めきれない。ヘディングは真っすぐ飛ばない。ああ、他にFWはいないのだろうか。現状としていない。ガンバの前線に立つパトリック、そしてベンチに控えるペレイラがいればとないものねだりをする。が、守備においてはそのパトリックにまるでシュートを打たせないのだった。
 全員が守備で堪えぬく。そして跳ね返したところでマイボールを落ち着かせ前を向く。ここから建て直そう。そう思ったとこで笛が鳴った。何と主審がVARを宣言した。モニターに映し出された映像にはペナルティエリアでの攻防が映し出される。青山のブロックが手に当たっている。確かに当たってはいるが腕は広げていない。固唾を飲んで見守る中、主審の出した判定はハンドではなかった。
 助かった。故意でなくてもPKかどうかというのは主審の胸三寸に掛かってる。あれだけ攻められていたら印象からPKを取られてるおかしくはなかった。やはりマイボールの時間をつくりたい。そんな意識が強すぎたのか、皆が皆ボールを大事にしようとし過ぎてダイナミックさがなく、やはり攻められてはクリアしてばかりのつまらない展開なのだった。
 それでもサントスが左サイドからドリブルで駆け上がるとカットインからシュートに持ち込む。クリアされるもののCK。その混戦から今津。ブロックされヴィエイラ。GKにぶち当ててしまい決めることができないのだった。
 サントスがボールを持てば一人でも打開ができる。でも残念なことにボールを受ける位置が低い。守備に戻ってばかりである。やはりサントスを生かす為にももっと全体の押し上げをしないといけない。そんな指示があったのか、後半はそんな様相を呈したのだった。
 森島が単独ドリブルでゴールに迫る。それはカットインの動きにカットされるもののそれに呼応されたかのようにサントスが球際の粘りから左サイドをえぐる。折り返しに飛び込んだヴィエイラはヒットできず。すると今度は中盤から川辺の縦パスを浅野が落とすと駆け上がった川辺が受けゴールに迫る。これは井手口にカットされてしまったものの明らかに流れが寄ってきた。
 ガンバのブロックを崩すのにもう一押し。サントスは強引にも切込みシュートを放てば浅野も負けじと左足を振り抜く。更には青山もミドルシュートを狙うもことごとくGK東口にセーブされてしまう。そこでテコ入れとしてサントス、浅野に代わってエゼキエウ、柏を入れたのだった。ここで最後の一押しを仕留めたい。
 ところがペースをつかんだのはガンバの方だった。交代でペレイラが入ると裏抜けをされボールが入った。やられた、そう思った瞬間オフサイドの旗が上がり助かった。再び守備に戻る時間が多くなったもののペレイラが脅威となったのはその場面だけとなりそのままタイムアップを迎えたのだった。
 決めきれなかった。勝てるチャンスがありながらもガンバの攻撃に耐えたとも言えた。ここから17連戦。ハードなハードな日程が始まった。新たなバリエーションを試したものの機能したのかどうかすら分からない。だがこの試みは間違ってない。毎試合メンバーを代えてるのも柔軟性がある。あとは結果を出していきたい。幸いにもまだリーグ戦では負けてない。このモチベーションを保ってる内に勝ち点を積み重ねていきたいのだった。

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